イネの種まきが近づいてきた。

   



 いよいよ代掻きの終わった苗床田んぼ。これでこの後1番田んぼ以降がうまく進まないとしても、第一歩としての、苗床田んぼで稲の種子を播種して、そのあと田植えが出来る準備が整った。ここまでのの冒険はなかなかわくわく、ドキドキのものであった。

 石垣島崎枝のノボタン農園では、一月9日海水で塩水選を行う。石垣島での1期作の作付けは初めてである。昨年の2期作の失敗を生かして、次に繋がる耕作をしたと思う。5年掛けて土をよくして行く覚悟で取り組みたいと思う。

 溜め池は第2の溜め池、第3の溜め池まで作った。正月は水神にお経を上げさせて貰った。感謝である。ここまでやれたことは水があればこそである。このところ疲れたせいか、めまいがする。少し心細いところがあるから神頼みかもしれない。

 海水で行う塩水選目的であれば塩の濃度が低いのだが、それくらいでかまわないと考えている。厳密な塩水選は箱苗の場合のことで、苗代育苗ではそれほど種を選別する必要は無い。むしろ自然栽培では選別は良いはずが無いという思いがある。悪いものまでの自然である。

 温湯消毒はしたことがない。それで35年のあいだ、問題が出たことがない。わざわざほぼ起こることない問題を想定して、不要な消毒をするいというのは、化学農薬を使う考え方と変わらないとおもう。何かが起きたらもう一度種をまき直せば良いだけのことだ。その準備は必要である。

 自然界に無い方法を取り入れるというのはよほどの注意が居る。溫湯消毒を見付けた人はすごい人だと思うが、伝統農業では誰もそんなことはしていなかったのだ。他人の結果を真似るだけの人には成りたくない。むしろその昔に学びたい。

 ある意味稲作を始める儀式として、海水選を行っている。儀式とは心の置き所である。海はすべての水が注ぎ込む総合の場所である。種籾がまず出会うべき水は海水ではないかと感じている。すべてが総合された海水に種籾が出会い、目覚める。この想定が気に入っている。

 稲作が地球の循環に最も適合した主食であると言うこと。パンが美味しいからといって朝食はパンです。というような暮らしは違うと思っている。小麦は日本では足りない。お米は余っている。日本の自然を守るためには誰もがお米を食べるほか無い。それが日本の国柄であり、好き嫌いの問題ではない。

 今年のイネ作りは、石垣島に適合する品種を探ることである。1,とよめき2,サトジマン3,はるみ、(4,チュラヒカリは現在問い合わせ中、)やっと結果が分かったのだが、なんと沖縄県では種籾の栽培に失敗して、今年はないと言うことだった。

 どの品種を使うかは分からないが、初年度の実験段階では比較の為に3つの品種を作ってみる。400グラムづつ、3種で12メートルの苗床である。

 沖縄県の奨励品種であるチュラヒカリの種籾を探して沖縄県の稲作の状況が少し分かった。まず、石垣のJAに無いというのだ。何故沖縄県の奨励品種の種籾が、農協で販売をしていないと言うことが不思議だ。栽培のより難しいあきたこまちだけに絞っているそうだ。

 JA石垣ではチュラヒカリは買い取ることがないからだろうが、JAの役割はそれだけなのだろうか。県の農業試験場の方に問い合わせていたところ、やっと返事があり、今年は種籾栽培に失敗したのでありませんとのこと。稲作に対する力の入れ方がなんとなく分かる。

 9日に海水選をしたら、種籾を月の池に浸しておく。種籾は洗濯ネットの網に入れておく。1週間漬けて鳩胸状態に発芽してきたところで、16日に播種する。播種したらネットのトンネルを掛ける。鳥とネズミを防ぐためである。水位にもよるが、じょうろでの水遣りが必要かもしれない。

 5週間の育苗予定である。田植えの予定は二月20日になる。それまでに一番田んぼの準備を整えなければならない。充分時間はあるから、水が溜まるように様々な工夫をしたい。強い雨が降ってくれるかどうかも問題になるのだろう。

 雨乞いの心境である。11月12月と少雨傾向であった。どこの湧水も水量が減少している。1月に期待しているのだが、こればかりはお天道様次第だ。それでも湧き水が湧き続けてくれていることは有り難い。むしろそのことに感謝すべきだろう。この渇水でも水の出ている湧水なら期待できる。

 強い雨があればその日に一気に代掻きをしたい。そのためにはやはりトラックターの準備が居るのだろう。荒起こしまでしておき、雨に合わせて溜め池から水を流し、一気に代掻きをすれば水が溜まるのではないかと考えている。

 だから、早く2番田んぼも準備を終える必要がある。2番、3番の溜め池の準備も終えたい。そうして雨が来たときを逃さないで、一番田んぼの代掻き作業が出来るようにしておきたい。そうしなければ雨を逃すことになるだろう。

 余っている種籾を直まきしてみるのも良いかもしれない。うまく行くことがあるかもしれない。挑戦する価値はある。どれだけユンボが借りられるか。またユンボ作業をしてくれる人が現われるかである。余り欲張っても行けないが。

 この辺はやってみなければ分からないことだから焦っても仕方がない。先ずは溜め池田んぼを完成させることだろう。そして一番田んぼに関しては少し長い目で考えて雨を待つことだ。田植えが遅れることも前提にしておく方が良い。

 先ずは溜め池脇にある溜め池〇番田んぼを一週間先に田植えをしてしまうことも想定したい。その前に1番田んぼの代掻きが出来ればいいのだから、焦ることもないが。苗取りもぜんぶ終わらせてしまう。1番田んぼの分の苗は保存しておいて、1番田んぼの準備が終わってから田植えをする。田植えが2回になる。

 苗床田んぼは直まき栽培をするつもりで、一応はスジ蒔きをしておく。発芽に失敗をしたら、苗床の苗を使う。直まきに成功したら、そのまま田んぼにする。

 苗代田んぼの田植えの直前に水を抜く。抜いた水は一気に1番田んぼに流し込む。この時は今から六週間先だから、月の池には水が充分に溜まっているはずだ。それを一気に一番田んぼに入れる。一番田んぼの水位は20㎝には成る計算だ。

 水を抜いた溜め池田んぼはすぐに線を引いて、田植えをする。直まきが成功していたら、田植えはいらない。田植えが終われば、代掻きの終わった一番田んぼに線を引き、引き続いて田植えをする。この後水は足りなくなるから、水は2番溜め池と3番溜め池の水をポンプで入れることにする。

 溜め池から水で、一番田んぼを一気に代掻きをする事にはまだ不安がある。強い雨にぶつければ一番可能性が高くなる。計画では出来るはずなのだが、やってみなければ分からないことだろう。雨を待っての代掻き。その準備だけはしておく。

 何とか代掻きが出来れば、あとはまた溜め池に水を溜めてゆく。しばらく時間がかかるだろうが、この間の水は2番3番溜め池の水が便りである。稲が活着してしまうまでに、長くて二週間ぐらいの間に、ポンプで入れる水くらいでしのいでいるほか無い。全体に水が戻れば成功ということになる。

 正直このやり方は経験が無いので、綱渡りになる。稲は田植え後一週間は水は無くても良いのだから、田植え後水を溜め始めて、徐々に水が入るのが理想だ。だから、苗作りの際にできる限り、月の池に水が充分に溜まっていて欲しい。育苗の間に、水がどこまで溜められるかである。

 稲は今年は作らない予定の、二番、三番の田んぼへと水の供給が出来るチャンスがどこかで来るはずだ。水の溜まる時を逃さず、代掻きをして水が溜まる状況を整える。最初は水不足は当然であるから、出来る範囲で挑戦する年で良いと考えておく。水が溜まり始めたら、いつも代掻きをして水を溜める努力を続けることだろう。

 

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