抑止力
沖縄から基地を減らせないのは、抑止力について勉強した結果と鳩山首相は発言した。理論的に間違った発言である。海兵隊は沖縄に存在しないでも、国内のどこかに存在すれば、日本の抑止力に少しの影響もない。あたり前の事だ。沖縄に我慢しろの根拠にはならない。日本本土人の傲慢である。沖縄を繰り返し犠牲にしてきたのは、日本人全ての責任である。薩摩藩の支配。戦争末期の地上戦の地獄。そして、占領地としての長い年月の切り離し。返還後基地の固定化。そして、最低でも県外とまで断言しながら、平然と辛抱してくれとは、驚くべき差別ではないか。「抑止力とは何か。」沖縄の米軍隊は何に対する抑止力であるのか。よく言われるのが、北朝鮮、中国である。それならば何故、アメリカは在韓米軍を大幅に削減し、近い将来全てを撤退する予定なのであろうか。韓国とアメリカの関係の精査が必要だ。
横須賀、嘉手納、三沢、横田の4つの米軍基地は、アメリカの海外5大基地だそうだ。何故アメリカは日本に基地を集めようとするのか。日米安全保障条約が背景にある。軍事力を大きくは持たせたくない、日本の軍備を肩代わりする形で、日本に経費負担を依存しながら、世界戦略の基本に日本での海外基地統括を想定している。それぐらいに、歴代の自民党政権はアメリカの言いなりであった。日本を海外拠点基地とみなし、自由に使うことをアメリカの権利としてきた。日本に対する抑止力など、おこぼれのようなものなのだ。日本に基地を置けば、日本に軍隊を持たせず、米軍経費だけを受け取れるというアメリカの利点がある。普天間移設問題に見られるように、アメリカの態度には、一貫して日本国民への説明がない。なぜ、移設が沖縄の中でなければ成らないのか。ヘリコプター訓練基地が、200キロ以内とか少しもれてくるが。もし、米軍を抑止力として必要とするなら、沖縄の負担を日本本土が全て肩代わりする必要がある。
具体的に沖縄の海兵隊が、どのような抑止力であろうか。イラク、アフガニスタンに派遣されている軍隊の基地である。ほんとうに、北朝鮮や中国を仮想的国というなら、韓国に海兵隊は置かれるべきである。海兵隊の目的のひとつは、在外米国人の救出だそうだから、韓国に居た方が効果は高い。私には、北朝鮮がいかに冒険的な国家であるにしても、海軍空軍を持って、日本を侵略するほどの戦力はなく、あるとすれば原子爆弾のミサイル爆撃を行うであろうことである。そのための抑止力とは、沖縄の海兵隊はほとんど関係がない。世界全体の基地であろうするなら、グゥアム・サイパン・テニアンいずれであろうと、変わりがない。その費用を日本が持つと言う前提で、交渉できるはずである。グゥアム移転費用をけちった辺りから、どうも話がこじれたように見える。韓国が腹案ではなかった。
以下は抑止力の構想である。沖縄をエコロジーアイランドとする。長年沖縄に負担をお願いしてきた、お礼として、沖縄を日本のユートピアとする。ひとまず一切の基地を本土に移す。そしてその負担の大きさを日本本土人全員が体験する。当然、近い将来は米軍基地は廃止することになる。沖縄で返還された基地跡地は循環型社会構築のエコロジー技術の開発拠点とする。様々な環境先端技術の集積を行う。国の環境予算も、沖縄に集中的に投入する。風力発電技術。蓄電池の研究。次の時代を切り開く技術の開発拠点に沖縄がなる。そうした学術的研究機関も沖縄に集約してゆく。一方に、地域の風光に調和した、老人天国を作る。日本人の老後は憧れの沖縄暮らし。それに相応しい、医療機関や福祉サービスの集中した整備を沖縄で行う。沖縄天国で暮す、老人たちからの収入で、沖縄の経済が成り立つようにする。当然熱帯的な気候を利用した、農業を展開し、日本の食糧基地としてゆく。あまりに沖縄に投資を集中するために、国内に不満は生れるだろうが、それは長年の償いとして、国民等しく我慢する。