農水省が溜池と田んぼを見に来た。

   

 

麦緑肥

農水省の方が、溜池と田んぼを見に来た。石垣から帰ってきて、夕方田んぼに行ったら、何やら上の方から声がするので見上げた。すると役所の人やら、里地里山協議会の人たちが、歩いている。確か昼から農水の方々が見えるとは聞いていたが、とっくに終わっていると思っていた。田んぼが心配で気が気でなかったので、すぐ田んぼにきた。小田原では異常な寒さが続いたというので、どんな状態なのか苗床が心配だった。間に合わないと思っていたので、準備のないまま説明をさせてもらった。美しい久野里地里山協議会の久野の農地を保全する話である。農の会では久野地区で3ha以上の農地を再生した。欠ノ上ではこのうち3アールだけが協議会の田んぼとなっている。この意味が伝わらなかったようだ。以前から県の方にはお願いしているところの矛盾がある。別段補助金はいらない。全体を、協議会の枠に入れてもらいたいとお願いしている。ところが、これが出来ない。何故できないかの理由はあるらしいが私にはよくわからない。農水の方にも説明が伝わらないのは当然である。

舟原溜池

つぎに溜池に行くというので、続いて溜池について説明させていただいた。これについては、中山間地の一括払いの対象田んぼの続きである。というようなことも話したのだが、では美しい久野里地里山協議会とはどういう関係なのかという質問だった。質問の意味はよくわかるのだが、この関係の意味は説明が難しい。本来であれば、協議会のものとして、田んぼも溜池も管理が行われている方が良かったのである。この10年間、個人的な管理の範囲で行わざる得なかったため、このような形を作らざる得なかったのだ。この溜池までの道も、再生事業として申請はしたのだが、外されたものなのだ。地域の活動は、実に複合的に行われている。そう出なければ、有機的に動き出すことがない。別段会としてどうであるというようなことはどうでもいいことである。一人一人が農地の管理が出来ればいいだけである。それが地域の耕作放棄地の管理に繋がっているという事が大切な訳だ。この枠が地域の農業の保全に役立つのであれば、融通無碍に形を変えて協力させていただく。その時々名前などないまま活動に加わる。道路清掃から、登山道の整備まで、もう地域で出来なくなり始めた作業に協力させてもらう。

 やりたいことをやりたいものがやっている。これがすべての活動の原動力なのだと思う。協議会はやりたいという思いを集める努力をしてきたのだろう。それには形などない方がいいのだ。評価などどうでもいい訳だが、農水的にこの活動形態の現実は知ってもらいたいと思う。この協議会の形から、本当の活動が生まれるのだと思う。つぎの時代に生まれるだろう新しい活動は、過去のように枠で見ることが出来なくなっている。有機の里づくり協議会が活力ある組織として動いているのは、農業者が中心だからだ。様々な活動が実践されてゆくのは、農業で培われた、農業者の個人として自立しているが、地域的な共同も行う共同力なのだと思う。地域にある様々な活動が有機的に結びついて、新しい形態を生み出している。その意味でボランティアを中心にした環境活動とは全く異なるものなのだ。本来であれば、地域の人が暮らしの為に必要であった溜池の保全や、田んぼの管理を代わって行うためには、あらゆる手法を必要としている。その可能性を久野の里地里山協議会に見て欲しいと思う。

農水省の方々は頭脳明晰な方々だから、多分その意味は理解されたことだと思う。行政的に言えば、補助金の枠で何をしているのかという事になるのだろうが、補助金は活動の3%程度である。ただその3%の呼び水が大切なのだ。その3%が意味を成すためには、方角が国も支持しているという意味付けが補助金なのだ。農の会の田んぼ全体から言えば、補助金の田んぼは3%である。しかし、農の会の活動が決して怪しいものではないという証明になっている。それくらい、農業に新規参入するという事は、地域の抵抗のあるものだ。舟原溜池で片づけをしていたら、こんな場所で何をしているのかと、地域の人から突然怒鳴りつけられた。ごみを運び込んでいると考えたようだ。そんなものである。10年間少しづつ活動をしてきたとしても、理解は深まらないものだ。私個人のこと等、どうでもいいと考えている。しかし、ここに看板が出来て、管理責任が明確になれば、私が片づけをできなくなってもこの溜池の管理が継続される可能性はある。

溜池が良くなった。水が満水になっている。周囲も段々に落ち着いてきた。一度草刈りをしたことでぐんと良くなった。これなら舟原の美しい庭といえると思う。水がある庭。池のある庭。一番美しい庭である。少しづつは漏れが塞がっているようにも見える。問題は上の池と、下の池の間のパイプわきが漏れ始めたことだ。ここを補強しないと崩れてしまう事だろう。この構造では一番危ないと予想した通りの結果になっている。パイプは埋めなければだめだったのだ。それは田んぼで経験したことだ。

溜池の周りには、シュペーゲルアオガエルが産卵をしている。20か所ぐらいある。これでオタマジャクシが増えれば、生き物が増えてくることだろう。草は今のところ井草と、ガマの穂だけである。これが池を覆ってしまえばつまらないことになる。何とか防がなければならない。

 

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