安倍政権の軋み
予想した通り、甘利氏は大臣を辞任した。そして不眠症治療で雲隠れである。以前ブログに書いた通りの結果である。甘利氏はスキがある人物とみていた。安倍氏が、甘利氏を大臣としているところが、そもそも安倍氏の怪しげな何かを感じさせていた。安倍氏が日本の保守勢力の代表として登場しているのは、明らかなことだろう。その意味で保守勢力の鵺集団の看板として安倍氏は存在すると、これもこのブログで指摘してきたことだ。自分の言葉でしゃべることすらそもそも許されていない木偶人形である。ところがピノキオではないが、人形はしゃべりたがるものだ。なんとなくきしみ音が聞こえるような気がして気になっていたのだ。その矢先、甘利氏がやり玉に挙がった。安倍氏に黙っていろと誰かが脅しているのではないか。そして憲法改定を自分の任期内に行うと明言した。木偶人形をやっていないなら、こちらも覚悟があるぞという脅しの結果である。ではその鵺の存在は誰なのか。何なのか。
アメリカの意をくむ集団と言える。官僚と結びつく集団と言える。自衛隊系もいるだろう。財界系もいるだろう。具体的な組織というより、意図で連動しているブレーン集団と思えばいいのだろうか。そういう総合的な利権集団の阿吽の呼吸で生まれた鵺である。櫻井よしこ氏とか、百田氏とか、田母神氏とかこうした人は、目立つとげであって、勝手に鵺の広告塔を買って出ているのだろう。保守集団の勝手な幻想が作り上げた幻影に支配されていることか。意図をもって動かしているの存在は、黙って目立たない存在として控えている。安倍氏は鵺の思惑を良く知っている。だから、憲法改定を時々セリフとしてしゃべる。セリフだから、改定まではわかりやすいが、内容に関しては議論を禁じられているのだろう。たぶん安倍氏にもその背景の考える憲法改定の意図は理解できないのだろう。理解する必要すら感じていないのかもしれない。あのしゃべり方にはそういう絵空事のセリフの軽さがあふれている。ところがロシアに行きたいと言い出した会見では、珍しく安倍氏の肉声を感じた。
前回プーチン氏の訪日が中止になった。ウクライナ問題以来アメリカ政府からロシアに近づくなという指示が存在する。その結果である。経済封鎖で追い詰める作戦である。そのすきを縫って、日本がロシアの苦境をチャンスとして接近するの、日米同盟の趣旨から許されるはずもない。ところが、安倍氏はついにそいう発言をした。ロシアに対する揺さぶりであるのか。北方4島が話題になるが、これは建前であり象徴である。日ロが接近することで起こる、アメリカと中国への影響である。インドやオーストラリアへの接近にも、同様の不自然さがある。アメリカの意図とは言えない動きである。安倍氏はかつてないほどアメリカの指示通りの政権であっただけに、最近見せ始めた軋みは、何かの合図のように感じられる。今政府の背景で何かが起こり始めている。
安倍氏は大丈夫なのかという、鵺のうごめく軋みが聞こえ始めた。領土問題はいつでも、問題を顕著化するための看板である。キューピー人形としての国民は領土のツボを押せば、必ず熱くなる。国民を誘導したいときには、領土問題を出してくる。韓国が従軍慰安婦を持ち出して、半日世論を盛り上げる手法と同じである。実は問題が別にある。頼りのアベノミクスがいよいよ化けの皮がはがれ始めた。日本の経済の状況はこんなものだ。むしろ悪条件の中よくやっている方かもしれない。さらに世界の経済状況は悪くなる。先進国は途上国の経済成長から零れ落ちる、甘い汁を貪って、取り合って経済成長をしてきた。途上国も一定の安定に至る。そしてむしろ強敵になる。なでしこジャパンと同じことである。精一杯やっても、戦力は高くとも、負けるときは負ける。第3の矢は日本自身がどこに目指すかが定まらなければ、射る方角も見えないのだろう。