自給自足の規模

   

自給自足を行おうとした時、どのくらいの面積があれば、可能かと言う事がある。
そもそも、可能かどうか、の疑問もあるのではないかと思う。
私も20年前そう思っていた。できないだろうと、不安の中、はじめた。やってみて失敗したと言う話も良く聞く。

私の体験を残しておく事は大切だと思うので、何度も話したり、記録したことだけど、又、少し違う角度から書いて置きたい。

自給自足と言っても、私がやってみたのはあくまで、食についてだけの事だ。しかも、その頃は3人で暮らしていたが、私の分のみと言う意味だ。私一人のことで、家族3人の自給は出来なかった。お米など60キロぐらい採れたが、計算すると私の分であると言う意味だ。食べさせなかったわけではない。

では生活はどうするかと言うと、勤めに出ていた。当時は学校に勤めていて、東京まで行っていた。週3日美術の講師として、世田谷学園と言う学校に勤めていた。しかし、東京まで通う生活は、限界に来ていて、何とか切り替えたい。そういう思いで、養鶏を業として、取り組み始めていた。

始めた場所は、山北町の高松山の山麓。標高330m。北傾斜の杉の植林の場所です。条件はよくなかったが、沢水と舗装道路があった。条件として、機械力は利用しない事にした。当時は運転も出来なかったし、歩いて暮らせると考えていた。
田んぼが30坪必要と考えた。それで、50キロのお米は採れる。裏作に麦をやって、30キロ。これだけあれば、穀類は充分だ。田んぼの造成法は別の機会に書く。

次に大切な事は、鶏を飼う事。自給には不可欠な事になる。2,3羽のエサなら、食べ残しや、米ぬかなどを使えば、何とでもなる。卵は大して産まないかもしれないが、肥料は出来るし、肉も食べる事ができる。食べる事ができればの話だが。いざとなれば、出来るもんですが。鶏は自分でヒヨコを抱卵するもの。エサも少なくていいので、チャボがいい。チャボを飼っている人に、捨てるのでいいからくれと言えば、もらえると思う。

野菜の類は30坪もあれば、一人分なら充分にできる。こまめに行う事が何よりで、自分が食べる物を作るなら、丈夫な品種を選び、味などこだわらずにやった方がいい。狭い畑はサイクルが、一番の問題なので計画のたて方が大切。欲張らず、同じ物ばかり食べる覚悟で、やらないといけない。大根ならできると言う人は、切干を作って、一年中大根の覚悟でやればいい。その内なんでもできるようになる。始めは、サトイモと芋茎ばかりなら、誰だって出来る。美食にこだわるような人の、菜園趣味とは、ちょっと違う覚悟がいる。

私の経験では、農法にこだわると言うのも、止したほうがいい。はじめは普通にやる事。自然農法だとか。不耕起農法とか。コントロールが難しいので、慣れたらやればいいので、先ずは草はとり、堆肥を入れる。堆肥は鶏小屋の中で作ればいい。鶏小屋の床を堆肥置き場と考えて、どんどん落ち葉や草や、残飯を入れたらいい。鶏は、堆肥の上で暮らすのが一番いいのだから、合理的だ。

ハウスがいる。狭い畑を有効利用するには、苗を作る必要がある。直播は場所をとる。ハウスはビニールで否かもしれないが、10年以上大切に使うなら、許されると思う。苗作りが、全ての原点なので、これだけは慎重に行う。出切れば、鶏小屋の床と米糠をハウスの一部に積み込み、踏み込み温床で苗を作る。

自給で困るのは端境期だ。3月4月はどうしても野菜物が切れてくる。逆に言うと、他の時期はさして考えなくても何かある。2月から5月を中心に考えた方がいい。そうだ。これは足柄地域の話で、寒いところでは全く違うので。ハウスが一つあれば、この端境期が乗り切れる。これは。広い方がコントロールがしやすい。小さくて2間・3間の6坪ぐらいは必要です。

最後の手段が、採取だ。毎日一品の覚悟で、集めれば。山や川原には端境期は、山菜の季節だ。

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