エビフライの店

   

なぜか私の行くレストランは閉店してしまう。あそこもここもと小田原市内だけで、10店ぐらいは止めた。新しいお店はたくさん出来るのだけど、どちらかと言うと、ちょっと違う店がほとんどだ。行ける店が減ってゆく。そうした中で、1年ほど前に発見した、なかなかの店がある。エビフライが美味しい。なぜかエビフライが食べたくなるとゆく。その昔は、エビフライと言うようなものは家で食べたことは無かった。天麩羅も食べなかった。ともかく揚げ物と言うのは、家庭ではめったに食べることは無かった。油が高価と言う事があったと思う。名前は書いてもいいのだろうが、場所は秘密にしておく。何しろ8畳ほどに10席しかない店で、混んでる日は時々断られる。わざわざそこで食べるために出かけて、食べれないのだから、すごすご帰ることになる。それなら予約しろよ。と成る所だが、ちょっと予約と言う雰囲気の店でもない。予約が必要な店は大体嫌いで入る気がしない。向こうのほうでも来て欲しくはないだろう。

ビックリしたのは、熱海で宴会があり、そこでその店の名前が出たのだ。ビーフシチューが美味しくて、有名な店だそうだ。テレビの食べ物番組では何度も紹介されたとか、と言う事だ。ビーフシチューの薀蓄を散々聞かされて、いかに大変な料理かはわかったが、ジャンルが違う。それじゃー箱根湯本にもある店。と聞いてみると、どうも違うらしく話がまったくかち合わなかった。その店は箱根湯本にもある。そう小田原の私の行く店に書いてある。どうせ書くなら、熱海にもあると書きそうなものだが、それは書いてない。熱海に同じ名前の店があることは確かだ。もちろん箱根湯本の店は行ったことはない。小田原から外まで食べに行くようなことは、私にはめったにしない。レストランも基本、地場である。ついでに書けば、スーパーも出来る限り地場である。私は気に入った場合、同じ物を頼む。「葡萄舎」では海の幸カレー以外食べたことがない。入ったとたん、「今日はカレーがありません。」と言われたぐらいだ。家での作り方をシェフが教えてくれた。それぐらいカレー以外食べない人間と思われている。

その店では、エビフライ以外食べない奇妙な人間と思われている。唯一他の物を頼んだら、「今日はシーフードではないんですね。」ビックリ顔でいわれた。その店は、肉が得意メニューで、ビーフシチューには、特別限定と書いてある。バランスの悪い変な客に思われる。変に思われるのは慣れているのでいいのだが、店の雰囲気を壊す、ということもあるだろうから、こだわりのあるような店には、入りたくもない。誤解覚悟で書けば、汚いような店の方が好きだ。ゴキブリぐらい居ても何でもない。休みにはバルサン炊くような店よりはましだ。否そのエビフライの店にはゴキブリは居ません。その店は予想外の所にある。まさかレストランがあるとは、誰も思わない。ここでレストランを始めようと考えた所がすごい。しかし、一階にあるからそれでも良い。そこには、なんと、歩いて三階まで迷路を上がって、食べる食堂もある。そのどこが入り口だか関係者以外にはわからないという、不思議な食堂も入ったことがある。そういう店を見ると、一度は入りたくなる性癖がある。

以前、小田原担当だった太った食べ歩き記者と、イエローページ足柄を作ろうと話した。私はマイナー店舗を担当するからと言っていたのだが、記者が転勤になって立ち消えになった。さすがに10年も経つと、店の方が止めたところばかりで、マイナー担当は難しい。遅ればせながら最近気付いたのだが、私の好みが、結局年寄り向きなのだ。刺身を除いた魚介類にかぎる。刺身は外で食べる気がしない。焼き魚が食べれる店が先ずない。バンバン煙を出して、煙の染み込んだような店は出来ない。フランス料理風も好まない。しかし、そこのシェフはまさにフランス料理そのもののような人だ。見るからに、シェフ以外の何者でもない。太っていて、ひげを生やして。声は低音。いかにも食べ物好き。見たところは一流のシェフだ。味も一流らしいが、一流と言う所で食べたことが無いのでわからない。。只者ではない。そのえびフライの美味しい店は「ス○○ト」という。

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