沖縄の民主主義に石垣市は入らないのか。

   

 岩屋毅防衛相は衆院予算委員会で、辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を巡る県民投票の結果に対して「沖縄には沖縄の民主主義があり、国には国の民主主義がある」とのべた。
 
 沖縄の民主主義とは、辺野古米軍基地の賛否に対する県民投票の直接民主主義のことを意味しているらしい。そして、日本国の民主主義は、国政選挙では辺野古基地の建設を進める自民党が選択されている。だから日本国の民主主義としては、辺野古基地を粛々と進めるという意味の民主主義のことらしい。
 
 石垣市では3分の1の有権者が求めた住民投票が市長と議会によって拒絶されている。岩屋氏的に言えば、県民投票を実施した沖縄県には民主主義があるが、県民投票を拒絶した、石垣市には民主主義が無いと言うことになるのかもしれない。そういえば辺野古県民投票も石垣市は土壇場まで拒否していた。
 
 何故、石垣市において、住民投票をしないかと言えば、投票をすれば、圧倒的に自衛隊基地の反対が多いからである。その程度のことは市長も誘致の議員も気づいている。つまり住民に意思表示をさせないと言うことは、民主主義が無いと言うことなのだろう。
 
 石垣市議会野党連絡協議会が「行政の不作為によって、住民の権利が侵害されている。」との訴訟を含め検討することになった。もし訴訟をするとなれば、原告にもなるし、経費も全面協力をするつもりだ。石垣の民主主義を取り戻すときだ。
 
 反対が多くなる理由は2つある。まず、石垣の聖地である於茂登岳山麓に自衛隊基地が作られると言うことに対する。住民の感情的な拒否反応がある。石垣の自然の豊かさを支えている於茂登岳である。島の命の水をたたえる山である。カンムリワシが営巣し、ヤエヤマヒメボタルの飛び交う地である。
 
 もう一つの理由は、自衛隊基地ができることで、石垣島が安全になるという実感を、持てないからだ。自衛隊基地ができれば、尖閣諸島周辺を中国軍がうろつかなくなる、とも思えない。むしろ、緊張が高まりおかしな跳ね返りの暴発が起こり、戦闘が起こりかねない。自衛隊が備えと言うより、刺激になるだろうという不安の方が大きい。
 
 自衛隊基地ができれば、島が活性化するという感覚で、小さな島の与那国島では、賛否が拮抗したが自衛隊基地は容認された。宮古島では住民投票が無いまま、基地の受け入れが進んでしまった。その結果今になって、自衛隊基地に嘘があったことが判明し、住民にはだまされたという気持ちがわき上がっている。こうした近隣の島の前例も、石垣市民に自衛隊基地反対を強めている。
 
 自衛隊基地はミサイル基地であり、米軍共用の基地である。奄美諸島から八重山諸島までの基地の連なりは、中国に対峙する万里の長城のようなものだ。中国の太平洋への進出を監視し、いざとなったときには列島の基地から攻撃しようという、アメリカの意図が背景にある。
 
 世界の対立が深まっている。特にアメリカの圧倒的優位が、崩れ始めている。北朝鮮のアメリカまで届く核ミサイルを作るという暴挙に対する、慌てぶりにはアメリカの優位が崩れ始めていることが見えた。
 
 以前の軍事的バランスは核ミサイルの保有国間の問題であった。核ミサイルが抑止力として機能した。ところが核ミサイルが拡散を始めた。何故、小国は核保有をしてはならないのか。核保有をしなければ、核保有国の言いなりにならなければならない。
 
 その結果、核保有国が増えている。様々な国が、核弾頭を作る技術を持ちはじめた。既存の保有国以外は核ミサイルの保有が許されないことを受け入れない国が登場している。当たり前のことだろうし、日本も核保有すべきと言う元幕僚長もいる。
 
 当然のことで、アメリカが利己的な経済政策を開始した。例えば、貿易問題で譲らないのであれば、日本との安全保障を見直すというようなことをちらつかせる。ホルムズ海峡をただで守ることはできないと言うことだ。それだけでアベ政権は、トランプを忖度してしまう。
 
 アメリカグレートと叫び続けるトランプはもう、ヒットラーの再来のように見える。アメリカさえ良ければ、他の国がどうなろうと知った古茶無いというあからさまな独善である。これが戦争の危険を一番高めている。アメリカは建前としての世界の正義の保安官役は降りた。イランを攻撃しようというのは、アメリカの問題になっている。
 
 このトランプのお友達であることが自慢なのが、アベ氏である。厳しい経済的圧迫は、参議院選挙が終わるまで待ってね。と言うお願いで今は少し収まっているが、この先どういう難題が登場するかと思うと、恐ろしくなる。
 
 このトランプへの贈り物が、奄美・沖縄・八重山の軍事基地連携である。いつでも用意しておきますから、自由にお使いくださいと言うことだ。米軍という看板を立てると、うるさいから、自衛隊ということにしておけば使い勝手がいいでしょう。お金もかかりませんよ。と言う忖度政権。
 
 日本には民主主義はあるそうだが、世界には明らかに民主主義は無い。世界は強いものが勝つという帝国主義時代に逆戻りだ。アベとトランプのゴルフ話が、石垣の自衛隊基地提供になっているのだ。
 
 岩屋防衛大臣さん、石垣には石垣の民主主義はあるのですか。
 
 

 - Peace Cafe, 石垣島