大飯原発:説明会の意味
大きな事業には、住民説明会の開催が条件になっている。説明会というものが、形式的手順として組み込まれている。大飯原発の再開にも大井町住民の了解が必要である。説明会を開かせること自体が、事業推進になるので止めさせよう。というおかしいけれど、止むえない反対行動が起こリ得る。また、周辺住民という定義がどこまでの範囲かである。裁判判例では実に狭く、地域自治会範囲といわれる場合もある。今回一義的には大飯町の住民ということであるが、原子力発電所の影響の大きさは福島第一から、300キロの小田原でも実際の被害があるほど影響の大きなものだ。日本国全体が影響する。交付金恩恵を受ける地元市町村の了解だけでいいはずがない。福島でも交付金のなかった周辺市町村も、今持って避難地域となっている。この説明会の開催は信頼される、原発安全規制庁のような組織が取り仕切るべきだ。
原発事故の一義的当事者は大飯町住民である。その町の税金は交付金だよりになっている。住民もかなりの数、原発関係者の可能性が高い。しかし、事故があれば2度と戻れなくなる覚悟が必要であるのは、当事者たる地元住民である。この覚悟はしているのだろうか。故郷が放射能廃棄物の集積場になりかねない。福島の双葉町や大熊町の原発には、本来なら、自分の町から全国に飛ばした、放射能は戻ってきても仕方がないはずである。ところが、全く受け入れ拒否の姿勢である。これががれき処理にまで影響して、にっちもさっちもゆかない。原発の交付金を受けるということは、事故が起きた場合、放射性廃棄物がその町に戻ることも覚悟すべきである。つまり、事故が万が一にも起きてしまえば、二度と故郷には戻れない覚悟が居るという事だ。そういう本当の説明を受けているかという事だ。自分達の財産も人生も、消え得て無くなるという現実が説明されなければならない。それでもいいなどという住民はいないだろう。
そこまで説明され、理解してもらい、最後の判断として住民投票をしたらいい。町長や議会が決めれば済むというような、軽々しいものではない。自分の生活のすべてがかかっている。委任の意味の直接投票が必要である。しかも、放射性廃棄物は、40年経過し原発が廃棄されても、何万年も大飯町の原発の中に置かれたままになる可能性が高い。そうしたことが厭なら唯一のチャンスは今だ。今なら住民が厭だと言えば、原発地獄から逃れられる可能性がある。福井県は日本で一番暮らしやすい県だとされている。今でも果たしてそうだろうか。申し訳ないが、私は原発のそばには住みたくない。300キロ離れた小田原ですら、どこかへ行ってしまいたい気分で、畑仕事と向かい合っている。周辺住民として十分な反対をしなかった後悔をしながら、何とか作物への移行を下げようと考えている。東電も国も場使用交渉すらしてくれやしない。
説明会で充分に理解したというなら仕方がないが、ご先祖から受け渡された故郷のことである。原発の恩恵はあるだろうが、万が一事故が起これば終わりという悲惨なものである。福島の現実の中に充分に見たはずだ。そのリスクを受け入れるという事が、今問われている選択である。また安全神話に騙されているかもしれないと、ためらいがあるなら、是非とも声をあげてもらいたい。説明会では事故は起きません。充分対策をしました。世界最高水準の安全対策をしています。こういう事を説明したのだろう。原発ではないが、説明会には何度か出たことがある。開催者側は戦略を練っている。用意万端の専門家対地域の住民という素人である。説明会は何度でも開催しなければ、問題の核心が見えてこない。一度開催など、通過儀礼の説明会としか思えない。