石垣島への自衛隊配備の是非
以下引用である。とても重要な視点なので、そのまま転記させてもらった。宮古島でもミサイル配備が、約束違反で配備されていた。今度は与那国島である。
2016年3月に陸上自衛隊沿岸監視隊が配備された与那国島(沖縄県与那国町)では、自衛隊誘致の賛否を巡り住民同士の激しい対立が続いていた。防衛省が弾薬庫を「貯蔵庫」と説明していたことが判明し、住民説明会で誘致のメリットを強調した当時の町担当者は「知っていれば、住民への説明も違っていた」と悔やむ。
「自衛隊が来ることで何の脅威があるのか。沿岸監視部隊なので、ドンパチするような訓練は頭にない。あくまで消費する部隊だ」。一二年十二月、外間守吉(ほかましゅきち)町長は町議会でこう力説し、自衛隊員や家族が住むことによる経済効果へ期待を示した。
一四年二月に町が開いた住民説明会でも同様に説明された。
当時の担当者は「前年に防衛省から施設概要を聞いた時は、貯蔵庫という説明で、町の関心はレーダーによる健康被害などに集中した。部隊の装備は小銃や機関銃程度だと思ったので、住民には誘致のメリットばかり強調した。迫撃砲弾などを入れる弾薬庫だと分かっていたら、住民への説明もだいぶ違っていた」と打ち明ける。
この説明会では、住民から、米軍の基地使用を危ぶむ質問も出た。外間町長は「米軍が共同使用したい場合は、日米地位協定で拒否できない。心情として、米軍に使用させないことを貫きたい」と苦しい答弁に追われた。
しかし、既に〇七年六月には、米海軍の掃海艦二隻が町の祖納(そない)港に寄港し、港を調査。内部告発サイト「ウィキリークス」によると、当時、米国の駐沖縄総領事だったケビン・メア氏は、外交公電で「台湾有事の際、与那国島は機雷除去の作戦拠点となりうる」と米本国に報告していた。
メア氏は取材に「軍拡を進める中国海軍と尖閣諸島で対峙(たいじ)した場合、一番近い港が与那国島、石垣島、宮古島になる。南西諸島の島々を対中国軍への戦略拠点として利用しないと有事に対処できない。日本の防衛上も米国の防衛上も必要な戦略だ」と述べる。
本紙の取材で弾薬庫だと今月知った四十代の住民男性は「基地ありきが前提のよう。防衛省が『貯蔵庫』としたのは、弾薬庫を隠して配備を認めさせるために意図的に使っていたとしか思えない」と批判する。(望月衣塑子)
石垣島で自衛隊配備が進んでいる。3分の1の住民が住民投票をしたいと、署名して請願した。ところが、議会も市長も住民投票をしないと決めつけて、拒否している。与那国島では住民投票が行われて、わずかの差で誘致に決まったのだ。もし、米軍が利用する可能性もあるという事が、分かっていて投票が行われていれば、住民投票の結果は自衛隊拒否になったかもしれない。しかし、与那国島は自ら住民が選んだ結果である。ところが、石垣島では、中山市長が国の安全保障にかかわる問題は国の専権事項である。国の専権事項に対しては、住民投票は無意味であるとしている。これは誰が考えても論理的におかしい。民主主義国家において、住民の意思は最優先される必要がある。自衛隊配備は島の未来を左右しかねないほど大きな選択である。それに対して、その島に暮らすものが意見も言えないという事では、民主主義国家ではない。
何故、住民投票を避けるのかと言えば、住民投票をすれば、自衛隊拒否が予測されるだからだ。住民拒否の中、自衛隊誘致の市長が立場を失う事が目に見えているからだ。沖縄の米軍辺野古基地建設を見ればわかることである。あの二の舞は避けたいから、住民投票を拒否している。石垣島の未来は観光産業である。竹富島の人気は凄い。今度こそ西表島が世界遺産になるだろう。さらに世界から注目される観光地点になるに違いない。石垣島は農業も漁業も盛んである。自給的な島である。盛んになる島内消費である。観光客が食べてくれるので、生産意欲が増している。アジアからの観光客が中心である。その石垣島にアジアに向けての、ミサイル基地を作る愚かさを、観光客はどう考えるだろうか。そんなものは見たくもないはずだ。観光の島はどこまでも平和の島でなければならない。無防備中立こそ平和の島である。
アベ政権が中国を仮想敵国と考えて、すぐにでも攻めてくるほどの危機があると判断しているなら、今日からでも平和外交を模索しなければならない。日本は国際問題を平和的手段で解決すると決めた国なのだ。少なくとも、自民党憲法が出来るまでは、現在の憲法を尊重するのが、政権の義務である。石垣島に自衛隊基地を作ることは、石垣島に防人になれという事だろう。住民が防人の島は嫌だというのは普通のことである。日本の軍事力で、中国に対峙しようというのは不可能である。とすれば、当然米軍が出てくる。石垣島の基地を米軍が共同しようという形で、原爆を持ち込むかもわからない。細菌兵器を持ち込むかもしれない。そういう事にしなければ、軍事的対抗など出来ない。こうした悪の連鎖をどこかで断ち切るのが、日本という国の未来のはずだ。ひどい戦争をして、敗北して、そして決めた日本の未来の方角は平和国家である。
住民投票で、自衛隊基地が決まれば、その判断を尊重したい。間違った選択であるとしても、原子力発電所を誘致した判断も住民自身の判断である。その地域の未来に対する責任を、そこに暮らしている全員が持つ必要がある。だからこそ、住民投票はしなければならない。国の専権事項などというマヤカシの言葉で、ごまかしてしまってはならない。このまま、住民投票を拒否して、自衛隊基地を誘致すれば、中山市長は未来の石垣島に暮らす人々から、どう思われるかを考えてみてもらいたい。わることが起こたびに、市民は反対していたのに、中山市長が強引に自衛隊を持ってきたのだという事になる。尖閣諸島は、中山市長自身が国際裁判所の判断にゆだねるという方針を示すことだ。それでこそ、石垣島の市民の安全が確保される。それこそ、市長の役割ではないか。