北朝鮮捨て身の恐怖

   

北朝鮮は大変な奇妙な国である。現代世界では前例のない世襲の独裁国家だ。若い独裁者金正恩は後見人と言われるおじさんまで公開処刑をした。異常行動をやりかねないテロリスト国家と言わざる得ない。恐怖政治を継続する世界でも稀有な国家だろう。世界中から批判が続く中、平然と国家を維持している。中国やソビエトを巧みに操り生き延びてきたといえるだろう。中国は現状でも、何らかの利用価値を見ていて、口先では国連の決議には参加しながらも、対立を強める過激な行動は避けるべきだとしている。こうした結果もあって、北朝鮮飢餓崩壊説は予測がことごとく外れてきた。自然崩壊はない国家と考えねばならない。希望的観測でこの国を判断しても無駄なことだ。独裁の継続の可能性が高いと考えなければならない。以前農業生産力を計算してみたが、普通にやればそれなりに生きて行ける国家である。飢餓で飢える理由は軍事費の負担という事だろうが、その程度はよく分からない。

潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を北朝鮮は成功させた。そのレベルはまだ低いだろうが、あと2年すれば現実の脅威になる。日本の周辺を徘徊しどこからでも日本を攻撃できる体制を確保した。迎撃ミサイルの八重山諸島配備など、見当違いという事が分かる。中国を仮想敵国にしたいという政府の思惑は想像できるが、現実の危険では北朝鮮の方が強いと考えるべきだ。日本の安全保障の今ある課題は北朝鮮にどう対するかである。ところが北朝鮮に対する対応は、全くない。少なくとも中国に対するほど明確でない。手の打ちようがないのではないか。潜水艦からいつ何時、原爆ミサイルが発射されるかもしれない。北朝鮮のミサイル発射の兆候をとらえて、それを迎撃するとか、先制攻撃をするとか、自衛隊関係者は発言している。しかし、対策などある訳がない。もし暴発すれば、その時には日本は終わりになる。柏崎原発めがけ原爆ミサイルが発射されれば、日本は壊滅的打撃を受けるだろう。この軍事的には手の打ちようのない状況にどう対応するかが、いま日本の安全保障の最大の課題である。

アベ政権がやっていることは、国連決議によって決議違反を厳重に抗議するなどと、空しい声明の繰り返しで終わりである。具体的に対抗手段などある訳がない。日米の経済封鎖など今更何の効果もない。国連も非難声明は出したところで何の効果も上げられない。この行き詰まり状況はまさに北朝鮮が目指しているところであろう。こうして核保有国としての発言力を増しているのだ。テロ国家北朝鮮がSLBMと原爆を保有するという世界の危機は、かつてないほど高い。軍事的対応はできないという状況に陥ったという事になる。唯一の方法は軍事的ではない、平和外交である。こうなった以上、唯一の手段が平和外交である。どうやって普通の国に導くかである。北朝鮮の不安を取り除き、北朝鮮を普通の国にするために、経済的な交流を含め情報交換を進めるほかない。

核保有してSLBMを持てば、どんな軍事大国であれ無視できないのが武力主義の行き詰まり状況である。北朝鮮はアメリカが核保有していて、金正恩の命を狙っている以上、核保有する以外にないと考えているだろう。武力が人類滅亡レベルに肥大化して、小国北朝鮮でも世界を崩壊できるのだ。大国だけが核保有して、弱者を従わせるという軍事的構図がそもそも馬鹿げている。全世界が核廃絶に向う以外平和など来ない。にもかかわらず、被爆国日本が国連の核保有禁止条約に反対した。アベ政権が二枚舌オバマ、アメリカの言いなりであることが日本人として恥ずかしい。すべての人間が武力を放棄する以外に人間が生き延びる道はない。現状としては中国の存在は無視できない。中国とともに北朝鮮の軍事化をとどめる方策を探るべきだ。力の外交ではなく、妥協策の模索だ。核を持たない国が、いかに不当に見えるにしても、核保有国は攻撃することができない国際条約を作ることだ。

 

 

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