大豆栽培
大豆畑に24日午前中播種を行った。9時から初めて午前中で終わった。11人の人が参加したので、予定通りだった。皆さん本気で自給農業のことを考えている。まだ、石垣島では、下大豆以外の大豆栽培はないようだ。石垣島の気候にあう大豆品種が無いためである。
真剣にみんなでは種をした。60㎝の畝間で、10㎝から15センチ間隔に1粒蒔きから3粒蒔きまでやった。品種により手に入った種の量が違ったのだ。予備に小糸在来種も準備したのだが、そこまでは使わないで、何とか足りたようだ。どのみち小糸在来は蒔いても上手く行かないと思う。
自給農業には大豆栽培は不可欠なものだ。まず第一が田んぼでのイネ作りであることは当然であるが、次に何を作るかと言えば、大豆だ。麦とかトウモロコシもあるが、それはお米があれば何とかなる。しかし、大豆が無ければ、味噌、醤油、納豆、豆腐が出来ない。日本人の食事には大豆は不可欠なものだ。
今年は7種類の大豆を栽培試験を行う。台湾の農家の方から、何度も8月25日に蒔くことと念を押された。やっとその日が来た。日曜日が24日で一日ずれたが、許される範囲だろう。台湾の農水省の公報では、9月蒔きが奨励されているが、嘉義の農家の方によると9月蒔きでは一割から二割減収になると言われていた。
あちこちから大豆種子を取り寄せて、枝豆品種を中心に手に入った様々な種を蒔いてみている。枝豆品種は夏蒔きが出来ると言われている。台湾の枝豆品種が日本に導入され、協和種苗で以前は売られていた。たぶん今で回っている枝豆品種はその継投なのでは無いかと思われる。
小田原で栽培してきた。小糸在来種が栽培できれば一番良いのだが、今まで3回やって上手くいっていない。小糸在来は枝豆で食べても最高の味だ。今回は台湾嘉義の有機農法の大豆農家さんを訪ねて、徹底的に大豆栽培を教えていただいた。教えに従い栽培試験を行うことにしている。
大豆はどこでも作られているので、簡単そうに見えるが、実は種子の種類によって地域を選ぶ性質が強い。土壌の性質の違いも、大豆には影響が強い。しかし、根粒菌が存在するために、土壌が豊かする性質も兼ね備えている。台湾では緑肥作物とされてきた。
地大豆が尊重される理由にはそうした大豆の性質からくるものがある。地域地域に江戸時代から栽培され続けた固有種が残されている。それを他の地域で栽培するのでは、様々な問題が生ずる。丹波の黒豆が、小田原では上手く黒くならなかった。
本来大豆は中国東北部を原産地としている。寒いところのものなのだ。それを台湾という暑い亜熱帯地域で作るためには、長い年月をかけて改良されたのだと思う。石垣島にも下大豆と呼ばれる品種があり作られてきたが、これはつる性の大豆で、エンドウ豆のような性質の大豆で、次々に種が実るために、収穫が大変なものだ。
南の石垣島で大豆を作ろうとすると、気候的に難しいことが起きる。日照の問題もあるし、高温になる問題も生ずる。何時播種するのが良いのかも分からない。小田原では7月蒔きである。夏蒔きの場合大豆の種子は低温で保存しないと発芽率が悪くなる。
30度を超えた温度で一ヶ月以上置いておくと発芽しなくなると、学術誌に出ていた。確かにその通りで、石垣島ではそういう経験をしたことがある。石垣島で発芽しにくかったのは、種を部屋に置いておいたために発芽しなかったと思われる。納豆にする大豆から、播種する大豆を選んでいたのだ。
大豆の種子は冷蔵庫で保管しなければならなかった。もう一つの発芽条件は土壌の水分量である。水が無ければ発芽しないのは当然である。しかし、大豆を播種してからすぐに雨が降れば種子が煮えてしまい腐ってしまう。種を蒔けば水をやるという、連想でついつい間違う点である。
播種して3日目に発芽してくる。土壌水分が良い状態で、種の保存が良い種子であれば、27日には双葉が出始めるはずだ。ここが勝負だと何度も台湾の大豆農家さんが言われていた。雨が降ればまき直しだとも言われた。この3日間だけは雨が降らないで欲しい。
8月は全く雨が降らない。ここで雨が降るとも思えない。だいたいにお天道様には、協力していただいている。土壌の乾燥がすごい。夏の強烈な日照りで、土壌の乾燥がひどいものになっている。まるで砂漠のような土壌の状態である。大豆を蒔いても到底発芽できる無いだろう。
そこで大豆畑には前もって水を撒いた。蒔いてもすぐに乾いてしまうのだが、深いところに新党はしていた。嘉義では昔田んぼだったところに大豆を作っている。日本と同じことでイネからの転作しての、大豆作りが多いのかもしれない。土が乾きすぎていたら、水路から水を入れて、まず土壌を湿らせると言われていた。
そして播種の前日最後に耕した。これは除草のためにギリギリに耕せば、草がいくらかでも遅れると考えた。土壌はいくらか湿っているようだった。60㎝の幅に糸を張って準備をした。トンネル栽培にするつもりだ。大豆には防虫ネットを張る。虫の問題もあるが、発芽してきた双葉を鳥がたちまちに食べてしまう。少なくとも大きくなるまではネットが必要である。
雑草が発芽するまではネットを架けたままで行きたいと考えて居る。大豆は虫を呼ぶ植物の気がする。様々な蝶類が卵を産み付ける。石垣の場合防虫ネット掛けで無いと、危ないのでは無いかと予想している。それもあって一日でも長いネット掛けを続けたい。
何度も耕したので、雑草が出るのはかなり遅らせることが出来るかと考えて居る。種を蒔いた後に、サトウキビの葉ガラを敷き詰めた。これも雑草抑さえと土壌湿度をいくらかでも保つためである。強すぎる光が当たることも土壌に良くない。葉ガラが大豆に悪い影響を与えないかいくらか心配である。
大豆の播種には11人の人が集まってくれた。良い播種になったと思う。出来ることはすべてやったと思う。これで上手く行かないはずがない。天気予報でも、何とか3日間は雨が降らないようだ。これでダメであれば、もう大豆栽培では打つ手が無いという感じだ。
終わって上の機械小屋でスイカをいただいた。過去最高に美味しいスイカだった。のりさんの畑で出来たスイカだ。4キロ少しあったそうだ。暑い中2時間働いた疲労が一気に抜けた。スイカが出来るようになったのかと思うと、のぼたん農園もやっと稼働していると、何か考え深いものがある。
4年経って、田んぼも畑もそれなりのものに育ってきた。有機栽培の土壌が整ってきたと言うことなのだろう。やはり、山の落ち葉を入れたことが良い結果になっていると思う。その点では、大豆畑は新しい開墾地である。土壌が十分とは言いがたい。今年は試験栽培で、6種類の大豆の内、石垣で出来るものがあるかの判断だから、量は期待しない。
大豆の反対作には、トウモロコシの予定である。これも楽しみである。トウモロコシは渡部さんが初めて成功した。石垣でも上手く作られている農家さんがある。新規就農された若い女性が、ふるさと納税の返礼品のトウモロコシを栽培されている。石垣でトウモロコシは可能なのだ。
トウモロコシは収穫し新鮮な内に食べると、甘くて美味しい。何とか自分で作りたい作物である。子供の頃、風呂焚きをやるたびに、畑からトウモロコシを採ってきて焼いていた。あのおいしさは忘れられない。鶏の餌のために作っていたのだが、ずいぶん私が食べてしまった。