喫茶店がらんどう
「がらんどう」新規開業
南足柄のスーパーヤオマサの真向かいに、友人が喫茶店を始めた。正直とても繁盛するとは思えない場所である。しかし、始めた。東京の三軒茶屋で40年も喫茶店をやっていた人だ。コーヒーの味には自信があるらしい。1杯300円というのは破格に安い。らしいとうのは、私がコーヒーの味が良く分からないので、残念ながらそうとしか書けない。蘊蓄やら能書はあるらしいが、そちらも私には聞いたところで分からない。ともかく独特なのは、店の作りだ。作りというか、全く作らないというか。ほぼ普通の家を訪ねるような感じだ。玄関からごめん下さいと、入っていく。呼び鈴を鳴らしたり、挨拶をする必要はないようだが、靴は脱いで上がる。思い切った店づくりである。確かにアットホームと言えば、これほどアットホームな造りはない。遠い知り合いのお宅のリビングでくつろいで、コーヒーをいただいている感じだろうか。
「からんどう」の店主のご先祖は、何しろ三軒茶屋の名前の由来となる、「しがらき(後の石橋屋)」「角屋」「田中屋」のその一軒のお茶屋である。店の名前は「我蘭堂」がもともとのお店だ。その長年親しまれた伝統の三軒茶屋を離れて、大山道をたどり、秦野からさらに大雄山まで来て今度はひらがなの「がらんどう」という店を始めたというのも、何かの因縁か。ご夫婦でやられている。二人ともとても、とても優しい人である。間違いなくくつろぐ場所になるだろう。ご主人は野球をやられていたという大きな人である。大きいから怖いということはなく。静かな穏やかな方である。奥さんはとても優しい感じの、涼しげな方だ。ご主人は久しぶりでお会いしたら、歳相応であったが、奥さんの方はこちらに来て若返ったように元気であった。女性はいつでも強いものである。
お二人がこちらに来たのには、少し、ほんのわずかだが責任を感じている。もう何年か前に久しぶりに我蘭堂に寄ってコーヒーを飲んだ。その昔三軒茶屋に住んだことがある。用事で立ち寄っても、今は知り合いがいる訳でもない。それで、ふらっと思い出してあの懐かしい場所に行って見たくなって、立ち寄った。そんな感じのお店だった。その時、何気なく「小田原の方に行かれたそうですけど、小田原の方はどうですか。」そんな話になった。お二人は以前、歳をとったら、どこか東京を離れたい。軽井沢の方にそのつもりで土地を準備している。そんな話を聞いた記憶があった。年取ったら暖かい方がいいですよ。その点小田原なんていうことない。などと話していたのだ。そこでいつもの小田原自慢を一くさりした。小田原は暮らすなら言うことはない。住所や電話も伝えた。その時は、こっちで喫茶店を始めることなど繋がっていなかった。
それが突然・・・・、はがきで「今度、南足柄で喫茶店を始めました。」である。それはびっくりした。相談してくれたら、場所探しなど協力したのに。残念なことをした。ともかく思い切った選択で、お店が始まっている。とりあえず、訪ねて見た。確かにあの「我蘭堂」のコーヒーである。この素晴らしい大胆な選択が実り豊かなものになるよう、わずかながらでも協力したいものである。出来ることなど何もないのだが、今度行くときは、水彩画ぐらいを持って行こう。きっと飾ってくれるだろう。全く誰へのお願いだかわからないのだが、どなたでも訪ねてあげて見て下さい。夜は6時30分までやっているそうだ。今度は食事など出来るようになった。車は2台は止められる駐車スペースがあった。