有機果樹栽培の可能性

   

自給農業に果樹は欲しい。果樹の栽培を有機栽培で行うことはとても難しい。笹村農鶏園では、ぶどう、プラム、キウイ、桃、梅、柿、栗、イチジク、プルーン、みかん、ネーブル、夏ミカン、金カン、椿、等の果樹がある。みかんは二度だめにしているが、2度ともうまく行かなかった。23日山梨市で「有機農業:果樹栽培の可能性を考える。」という期待できる公開セミナーがあった。小田原有機の里づくり協議会の19名で参加をした。小田原には有機の果樹栽培で全国的に注目されてきた方もおられる。これからのことを考える農の会のメンバーには、またとない機会になったはずである。日本の農業で、国際競争力ということになれば、有機栽培による果樹栽培である。例えば、2度訪ねた鎮江市でも、桃やぶどうの有機栽培に日本人の指導者がおられた。理由は果樹と清らかな水の連想。日本の清潔な農産物という結びつきが強い。日本の山紫水明への評価は高い。

果物の関税はすでにかなり低いものが多いのだそうだ。お米のように価格の何倍もの関税があるものと違い、果物は関税が無くなっても影響が少ない作物である。また単価が高いので、輸送コストの影響も少ないと言える。輸出をしないまでも、海外からの農産物が自由に来たとしても、可能性の高い作物である。また、これが有機果樹となれば、技術的要素が高い。リンゴの木村さんが世間では評判が高い。だが、昨日のセミナーでは、農業経営という観点から問題が指摘されていた。農業経営としての労働力の投下がそれに見合う見返りなるのでなければ、産業ではない。というようなことであった。冒頭の基調講演をされた。鶴田志郎氏は株式会社マルタを経営されている。自身の農場は11ヘクタールだそうだ。全国に販売組織を広げている。夏ミカンを中心にされている。夏ミカンは我が家でも良くできる。しかし、売るには大変な作物だ。

みかんではもう一人愛媛から宇都宮昌光氏有機農業35年だそうだ。農家のグループが力を併せて有機栽培に取り組んで試行錯誤されてきた、実践のお話であった。日本の農家力。こうした地道な努力が作り上げた、技術体系には目を見張るものがあった。次の時代にこうした美しい日本人が現れるなら、充分日本はやって行けるだろう。もう一つのテーマがブドウ栽培。山梨の澤登早苗氏と岡山の上松美智夫氏。澤登氏は有機農研の会長だった方の姪である。恵泉女子大の教授である。感触は農の会と通ずるものがあった。上松美智夫氏はまさに農業の天才である。2反のガラスハウス栽培で、4000万円は収益がありそうだ。ともかく緻密で、やれることはすべてやりつくしている感じだ。一房2万円で結婚式場に出すぶどう。岡山大学の岸田教授が見えていたが、岸田教授は合鴨農法を中国に紹介されている方で、一緒に中国に行った。岸田教授がその技術を絶賛していた。

みかんが小田原で有機栽培が出来るのか。これを皆さんに聞いてみた。皆さんが出来ると言われる。問題は慣行農業からの切り替えにある。木が弱るのでこの転換を慎重に進めなくてはならない。みかんは果樹の中でも多肥のものである。土壌が良くなるまで、どんな手当をして行くかが決め手である。また寒いところでは、収穫がどうしても遅らせて甘みが乗るのを待たざる得ない。それで木が弱りがちである。ここをどう乗り切るか。技術的には剪定が重要である。日光を全体に通す剪定。作業はカミキリムシをこまめに発見して取り除くこと。寒いということは、病害虫の発生が少ないともいえる。これを生かせば、可能性は高いということであった。帰りの車中では長谷川さんを質問攻めにしてしまった。長谷川さんのみかん栽培に対する、深さには驚嘆した。全国くまなく歩いている。そして自分の目で分析されている。小田原の農業技術の蓄積も深い。

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