柳瀬元首相秘書官の国会答弁
柳瀬元首相秘書官の国会での回答はいかにも嘘に満ちていたい。あれですべて真実を語ったと理解した人は少ないだろう。私に確認できたとことは、安倍氏が加計学園のことを何とかするように、柳瀬秘書官に命じていたということだ。法的に言えば、疑わしきは罰せずという事であろうが、私としてはそう考えるしかない。その理由は明確である。記憶になかったはずのことなのに、首相案件ではないという事だけは明確に答えた。一番隠したいことだから、強調したのだろう。安倍氏からの指示が全くなかったし、報告も行わなかった。ということだけ鮮明に覚えているとすれば、それこそ指示があったとしか思えない。記憶にないという前回の回答が嘘だった事もはっきりした。嘘をつかざる得なかった理由は首相案件を隠そうとしたからだ。もちろん人の記憶の曖昧さにケチをつけても仕方がないが、まあ、見え見えである。安倍氏は盟友の加計氏の依頼で、構造改革特区を利用したのだ。証拠がないように進めたのだ。あの知らなかった発言の白々しいこと。
それでも、法律には違反していないという気持ち悪さ。贈賄事件ではない訳だ。しかし、安倍氏は日本をそういう特権の社会に作り上げた、張本人である。このまぎれもない事態は、確認された訳だ。特権の構造。能力主義社会の行き着く先が特権社会。勝利したものが、その立場を固めるために、持ちつ持たれつで特権階級を作り上げてゆく。まさにアベデクノボウ劇団の一人舞台である。これがソフト独裁の怖いところだ。観衆の大衆は格差差別を受けている現実に気づかず、喝采を浴びせているところだ。大衆というものは、こんな形でおこぼれに食いつくものなのなのだろうか。木戸銭の一票を、アベ一座に入れなければ、舞台の題目は変わるのである。次の部隊が面白さに欠けるというところか。アベ一座がまき散らす花粉に酔っているのだろうか。暴かれた首相案件もその程度のことで目くじら立てるなという、ヤジの響きの方が今のところ強いようだ。観客は得な方をアベ政権と見ているのだろう。多分経済が良くなるという幻想が、周り廻って来ると思い込ませている。自分が、格差の下に位置することになると思わないようだ。大企業は過去最高の営業利益だそうだ。格差がまた広がるという事だ。
アベソフト独裁を成立させるためには、隣国との軋轢を利用して対抗意識を煽る。経済衰退を脱する希望を示す。領土の返還を実現する。いずれも海外との関係だけに活路を示す。企業業績の好調は一時のあだ花である。今の内に国内の基盤を固めることを考えるべきだ。日本の安全を脅かしているのは、近隣諸国ではなく、むしろ日米安保条約である。領土を不当に占拠しているのは、近隣諸国と思うのはお互い様である。日本国内の諸問題の主因は、外国ではなく日本自体にある。日本では食糧という国の根幹にかかわる所に、大きな課題が生じている。ところがこの日本国内の問題であるはずの、農業問題でも国際競争力のある農産物の掛け声の下、一切を海外との関係の中に埋没させてしまう。その結果日本の砂糖生産がだめなのは、国際競争力不足にあるという事にすり替えられる。農業という国土の条件に大きく左右される生産物でさえ、国際競争力のない原因は、農業者の努力不足や構造改革という事にされている。
日本は日本自体を変えなければならない時に来ているのだ。今までの政策の延長線上には日本の未来はない。今までの路線を踏襲しようとするのは、既得権益の特権階級の要望である。その傀儡政権がアベ政権だ。日本をもう一度洗濯するという事は、日本の農業を日本という水土の中で、成立させるという事である。日本のエネルギーを日本の水土の中で完結させるという事である。海外との関係はその先にあるものだ。日本の労働力が不足すれば、海外から導入する。人が余れば、移民を奨励する。こうした政策は既得権益の利害に基づいた考え方だ。優秀な我々が経済を運営する。一般民の方々には、おこぼれを吸わせるから従えという愚民政策である。アベ政権登場は明治以来の帝国主義の最後のあがきである。日本は帝国でなくていいのだ。ごく普通の国としての幸せを願えば十分である。競争ではなく、共生である。