良い田んぼ土壌の作り方 

   



 石垣島の土壌は、そのままでは田んぼはの土にはならない。有機農法で十分に稲が育つ土壌ではないようだ。腐食分を含まない粘土質の細かな土壌が多い。畔塗をしないでも水漏れがほとんどない土壌である。雨が降ればドロドロになり、しばらく水が引かない。そして乾けばコチンコチンになる土壌である。

 それは太陽光に長年さらされてきた土壌の特性なのだろう。腐食が極端に不足している。当然作物が育つ肥料分も少ない。蓄積される腐食よりも失われてゆくものが多い。特に団粒構造がないということが、有機農法では課題になる。どうして腐食を増やすかを農法に取り入れてゆかなければならない。

 普通の農家の方は化学肥料と農薬で営農されている。小田原よりも使用量が多いいように見受けられる。これも亜熱帯の已む得ない事情なのだろう。有機農法のように土壌の力で作物を作るとなると、まず良い田んぼ土壌を前提として作ると言うことが必要になる。2年間ではまだまだ土壌が悪いままである。

 石垣島は亜熱帯と言われるが、近年の温暖化では熱帯と言えるような気候だと思う。UVカットの服を着ていて、背中の皮が2回日焼けではがれた。10月後半でも夜の気温が26度昼間が31度というのが普通なのだ。普通に5月田植えで、9月収穫となれば、気温が25度以下になることが一日たりともない。

 そこで、次は11月種まき12月田植え5月稲刈りをやってみようかと思っている。11月でも小田原の苗作りの5月よりも気温ははるかに高い。台風を避けるということが大切になる。穂が出るころの強い風が不稔の要因になる。与那国島の稲作の事例では昔から11月田植えがあったことのようだ。

 気温が高すぎて生育が早く進んでしまい。奨励品種の「ひとめぼれ」「ミルキーサマー」「ゆがふもち」のどれもが13枚目の葉が止葉になる。小田原で同様なことが起き始めている。農の会の今年の稲作はかなり落ち込んだ。それはあまりの高温で何か問題があった気がする。イネが萬作にならないため、当然収量も低いものになる。

 気候的な条件を考えると、やはり土壌をさらに良い状態にするということが不可欠になる。土壌がたまたま良かったと思われる場所のイネに、ほぼ萬作で15枚の葉にまで育ったイネがあった。トラックターがもぐって、土壌が深くなった場所だ。そこでトラックターを回していたということと、入水口付近で水が比較的良かった。

 石垣島は土壌の成り立ちも違っている。強烈な太陽光線で土壌は腐植の分解の進み方が驚くほど早い。腐食を増やすことが、土壌を良くする一つの条件だと思うが、これが藁を戻すというぐらいのことでは、到底間に合わないというのが、今までの結果である。

 石垣島の「のぼたん農園」では、「ひこばえ農法」と「アカウキクサ農法」を中心に行っている。年に2回ないし3回の稲わらや畔の草はすべて田んぼに戻している。アカウキクサは年に2回広がり、消えて土に戻っていると思われる。普通ならば腐食が増えてよいはずだが、そんな感じはまだない。もう少し根気よく行わなければならない。

 稲わら2回アカウキクサ2回の腐食分を戻しても土壌に腐食がまだ十分という感じはしない。やはり、3年以上の繰り返しが最低でも必要なようだ。最初と比べるといくらか土が団粒化してきたようではあるが。粘りは出て来ているのだが、やはり腐食の消耗が早く進んでいるという気がする。

 水温が高すぎるということがあるかもしれない。水が少ないために貯め水にならざる得ないために、40度前後になってしまう。この水温だと腐食分の消耗が高まるのではないだろうか。その意味ではアカウキクサが表面を覆ってしまえば少し下がるかもしれない。

 ひこばえを栽培するために田んぼに藁を漉き込むというより、敷藁にして漉き込まない状態である。水の中でワラは形を徐々に失くしてゆく。ひこばえが終わり、しばらく田んぼを乾かす。この時に出てきた草はハンマーモアーで粉砕して枯らしてから、トラックターあるいは水牛で漉き込んでいる。

 現状では肥料不足もあるので、「よみがえり」という石垣島たい肥センターの牛糞たい肥を、田んぼの準備段階で2畝で30キロ入れている。その後穂肥として、30キロ。稲刈り2週間前に次のひこばえの為に30キロ入れる。よみがえりはアカウキクサの増殖の効果がある。

 基本的にはこのままもう一年継続してみたいと思っている。3年継続して、土壌の改善が見られないようなら、考えを変えざる得ない。来年は方向を見定める年になるのだろう。今のところ、イネの様子を見ると、最初よりも悪くなっているような気がする。どうも病気が出て来ているかもしれない。

 田んぼが一年中乾かないことに問題があるのかもしれない。どんな通年通水の田んぼでも、稲刈りの前後年間2か月ぐらいは乾かす。これが入らないと土壌が腐敗し、根が弱り、病気が増えるのかもしれないと想像している。短くてもよいので、田んぼの土壌は乾かす期間が必要だ。ひこばえ農法でも、乾かす期間は必要だ。

 稲は水に浸りながらも、呼吸ができる植物ではあるが、水が常に停滞すると根腐れなどの病害が発生しやすくなる。水は動いている状態が良い。流し水管理が望ましい。のぼたん農園の粘土質の土壌は保水性が高い一方で、水はけが悪く、根が弱り、十分な栄養や水分の吸収が妨げられていることが推測される。

 のぼたん農園の水持ちがよいが、乾くと固くなりやすい土壌では、根の成長が阻害され、根腐れが起こりやすい。 適切な保水性とは、土壌が適度な水分を長時間保ち、乾燥せず稲の成長に必要な水分を供給できる。土壌は湿潤状態と考えればいい。

 雨降り後に水が引いて湿った状態で握ってもわずかに水がにじむ程度がいいとされるが、のぼたん農園の土は保水性は高すぎる。雨が降ったあと水は土壌に染み込んでゆくことがほとんどない。土壌粒子が細かすぎるのだろう。腐食を増やすことがやはり一番の改善法になる。

 のぼたん農園では深耕する必要がある。 土壌を柔らかくし、根の成長に必要な水はけのいい空間を20センチ以上作り出す必要がある。その深く耕された土壌には有機物の追加が必要である。もみ殻も良いかもしれない。腐葉土、堆肥などの有機物を土壌に混ぜ込むことで、水分を保持し、土壌の構造と通気性も改善する。

 緑肥の播種も必要であるが、ひこばえ栽培をやる場合は緑肥はできない。その分アカウキクサの窒素固定能力を利用する必要がある。アカウキクサは漉き込むよりも、田んぼを乾かして、土壌表面に張り付けることで、土壌に窒素を咥えてゆくことができる。

 今後の田んぼの土壌の改善点を整理すると。
1,年に最低2か月ぐらいは田んぼは乾かさなければならない。
2,田んぼは20センチを目標に粗起こしで深く耕さなければならない。
3,たい肥、もみ殻、落ち葉、枯草、等等。腐食を増やすものを入れてゆく。
4,流し水管理にして水温を抑える。
5,アカウキクサを早く繁茂させる方法を探求する。

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