ロケットストーブ・ワークショップ
ロケットストーブを作るとなると、何故かワークショップという言葉がつい出てしまう。これが学習会とか、体験教室とか、ではどうもしっくりこない。10年ぐらいたつと思うが、行政の「めだかの集まり」で、ワーキンググループとか呼ばれて意味が理解できなかった。分かりやすい名前にしてほしいと発言したのだが、分かりにくいというところが良かったらしく、変えられないまま今に至っている。ロケットストーブを自分の手で作ってみて、その基本原理を研究し実用応用を目指す。これは自給の精神の体得でもある。見ていればいいとか言うことであれば、ユーチューブを眺めていれば十分である。自給の暮らしの本当のところは、やってみなければわからない事ばかりなのだ。やってみて、自分の暮らしに具合良いように改良する。この考え方がとても重要になる。つまり販売されているロケットストーブを買ってきて組み立てるのでは、進歩がない。
昨日、11組20名ほどが集まりロケットストーブを作った。もっとも基本となる、エンジン部分を作ってみようと言うことである。ではなぜ大勢に呼び掛けるかである。これは沢山の失敗をし、工夫を重ね、それぞれに適合するストーブにしたいという計画である。床暖房に使いたい人もいれば、日々の調理に使いたい人もいる。災害用ストーブと考える人もいれば、農業用ハウスの暖房と言う人もいる。このエンジン部分から先のの工夫である。作ってみなければわからないし、使ってみなければわからない。今回は、煙突の径を120ミリにした。それとペール缶を二つ重ねて、目一杯高くした。これが構造的にいいことなのかどうかもわからない。背丈が低いより高い方が燃えがいいということは確かである。あくまで今回のものは、基本構造であり、各自が検討を加えてくれるということになる。
2時間位の工程であった。作り方の説明は言葉では難しい。ユーチューブでの映像を見てもらった方がいい。様々な形態が出ている。工夫を加えて行く参考になると思う。ペール缶に穴をあける。ペール缶を切る。こういう作業を出来るかどうか。ペール缶はガソリンスタンドなどに頼んでおけば、もらえると思うので、あれこれやってみればいい。パーライトを断熱に入れるのだが、多分耐熱性の高いグラスウールでやっている人もいる。煉瓦とか、砂とか、灰とか、コンクリートと言う人もいる。地域で手に入るもので具合の良いもを見つけたい。断熱材と言えば、畳を断熱材にした、非電化冷蔵庫がある。ダクト式のさらに簡単な、少し涼しい位のものもある。これも一度みんなで作ってみたいと思う。味噌の保存。種籾の保存。電気よりもむしろいいはずである。ワークショップ方式の良いのは、結論がある訳ではない。みんなでアイデアを出し合いながら、よりよいものに出来ると言う事だ。
自給の暮らしは暮らしに手入れをしてゆくものだと思う。暮らしの形がそれぞれに違うのだから、暮らしの道具は当然少しづつ違ってくる。道具の自給も暮らしの中のとても大切なことだ。だから、あえて農の会でもロケットストーブのワークショップをやってみた。色々やってみない限り、良いものは出来ない。農作業でも、道具の工夫はとても大きい。よい例がチェーン除草である。チェーンを使って草を抑えようという発想が素晴らしいが、そのアイデアが、現在多様に展開されている。チェーンも、乗用車のものから、トラックのものまである。重さから長さまで、様々自分の田んぼにあるもんがある。当然草に効果のない田んぼもあれば、チェーンだけで成功している所もある。良い道具を作り出す観察と発想が重要になる。この手入れをしてゆくものとのかかわり方を育てて欲しい。ロケットストーブも、頻繁に使わないと改善が出来ない。是非ともロケットストーブを使うような暮らしの機会を増やしてもらいたい。日々の調理をこれでやってみる人が居ないものだろうか。