中国による台湾侵攻の状況判断

   



 アメリカ上院議長のペロン氏が東アジア訪問のなかに、台湾訪問を加えた。東アジアをアメリカの防衛に重要だと行動で示した形だ。アメリカが台湾を民主主義国家の仲間として、軍事力を持ってしても守ると言うことを表明したことになった。これは素晴らしいことだ。これこそ平和外交の姿だ。

 ペロン台湾訪問は重要な行動だったと思う。中国習近平政権は間違いなく、台湾を軍事力を持って併合しようとしている。それは今の中国の状況は必ずそうせざる得ない状況が来ると言うことでもある。戦争は自国内の状況が強く影響して起こることになる。

 中には中国を刺激して、軍事緊張を高めたペロン台湾訪問を、否定的にとらえる人が居る。それは現状認識が出来ない、事なかれ主義者の甘いあまい戯言である。アメリカが何も行動しなければ、五年後くらいには必ず、台湾侵攻は起こると見なければならない。アメリカに台湾を防衛する意志があると言うことを示すことは、台湾侵攻を止める行動だ。

 日本には準備がない。軍備的な準備もなければ、国民の統一した意志も明確にされていない。日本は台湾を守るというような意志を示していない。台湾侵攻が始まれば与那国島は戦闘に巻き込まれる可能性が高い。では何をすれば良いか。

 中国との平和外交である。それこそ甘すぎると言われるかもしれないが、武力を使わない平和への道は表も裏もあり、日本と戦争したくないと考えさせる道はある。その模索と努力こそ日本の探るところだ。困難な道だが、粘り強く、中国と交渉してゆくべきだ。平和裏に台湾が民主主義を守れるようにすれば良いのだ。一国2制度の保障付き統一もあるかも知れない。

 ウクライナでもそうしたシグナルがあるときに、ウクライナ政府は手を打つことをしなかった。その結果、予想だにしなかったロシアの軍事侵攻が始まってしまった。ロシアの軍事侵攻が必ずあると、繰返し警告していたのはアメリカであった。

 日本で行ったバイデン大統領の台湾を軍事力で守るという発言と呼応している。アメリカは台湾、および日本そして韓国を軍事力を持って防衛するつもりだと、表明したのだ。このことは日本の為という以上に、アメリカ防衛の最前線という認識から来ているものでもある。

 対中国の防衛線として台湾を中国に併合させるわけには行かないという、意思の表明だろう。バイデン政権の行動を見ると、台湾侵攻は起こる前提で行動しているとみて良いだろう。トランプ大統領はアメリカ一国主義を表明して、東アジアの同盟国の必要性にたいして理解不足を露呈していた。アメリカの独善だけを考えるご都合主義だった。これでは民主主義国家とは言えない。

 世界情勢は自由主義的な資本主義国家群と、一国資本主義国家群の対立という構図だ。軍事的な対立以前に、経済的な対立である。経済は競争である。強い方が弱いものを吸収してしまう。日本の経済が弱くなってだんだん力を失っている姿を見れば、それと同じことがアメリカでも起こると言うことに実感がある。

 一国資本主義の中国の経済成長がめざましく、経済規模でアメリカを凌駕する可能性が高まってきた。これは可能性ではあるが、かなり現実性の高いところだろう。これはアメリカの経済の鈍化を意味している。資本主義は競争だから、売れる商品を開発して、安く販売することが出来る中国は勝利する。そして中国は自由資本主義国全体に匹敵する規模の国なのだ。

 このことは中国に全世界が支配される可能性すら存在すると言うことだ。これは善悪ではなく、そういう想定もして日本の国を運営しなければならないと言うことだ。資本主義の競争の原理があくまで自由主義であるなら、一国資本主義を排除することは出来ない。

 このままでは人間は自由であることで、その能力を発揮できるというすばらしい考え方が、人間は国に支配されてその能力を使う方が、優れているという結論になってしまう。自由主義国家よりも独裁国家の方が資本主義競争に勝つという結果である。

 こんな理不尽なことはあってはならない、現状の結果であるが、経済の原理から言えばその可能性の方が大きい。何故こうしたことが起こるかと言えば、自由主義競争が単なる目先の利益ばかりを追う、大資本の既得権益を守る形になっているからだ。

 アベノミクスの失敗もそこにある。目先の大資本を守り、そこに資本を集中させることに、政府の政策が偏ってしまった。そのために新しい産業が創出できない。未だかつてない発想がなければ、次の産業は生まれない。ガソリン自動車に成功しているトヨタの発想はハイブリットまでで、電気自動車への転換がどうしても遅れる。

 農業分野で言えば、政府は国際競争力のある農産物と言うことを、方針にしてきた。果たして成功して、日本の農業は拡大されただろうか。まったくそれどころではない衰退である。もう日本の農業は希望を失いつつある。しかし、その反省は全くない。

 しかも、その国際競争力強化政策を今後も進めるというのが政府の方針である。反省が出来ないところまで政府は落ち込んでいる。農業者全体が意欲を失い始めている。子供に継がせられない自営業は衰退して当然である。一部の国際競争力のある農業企業は別であるが。

 農業の重要性は輸出ではない。日本人が日本で生産される農産物で生活ができると言うことだ。農業の最大の目的は食糧自給である。リンゴやイチゴは農業の中心にするわけには行かない。農業は米麦大豆なのだ。米はまだしも、麦、大豆は輸入依存である。

 農業においては主食をどうするのかと言うことが、最も重要な価値なのだ。こうした揺るがない方針がないために、目先の経済に振り回される。安定した基板のない国だから、新しいものも生まれないことになった。すぐにお金になる農産物の研究開発だけに研究費がまわっている。

 熱帯化する日本の国土における、稲作を考えれば、インディカ米との交配の研究は欠かせないはずだ。ところが、そのような稲作の研究は、ほとんど力が入れられていない。台湾と競べると実に寂しい情けないような結果になっていて、東北のお米のヒトメボレが石垣島で作られる結果である。

 政府の方針が間違っている間にますます日本の農業は歪んで危うさを増している。それは私の知らない、様々日本の産業分野で起きていることなのだろう。これでは中国との競争に勝てるわけがない。中国の問題点をほじくるように数え上げて、中国は崩壊するという主張をする自民党の国会議員が居るが、そんな人の弱点を数え上げるぐらいしか出来ないと言う事がすでに、衰退国の印だ。

 台湾にはいつか中国の軍事侵攻が起こる。それを起さないための日本の外交はある。第三の平和の道を模索するのが隣国日本の役割である。与那国島に戦闘が及ぶだろう。だから与那国からの避難計画が必要だ。台湾の在留邦人の避難も問題にされている。

 確かに、そういうことは必要ではある。しかしその前に行う平和外交こそ重要だろう。先ずは民間交流だ。互いに観光を再開することだ。互いを知る事は極めて重要である。中国人は日本人とよく似ている。互いの顔色で分かる関係だ。腹の内まで読める。互いに温かい交流を再開しよう。
 

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