鬼怒川堤防の決壊について

   

鬼怒川の堤防の決壊について、太陽パネルの設置が原因だという意見がネットには出ていた。驚いて調べてみたが、太陽パネルの工事が根本原因ではないと判断した。その後隣の市長が同じようなことを主張していると、新聞に掲載されている。調べてみることは必要だと思うが、こうした意見によって本当の原因が隠れてしまうことを畏れる。この堤防は決壊する前に越水をしていた。堤防を超える水位になっていたのだ。すでにこれだけの水量には耐えられない堤防であったのだ。なぜあの位置が決壊したかと言えば、わずかの湾曲部分であり、川の水位は高くなり、水圧があの堤防あたりに集中した、そして越水した水が弱いところを徐々に削り取り、堤防の決壊につながった。水がひいて決壊部分の堤防の映像が移されているが、やはり、堤防自体は普通であり、あの水量に耐えるようにできていないかったのだ。日本の河川の防災対策として、100年に一度の水害に耐える設計を目指しているが、あの場所はまだそうした整備が終わっていなかった。日本の一般的な河川の状態である。

民主党政権のスーパー堤防の仕分けがだめだったのだという意見も見たが、これもまた、見当違いの意見だとおもう。日本の河川の堤防は、全体があの程度で行くしかないと考えなければならない。ところが、最近の雨はかつてない規模で襲来する。紀伊半島で起きた豪雨は1000ミリを超えたのだ。どこかで毎年水害が起きて当然なのである。日本中の川に平等にスーパー堤防を作る費用などない。あの鬼怒川以上にリスクの高いところは、いたるところにある。酒匂川では霞堤という江戸時代の堤防がある。氾濫はさせるが、河岸の遊水地にとどまり、人家への影響を抑える方法である。私の住んでいる舟原も、土砂災害危険地区である。50年に一度の雨が降れば、人家に土砂が崩れ落ちるところがあると考えておかなければならない。神奈川県の説明でも、小田原でも舟原よりリスクの高い、人口の多いいところが多数存在する。そういうところから対策をしてゆかなければならないから、舟原で対策が取られるのは当分先という説明であった。

台風が2つ重なってやってきてようなとき、帯状の雲が沸き上がる、線状降水帯というらしいが、起こる可能性は高まっている。日本列島はどこでも災害多発地帯と考えた方が良い。避難である。それしかない。今回多くの人命が奪われた最大の要因は避難がほとんどなされなかったことにある。行政に至っては避難勧告すら出していなかったというので驚いた。気象庁から夜中のうちに大雨の特別警戒情報が発表された。その後の線状降水帯の居座りから、当然鬼怒川周辺の自治体では、避難指示が出ていると考えていた。東北大津波の時もそうだったが、戸惑っているうちに巻き込まれてしまった人が多数存在した。豪雨の際どうするかである。行政に期待するより自分がどうするかである。せめてその日はその家の一番安全なところに寝るというぐらいでも、案外命を分けるようだ。

今回の豪雨でも私の住んでいる久野地区は避難勧告が出た。幸い氾濫にはならなかった。そう言うことはすべてテレビで知った。小田原久野地区と出てびっくりした。私は防災リーダーという役なので、慌てて調べたが、どうも久野川下流地区のことらしい。久野でも上流と下流では全く状況が様相が異なる。この地域のあいまいさのもとに防災計画がや避難訓練が現実離れしてしまっている。避難指示が不必要に出て、又かという慣れで避難をしないということもある。久野自治会連合から、前星野連合会長の時代に防災計画の見直し案は提出されている。防災リーダー会議でもこのことは主張したが、あいまいに終わったままである。今までの行政の防災計画や住民の防災意識が、災害状況に対応できなくなっている。気候の過激化に合わせて、暮らしの災害対応力も高めてゆかなければならない。全体に期待しても、どうにもならないので、まず自分がどうするかは考えておくことになる。

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