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笹村 出-自給農業の記録-

内閣が憲法改正原案を提出できるのか。

   

 

高市氏は「内閣が憲法改正原案を提出できる。」と答弁した。いよいよ憲法が危ういことになっている。以前から提出出来るという解釈があった。ただし、今までの歴代の総理大臣がそうした主張を、国会で答弁することは控えていた。国民投票で否定される可能セが高まるからだ。

高市氏に維新の党が連立に加わり、憲法改定に対する様相が変わり始めている。維新の党は国会議員は毎朝靖国神社に参拝すべきという政党なのだ。その理由は述べていないが、たぶん、戦争で亡くなられた人に敬意を払うのは、国会議員として当然のことだということではないだろうか。

その通りではあるが、それならば、千鳥ヶ淵の戦没者霊園に行けば良い。靖国神社には、戦争を指揮して、国民を戦争に駆り立てて、戦犯になった人も祀られている。日本を間違った道に進めて、敗戦に導いた人まで祀られている。それは許されることではない。

多くのアジアの人を加害した人が祀られている。だから、靖国神社には天皇家の方々はお参りしないのだ。この点を維新の会では認識があるのだろうか。それを分かった上で、高市氏は参拝をしている。これを中国や韓国が許しがたいとしているところだ。

自民党の場合は、意識して加害の責任者を祀るべき存在と認識している。高市氏はその最たるものだ。明治帝国主義を正しかったものと考えて居る。そして、もう一度明治憲法に戻したいというのが、立党からの趣旨である。それが良いという人は自民党を支持すれば良い。

私は間違っていると考える。日本がもう一度戦争の出来る国になれば、徴兵制度が出来る。そんな国にすべきではない。中国でも、台湾でも、韓国でも、徴兵制度がある。世界で兵役を義務化している国が60数カ国だそうだ。そうなりたくないものだ。

日本の素晴らしさは、若者を無理矢理兵隊にしない国である。人殺しの訓練を若者に強制しない国である。殺し合いをしてまで国を守ることは正義ではない。平和外交の努力が第一である。高市氏は平和外交をわざわざ壊しにかかっている。

日本は近隣諸国に軍事侵攻をして、悲惨な暴虐をしてしまった。その加害を忘れては成らない。日本では戦争体験と言うと、被害の記憶の継承と言うことになる。戦争による死亡数は約376万人にのぼると推計されたという。確かにすさまじい戦争体験である。

それも大切なことではあるが、より重要なことは、加害の記憶の継承である。中国政府によると、日中戦争での日本軍が殺した人の数は1000万人を超えるとしている。アジア全体ではさらに1000万人の死者が推計される。忘れたいことではあるが、忘れては成らないことなのだ。こちらがおざなりになっていないか。

日本の軍事侵攻に対する、様々な言い訳はある。アジアに対する欧米の侵略を阻止する、大東亜共栄圏思想を未だに持ち出す人さえ居る。何を同のように主張しようとも、日本人が行った、近隣諸国に対する暴力行為は許されることではない。逆の立場になり、考えれば分かることだろう。

確かに根拠のない軍国日本批判もあるだろう。しかし、その根底にあるのは、明治帝国主義の軍事国家日本が行った侵略行為にある。その理由付けを、どのように美化しようとも、この侵略戦争で多くの人を、10000000人と言われている。日本軍国主義には加害の責任がある。いつまでも、忘れては成らないことなのだ。

内閣の憲法改定提出権の見解を控えていた理由は、憲法改正を行うためには、国民投票で支持されなければならないからだ。内閣が強引に先行すれば、独裁政治出現の兆候に対して、国民が危うさを感じて、反対票が増えると考えるからだった。ある意味用心をしていたわけだ。

ところが、高市氏は根っからの右翼政治家のために、配慮というものがない。思うところは口に出す。今までの歴代の総理大臣が、あのアベ氏すら言いたくても言わないで来たことを、次々に口に出している。性格が単純で、余り頭は良くない人なのだと思われる。馬脚が現われている。女性総理大臣にコウ書けばセクハラか。

台湾有事を巡り「存立危機事態」に当たるかどうか問われ、状況次第で該当するとの見解を示した。言ってはならないことを言ってしまった。台湾問題は今までの総理大臣は国会答弁では曖昧にしていた。外交では曖昧が一番と言うこともある。

日本は台湾を国家として承認していない。中国を唯一の国家として認証している。もちろん台湾が友好国である。中国が仮想敵国である。そうであるとしても、口には出さないで置くのが外交では重要な態度になる。分かっていても言わぬが花。

日本はアメリカと同調し、明らかに台湾を友好国と考えて居る。アメリカの中国敵視政策に従い、中国を仮想敵国と考えて居る。しかし、実際には中国を唯一の政権と認定し、国交を結んでいる。この自己矛盾を曖昧な態度で誤魔化すことにしてきた。

それがいわば日本の政治だった。と言うか、外交はどの国でもそういうものだ。平時に余計なことを発言してしまえば、自ら選択肢を狭めてしまえば、外交の切り札が減ってしまう。まして、中国は今後世界一の経済大国になる、隣国である。良かれ悪しかれ、良い関係を作らねばならないのだ。

台湾に関しては、いわば玉虫色な態度をとってきた。それは同盟国アメリカの態度を見習ってのことである。建前は中国の問題であるとしながら、実際には台湾を守るべき地域としている。JFケネディー大統領が台湾を、防衛しないと、大統領選挙で発言していたが、大統領になったら、台湾は防衛するに変わった。責任者は本音など口にしないものだ。

トランプ大統領も、台湾を防衛すると明言している。しかし、中国を正式唯一の政府として承認している。外交というものは正直だから良いとは言えないところがある。あえて棚上げするのも一つの道である。日本は中国に対して配慮をして、曖昧な態度をとってきたのだ。

尖閣諸島を棚上げしていたのは、日本と中国が国交を結ぶための方策だったのだ。それをあえて棚から下ろしたのは、都知事石原慎太郎である。その末端にいるのが、石垣市長の中山氏である。中山市長が勇ましいのは勝手だが、市民の1人として本当に迷惑な人だ。

高市氏は明確に、中国の台湾侵攻が始まれば、日本の存立危機に当たるので、軍事行動に出ると明言したのだ。軍艦が台湾を攻撃してきたらそれは、日本の存立危機だと明言したのだ。私も台湾が一番好きな国だから、台湾を守って欲しいが、それは言わぬが花だと思っている。

「戦艦を使い、武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になり得るケースであると私は考える」と総理大臣としての見解を披露した。台湾を巡る状況について「環境は深刻な状況に至っている。最悪の事態を想定しなければならない」と説明した。勇ましいのは良いが、底が浅すぎる。

台湾有事で米中が交戦し、中国軍艦が台湾を海上封鎖しても中国軍は日本に武力攻撃をしている訳ではない。しかし日本が米軍を守る集団的自衛権で中国軍を攻撃すれば強大な中国軍との戦争に突入してしまう。多数の自衛官や八重山諸島の市民が死傷する。高市総理の勇ましさははた迷惑だ。

憲法改定問題である。法律では改正であるが、どう考えても改悪なのに、改正とは言いたくない。日本の平和憲法は世界の最後の光のようなものなのだ。確かにアメリカにあった民主主義の理想から生まれたものではあるが、日本人として素晴しい平和憲法に誇りを持っている。

日本人であれば、毎朝憲法を唱えなければならない、と言いたいぐらいだ。私もしていないが、時々は読むことにしている。素晴しいものだ。特に国会議員には靖国は行かないで良いから、憲法を読むことを義務づけたいぐらいだ。国会議員は憲法を遵守しなければならない義務がある。内閣には憲法に従い、政治を行う義務がある。

世界では戦争が続いている。日本にも責任がないとは言えない。日本は平和憲法を持つ国だ。国際紛争の解決を平和的に行うと宣言している唯一の国だ。確かにピエロかもしれないが、ピエロと言われても日本政府は絹布に従い、やるべきことはある。

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