日韓対立には仕掛けがある

   

日韓のたがいの不信感が日に日に危ういところまで盛り上がってきている。常にこうした状況になる下地が日韓の間にはある。日本の明治以降の歴史がそうしたわだかまりを産んでいる。「そうだよ、確かに日本は悪かったよ。だから何度も謝ったじゃないの。それなのにいつまでも、謝ったものに行きすぎじゃない。」これは日本国民感情。当然ひどい目にあわされた方が、謝ったぐらいで済ますわけにはいかないという理屈の方がまともだろう。両国の国民の間には、いつまででも不満を増幅させる、解決不能な歴史問題がある。韓国国民にしてみれば、全く歴史を反省しない謙虚さのない日本人だと、繰り返し怒りを爆発させるのだろう。日韓の歴史的関係をよく表している。日韓とも簡単にこの問題を終わらせるつもりはない。問題がこじれた方が、当面両政権に都合がよいからである。アベ政権としては、憲法改定に繋がれば大いに結構という事だ。国民感情を煽る良い材料なのだろう。近隣諸国の理不尽さが強調できる。

韓国政府としては、北朝鮮問題の停滞をごまかすことができる。政治問題化の意図があって行われたのかもしれない。レーダー照射を日本政府が公表した時から予測された成り行きである。もし日本政府がこの問題を穏便に済ます気であれば、公表しないまま、韓国と連絡を取り合うことも可能であったはずである。照射したという事自体が、対立を深めようという意図に基づいた行為であった可能性もある。韓国の軍隊の中には日本に戦争を仕掛けたいというような人たちもいない訳ではない。自衛隊側にも韓国を攻撃してしまえという人たちがいない訳ではない。照射されたので即座に反撃をしたというように戦争を始めてしまう人が出ないとも限らない。武力というものは常にそういう跳ね上がりものを産むものだ。過去の戦争もそういう形で勃発した。そして、国民は興奮させられて、提灯行列という事になる。負の連鎖である。木口上等兵はラッパを放しませんでした。爆弾3勇士。など戦後生まれの私の中にでもかすかに戦争の英雄の話が残っている。

戦争までの道は遠いいように見えるが、すぐそこにある。集団としての国民はキューピー人形である。いつでも集団ヒステリーは暴発する。政府はどこを押せば悲鳴を上げるか把握している。この泣き所A地点が朝鮮問題なのだ。領土問題もまた泣き所B地点なのだ。ロシアとの間で外交交渉が続いている。河野外務大臣が訳の分かりにくい記者会見でだんまりを決め込む中、当事者たるアベ氏の口の軽いこと。ペラペラすでにことが決まっているかのような年頭所感であった。早速、ロシアから怒られてみっともない限りである。あべ氏には交渉事など無理だ。平和主義の国としては、領土の拡張など要らないという事が大前提である。離島など必ず負担である。問題を解決できないのは、国民の欲の張り方次第である。尖閣諸島が中国になったところで、痛くもかゆくもない。戦争の種をどうやって摘み取るかである。問題はロシアや中国の覇権主義とどうやって、日本の平和主義がかかわるかだ。

全ては灰色解決しかない。白黒決着をつけようなど、外交交渉では目指さない方がいい。照射は何かの互いの間違いだった位で終わりだ。今後起きないような両者の約束の方を重視すべきだ。面子も真実もいらない。韓国には日本との対立を煽ることを目的とした集団がある。日本にもヘイトスピーチ集団がいるのと同じことである。韓国政府でもそういう集団をうまく活用する。もちろんアベ政権も似たように、沖縄よ防人になれなどという日本会議などを利用する。大事なことは国民がキューピー人形にならないことだ。くだらない扇動記事に対して、いきり立たされることを恥とすべきだ。ロシアとの交渉が暗礁に乗り上げているので、照射問題が出ているのかもしれない。日米経済交渉への対応なのかもしれない。戦争をしないで生き抜く日本の国づくりの為に、国民はタフにならなければだめだ。

 

 - Peace Cafe