公明党と国民民主党の入れ替わり。

自民党は前回2021年から533万票(26・8%)減の1458万票に落ち込んだ。連立を組む公明党も114万票(16・2%)減の596万票となり、両党とも1996年の比例代表導入以降で衆院選としては過去最少の得票数になった。 自民の得票率26・7%は政権復帰後で初めて大きく3割を下回った。自民党支持は4人の1人の少数派である。
公明はついに600万票を割り込む結果になった。これは一番票が多かったときに較べて、半減と言えるほどの票を減らしている。今回の自民党の得票減は裏金脱税を、説明無しに民主主議にはお金がかかるのだとごまかして通そうとして、あまりの強引さに国民が怒った結果だ。
自民党は国民民主党と部分連合を組むことになりそうだ。公明党とだけ組んでいたときよりはましになると思う。公明党も以前は9条を守るためには役立っていたが、最近は自民党の軍国主義に抵抗できなくなっていた。今度は誰が自民党の軍国主義に同調するのか、問われることとに成る。
立憲民主党は自民に次ぐ1156万票を集め、自民党にかなり肉薄したと言える。それは自民党への批判票が野党第一党に集まったと言うことが、主たる理由だ。立憲民主党の政策への直接の評価ではない。立憲民主党に投票した支持者ではあるが、この点を立憲は十分に自覚して貰いたいと思う。
次の国政選挙が来夏あるのだから、もう一度日本の政治が問われる日は近い。それまでに立憲は政権を担うための体制が必要である。批判勢力というものが一つにまとまることは極めて困難だ。政権への批判は多種多様なはずだ。しかし、今の自民党政治を終わらせることが、一つだけの目標だ。
そのための力を、特に官僚との関わりを十二分に研究しなければならない。自民党は官僚を人事で掌握している。例え立憲が政権を取ったとしても、すぐに自民に戻るのだろうから、立憲に協力して、自民になったときに冷遇されることは避けたいというのが、今の官僚の考え方だろう。立派な方も多い。日本の為なのだから、良い官僚が力を持つような官僚の世界に変って貰いたい。
次の選挙において、はっきりと条件が変ったのは、自公政権を支えてきた、公明党の立ち位置である。自民党は選挙に於いて、何故統一教会の力を借りなければならなかったかと言えば、実働部隊が自民党にはないと言うことなのだ。
自民党が選挙運動をどぶ板でやるためにあるのは、党から配られるお金だけが頼りだったのだ。お金を県連の県会議員、市会議員、町会議員と配り、動いて貰う慣習になったのだろう。お金を陣中見舞いという形で配布しなければ、動き出さない集まりになったのだ。
そこに、統一教会がつけ込んで、電話がけやら、ウグイス嬢やら、ポスター貼りと選挙の一切を要領よく進めてくれる。御陰で当選できる。このパターンが定着したのだ。議員は普段はふんぞり返っていても、選挙の時だけは頭を下げて歩くのだ。この一番の急所を統一教会は押さえたのだ。
統一教会は選挙の専門家を組織として育成した。選挙運動にはそれを専門とする人間が居ると、大いに役立つのだ。統一教会は選挙の専門家を育成し、各選挙区の選挙情勢を日ごろから把握している。自民党は電通と統一教会で選挙をしていたのだ。
だから選挙戦術が的確に立てられたのだ。小田原でもアベ氏元秘書をやっていた人が、まさか何故なのだろうという状況で当選した。そしてこの人は統一教会べったりになった。真面目そうな人にみえたが、当選しても何もやれることはなかった。
今回の選挙の自民党の痛手はこの統一教会が手を引いたこともある。そして、代わりに頑張って動いてくれるはずの公明党の、支持母体の創価学会が衰退を始めていたのだ。以前から、会員数は500万はないだろう。言われていたのだが、その実態が表れたのが今回の選挙である。
創価学会は会員世帯数が825万人を自称している。もしこれが事実であれば、600万票を切る得票数は何を意味するのだろうか。すでに実態としての会員数は500万を遙かに下回っている。一番の原因は老齢化である。回復の兆しはないから、このまま減少の一途であろう。
公明党の力が弱まったことが、今回の選挙結果で一番希望を感じることだ。つまり、自民党は公明党の運動力を利用して、選挙を行うことがいよいよ難しくなった。となれば、地方組織を動かすためには、思想哲学で自民党を支持する自民党員が必要になる。しかし、お金で動く組織になった。そうしたまともな人は離れただろう。
公明党の衰退は日本の政治には良いことである。公明党が復活することは間違ってもない。与党にへばりついてきたコウモリ党の宿命である。創価学会が会員数を増やすようなことがあれば別だが、現状では徐々に衰退して行くとみて間違いないだろう。
しかも自民党は小さくなった公明党と連立し、その上に国民民主党と手を結ぶことになる。国民民主党は「手取りの増加」を掲げて選挙をやった。これが評価をされ、自民党票を奪ったと言えるのだろう。この手取りの増加のを見てみると、甘い言葉は並んでいるが、財源への言及がない。
増税や社会保険料アップ、給付削減などによる家計負担は行わず、消費税率を10%から5%に引き下げる。最低賃金を引き上げ、「全国どこでも時給 1150 円以上」を実現する。こうした政策の背景になる、財源確保や財政健全化の政策は示されていない。負担無しに給付を増やせる選挙公約が、国民に受けたのだ。
国民の政策は手取り増加の意味は分るが、財源をどうするのかがないのだから、自民党もどうこの無理な要求を、どうやって受け入れるかが問題になるはずだ。何を受け入れて、何を無理とするのか。今後の両党の交渉は注目しなければならないだろう。国民の実態が、国民にここで見えてくるはずだ。
金権政治の行く先である。これが、これからの政治の争いになるはずだ。さすがに自民党も、お金の出入りを今までよりは明確にせざる得ないだろう。どこまでやるかが、これからの野党との戦いになる。野党は参議院選挙があるから、妥協はしないだろう。
自民党の言うところの、民主主議にはお金がかかるという実態もいよいよ見えてくるはずだ。選挙には一律2000万が配られるらしいが、それをどう使ったのかを、自民党議員ははっきりとさせて貰いたいものだ。パーティー券販売を今後もやるとすれば、誰がいくら購入して、そのお金は何に支出したか。クレジット決済にすれば良い。
これなら脱税も出来ない。あの土建会社は〇〇議員に何百万円出している。そして、公共事業を受けている。こうしたことが明確になれば、次の選挙でその是非を判断が出来る。それを良しとする人が、自民党に入れれば良いのだ。
民主主議にお金がかかるなど全くの嘘なのだ。民主主議など自民党は考えたことも無い。どうやって民主主議を踏みにじるかだけを考えている。お金がかかる金権政治が現状なのだ。やっと自民党政治が壊れるときが来た。次の参議院選挙までが重要である。