石垣島の地鎮祭

   

石垣島の地鎮祭が行われた。そばにある桃林寺さんの小林ご住職が執り行ってくださった。すべての準備を石垣設計室で進めていただくことができた。まったく状況が分からない石垣でのことだったから、有難いことだった。オープンシステムで進めるというやり方が、初めてのことだったのでそれも良くわからず、どこまでお願いしていいのかの加減が分からないまま、結局すべてを頼って進めている。誰に聞いても、石垣で今家を建てるのは難しいといわれていた。やってくれる業者の人が見つからないのではないかと、不安だった。ところが、意外なことに極めて順調に業者の方々が応募してくれた。なるほどこれが、石垣設計室の実績の実力なのだなと、理解できた。石垣という人口5万人の島で、オープンシステムを機能させてきた背景のようなものを感じた。すごいことである。地鎮祭が終わると、業者との間で契約会が行われた。一社ごとに契約書を交わしてゆく。その場の空気は何となく、チーム石垣というような感じを受けた。当然皆さん一緒に仕事を進めた経験が豊富なのだろう。石垣島特有のオープンシステムが機能しているという事のようだ。

夜には、その業者に皆さんが私を招待してくれた。美味しいお酒をごちそうになったのだが、酔っ払ってそのまま帰ってしまったのだが、大丈夫だったのだろうか。石垣島の方々とお酒を飲むということがうれしかった。お隣に座った方は左官屋さんの方だった。この方は海洋博の仕事で初めて沖縄に来たのだそうだ。そして、その縁で石垣で仕事をされるようになったと言われれた。石垣で地元の方と結婚されたので、そのまま石垣で暮らしてきたといわれた。もう43年だといわれていた。移住の大先輩として、あれこれの話が実に面白かった。向かいにおられた方は、同じ町内に住まわれている方らしく、地域のことを熟知されていた。水の流れが、地下にあるのだそうだ。それなら今の小田原の家と同じである。こういう場所は気が入る場所だ。この方もやはり、もともとは石垣ではなく、宮古から見えた方だそうだ。石垣で暮らす宮古の方にお会いすることが多い。宮古はその昔10万人もの人口があった時代があるのだそうだ。島の生産力からいえば、3万人くらいがちょうどいいので、外へ出ていく人が多いと言われていた。琉球政府も30年代は移民政策を奨励したそうだ。その移民で石垣に開拓で来た人もいるという。海外だけではなく、石垣にも移民したのだ。開拓移民であり、これは移住ではない。この話は、奥が深くそれを体験した人の話なのだから、貴重なお話だった。

私は石垣市字石垣というところに住むことになる。この地区がいかに古い石垣の中心地区であり、大切な場所なのかと話されていた。その素晴らしい場所に家を作り、暮らすということのありがたさを言われた。私もこの地区の空気に惹きつけられたものがある。場所を決めるときには、ともかく肌感覚を重視する。何か惹きつけられるところがあった。世界一の散歩の町である。これは間違いない。石垣に来たら、朝の散歩である。その為にも犬を飼いたいと思う。散歩三昧で行こう。今回石垣では、刺身屋さんめぐりをした。鮪の刺身だけを売っている店もある。それはそれは、さすがにうまい。マグロの赤身がうまい。過去最高のうまさだった。よしこ刺身店、花子刺身店というように漁師の奥さんの名前の付いたお店が多いい。ご主人が漁に行き、奥さんがお店をやられている。てんぷらをやられているお店もある。アツアツのこれがまたいい。石垣ほど食べ物がおいしい場所はめったにない。シャコガイがあれば必ず買うのだが、それは今回見つけられなかった。次はシャコガイがどこへ行けば買えるのかを探すつもりだ。

石垣では有機食品生活をしようと思えば、すべてが地場産で手に入る島なのだ。チーズから自然卵まである。有機生産の肉もある。あらゆる野菜が作られている。お米はもちろんだ。これが石垣島が世界一の観光地に選ばれた理由だろう。外食はすごい事になっている。レベルも高いし、ありとあらゆるものがある。ファミレスがないぐらいだ。なかなかの喫茶店も街のあちこちにある。中華でいえば台湾の本場ものだ。実にうまい。世界中の人が一度訪れると、石垣が最高だと思うのは当然のことだ。こんな素晴らしいあれこれが、歩いてゆける範囲にある。もちろん絵を描くとなれば、最高の空間が10か所ぐらいある。このすべてを描いてみたい。そして、人間がすごい。心が開いている。石垣設計室の石垣さんもなかなかの人物である。その人物で私はここに家づくりをお願いした。それぞれの人格がくっきりとしている。11の業者の方々の、人間の魅力は半端でない。簡単なあいさつを順番にされたのだが、宴席も終わりということで、うちの奥さんがお礼の言葉を述べた。すると旦那よりだいぶ上だという感想が出た。確かにみなさん心の籠ったすばらしい挨拶をする。その原因は、話をする内容を評価する文化があるようだ。私は話を思ったことを言いたいように述べるだけが、配慮がないので点数が低いのだろう。

 

 

 

 

 

 - 石垣島