合併浄化槽の設置
小田原市久野の山の方の地域には下水道はない。将来も来ない地域と思われる。そう判断した。それは以前合併浄化槽を入れようと考えて、将来の下水道の予定を市役所に聞きに行った。その時の担当の説明では、出来る可能性はあるというようなあいまいな言い方で、いまにも出来そうなことを言われた。合併浄化槽を入れてすぐ下水道が来てしまえば、無駄なことになるので設置出来ないでいた。しかし、周辺で出来る家は合併浄化槽が義務ずけられている。環境に関心を持ちながら、そういうことをやらないというのも良くない。そこで、裏の崖を直すことに併せて合併浄化槽を作った。裏の崖工事をお願いした秀幸建設さんに相談したら、うちの娘の連れ合いがそういう仕事をしているとの話で相談に乗ってもらった。費用は110万円で5人槽である。三浦さんという若い夫婦が2人がやってくれたのだが、とても丁寧な気持ちの良い仕事であった。
合併浄化槽を作るにあたっては、補助金が出るそうだ。31万円くらいが出るらしい。つまり、80万くらいで出来ることになった。しかし、この補助金の手続きは複雑なものであった。もちろん実際の手続きはフジクリンという業者の方がやってくれた。その時にわかったのは、合併浄化槽の今後の管理の不思議である。補助金はくれるが、浄化槽の点検や管理を専門業者にお願いしなければならない。私の考えでは、家で出るごみは糞尿といえども、自分の敷地内で処理したいと考えている。浄化槽管理であれば、業者より私の方が技術的に上である自身がある。これはもう15年も前になるが、以前山北で浄化槽を作ろうと考えたときに、筑波にまで見学に行った時の話である。筑波大の教授の自宅が、国の循環型住宅の実験施設になっている。100坪くらいの家であった。その庭に、浄化槽と40坪くらいのハウスがある。そして家の周りにはぐるりとU字溝がある。ここで家庭で出る雨水を含めて、一切のものを外に出さないで処理していた。
家庭菜園ハウスを併設した、浄化槽システムである。ハウスの中には水耕栽培のシステムがある。浄化槽自体もハウスの中にある。温度を確保した方が、安定して微生物が活動してくれる。ハウスには野菜が様々作られていた。浄化槽から出る水を軽石の入った連続する、プランターに流し入れる訳だ。その肥料分で、作物が出来ている。面白いのは、浄化槽に近いところには、多肥料の作物、遠くなるとパピルスのような、ほとんど肥料のいらない植物になる。最後にしみ出てくる水は、植物に浄化されて飲めるレベルの水になっている。そして、その水が家の廻りのU字溝に流れる仕組みになっているが、実はそこに水が出ることはほとんどなく、出たとしてもわずかで蒸散してしまう。私の浄化槽のイメージはこのシステムに基づいていた。農業をやっているのだから、当然家から出る水は、外に排水を流しだすのはもったいない。すべてを畑に使う。当然のことである。雨水も同じである。外に出さないで使えば、水道水を使用しないで済むことも多い。
ところが、こういう構想をフジクリンの人に話したところ、役所の基準ではそんなことはやってはならないというのだ。もしそういうことをしたら、補助金の対象にならないだろうと言われた。補助金をもらえないというのも確かに困るので、まずは言われるままに進める。しかし、これでは家から廃棄物は出てゆく。環境の問題は解決しない。まず、しばらくは浄化槽の様子を観察して見る。そのうえで色々対策を考えたい。そもそも下水道など農村地域に作るべきものではない。糞尿は大切な資源だ。しかし、昔のような糞尿堆肥を使えば、近隣から苦情が出るだろう。しかし、合併浄化槽から出る水を畑で使う分には、問題が無いはずである。そもそもそのまま川に流している水なのだ。今度役所に行ってこの辺のことを良く聞いてみたいと考えている。その補助金をもらうには、社団法人の検査とか、業者との管理契約とか、が義務付けられている。いずれ補助金をもらってからの話である。