失踪実習生調査の嘘

   

法務省が失踪した技能実習生の実態調査をしている。ところがそのデーターがでたらめなものであるという事が分かった。だいたいの国の調査というものは、言い訳の為に作るものが沢山ある。実態調査は名ばかりのことがままある。失踪理由の欄に、Aもっと高い賃金の所で働きたかったから。B賃金が最低賃金以下であったから。C働き甲斐がなかったから。D労働環境が悪かったから。E最初から逃げようと考えていた。というような5つの欄を作る。(私の想像で作ったもの)そして、Bに丸をした人が、112名であったから。最低賃金以下の研修生は112名であったと法務省は報告書を作成する。しかし、実態としては半数以上の人が、最低賃金以下であったという事になる。たしかにBに丸をしないで、Aに丸を付ける人の方が多かったわけだ。だから虚偽報告ではないと法務省は強弁している。本来この調査は今法案を出している、厚生労働省が行うべき調査だ。何故実態調査をしないまま、これほど重要な法案を出して平気なのだろうか。真実が見えない様にしている役人特有の作文である。最低賃金以下であった人は丸をしてくださいと調査するべきなのだ。

失踪するような技能実習生の実態は多くの人が想像している通りの悲惨な状況にある。国民の認識を変えるために法務省が作っている実態調査データーなのだ。法務省から発表されれば、たぶんS新聞など、鼻高々と技能実習生の失踪の原因は、賃金に対する不満だなどという記事を書き、低賃金や労働環境にについては触れないことだろう。確かに嘘ではない訳だ。嘘よりひどい大本営発表である。おおよその人は、どんな状態で技能研修生が働いているか、厚労省では想像が出来ている。個人的に幾人かの技能研修生と話す機会があったので、実感として状態を理解している。大変な状況なのだ。許されるべきではない状況と考えた方が良い。こんなやり方を拡大するなど、とんでもないことなのだ。もし働いていただく人を迎え入れるなら、日本が好きになってもらえるような環境が必要である。働いて日本が嫌いになって帰るのでは、将来禍根を残すことになる。お金の為の出稼ぎだから、そんなものはどうでも良いとは言えない。

技能実習生の働いている会社の10中8,9は良心的な会社であることも理解している。しかし、1,2の会社には問題があるだろうとも思う。この問題のある会社がすべてをダメにするだろうと思う。日本人の働く会社だって同じである。ブラック企業と呼ばれることもある。戦時中の徴用工は日本人も等しく行ったことだ。だから、朝鮮の人たちも我慢しろとは言えないのだ。大多数の日本人はお国の為と頑張った。朝鮮の人たちは、無理やり支配国のために働かされたのだ。シベリア抑留者と同じ気持ちである。どれほど悔しく、悲しいことであったか。そのことが今に尾を引いている。多くの日本人が、「いつまでも何を言っている、解決済みだ。」と連呼している。総理大臣のいきり立ちようは見苦しいほどであった。植民地支配の悔しさは解決など出来ないことだ。被害者への思いやりが出来ないでは、解決などない。日本人全員で謝らなければならないことなのだ。

技能実習生問題もこの大失敗、大迷惑の繰り返しになりかねない。日本人の差別意識は根強いものがある。このブログにもその手のコメントが来る。日本人はおもてなしの範囲なら良いが、そこに一緒に暮らすとなると、別のことになる。そのことを前提として、日本人と同じ労働条件で働ける環境を作る。日本語教育の充実。医療環境の整備。家族全体の配慮。保険制度の適用。相談施設の充実。日本人と同様の社会福祉環境を整備する。そういう条件下で働いてもらう必要がある。間違いなくそのことは、日本からの財政的持ち出しの方が多くなる。またまた国の財政赤字が増大する。外国人労働者は働いて得たお金は本国に送金する。必要とされるだろう社会福祉関係費は日本の税金からの支出になる。これがドイツでも問題になり、メルケル首相が退任する。利益が出るのは、雇用した個人や企業だけのことだ。日本政府はそいう事を抜きに、技能実習に来ているのだから、低賃金で、日本人並みの社会保障は不要という前提で、働かせようという算段なのだ。でたらめな移民法を、政府は撤回すべきだ。

 

 

 - Peace Cafe