アメリカは中国に敗れた

      2025/07/19

「アダンの花」

米中の関税交渉は、アメリカにとって一番重要なことだと思われていた。ところがアメリカはレアメタルで圧力をかけられて、敗北した。主目的であった中国で結果を残せない、その反動を、中国以外の国で成果を上げたように見せようとして、世界に対して、さらにでたらめの関税を主張している。

トランプの本来の計画は、本丸の中国を攻めるために、まず周辺に圧力を高めて、という、日本などついでの案件だったはずだ。トランプはアメリカが中国に経済で追い抜かれることに耐えられなかったのだ。しかし、今はちゅうごくにおくれをとることは認めざりえなかったのではないかと思う。

トランプのやっていることは、外交儀礼を無視したことだ。今まで同盟国として積み上げてきた信頼とか約束を一方的に踏みにじった。日本側が考えて居た信頼関係は、崩してしまっている。アメリカは同盟国を、隷属している利用価値だけで見ているような国だったのだ。日本がアメリカを誤解してきた、自由と正義を旗印にするような国ではなかったのだ。

トランプは本当に700%の関税をお米にかけていると考えて居たのだ。それほど頭が悪いとは誰も思わなかったので、日本も説明もしてあげなかったのだろう。今になってみれば、700%に当たる関税が、非関税障壁を加えればあるのだと、本気で思い込んでいたことが判る。そしてその思い込みを覆すことは結局は出来ないのだろう。

一種病的な人と考えるしかない。その異常な人間を納得させるような交渉をすることは、実際には出来ないだろう。今回の日本政府の交渉は完全に失敗だったわけだが、交渉が上手で成功したとしても、24%がせいぜい14%にしてくれたという位のことだろう。まあそれでも大きなことなのだと思うが、大打撃には変わらない。

日本は最後の交渉ごととして、700%と言われる関税障壁を取り払ったらどうだろう。お米について700%とアメリカ側の考える根拠を聞いて、その通りにそれをすべて取り払ったらどうだろうか。確かに、日本の米農家には大きな打撃になる。国内で対策をしなければ、すべての米農家が廃業になるだろう。それでも、自動車関税が10%下がれば遙かに有利である。

一番の、あるいは最終の手段は、日本人がどれだけ安くともカリフォルニア米を買わなければ良いのだ。高くとも日本のお米を買えば良いのだ。日本の消費者がどう判断するかは、関税交渉とは別のことである。たぶんこの思いが、700%には入っている。

あしがら農の会の農産物を購入して、農の会を支えてくれた人たちは、日本の未来を考えて、地域の農業者に育って貰いたいと考える、そういう人たちであった。農の会の人たちも、商売としてだけ、宅配業をしていたわけではない。地場旬自給の思いを共有していたはずだ。

アメリカに700%の関税で守られた「日本の農家は異常だ。」これほど非道なことを言われていることにも耐えがたい。確かに日本のお米は生産コストが極端に高い。甘やかされているのは事実だ。日本だってアメリカ同等の生産コストのお米作りが可能だというところを、世界に見せてやらなければならない。

お米ならば可能なはずだ。日本人はついこの前まで世界一の米作りをしていたのだ。それが、異常な農業政策の結果こんなていたらくになってしまったのだ。すでに米作りは産業は言えない、確かに守られている間に歪んでしまった。例えば環境保護活動なら、地方創生なら良いけれど。と言うような物になっているのは事実だ。

その理由はお米作りは、日本人にとって神事のようなもので、仕事とは割り切れないところがあるからだ。こんなことを言ったところで、歴史の浅いアメリカの方には理解しがたいことだろう。しかし、米作りをほぼ失ってしまった沖縄本島は、どうも私には大切なものを見失ったとしか思えない。

主食を輸入に頼ると言うことは、国家としてあり得ないことなのだ。その国民の有り様まで支えているのが主食である。稽古が終わって、ちゃんこにパンを食べている相撲取りなど想像しがたい。アメリカのフットボール選手ならば、おにぎりではおかしいだろう。やはりどでかいハンバーガーだ。

小浜島に行ったときに、イネ作りをしていた方にお話を伺った。「自分が米作りを止めたなら、豊年祭の五穀がなくなってしまう。」このように言われたことは忘れられない。ウタキから湧き出る水で田んぼを作られていた。何日かその美しい田んぼを描かせていただいた。出作りに小浜島に通って、米作りをしようかと思ったほどだ。

それは与那国島でも、西表島でも同じで、神々のおらす田んぼである。経済だけの田んぼはない。それが主食というものではないか。日本人の命をつないできた魂のこもった食べ物なのだ。トランプの言う700%の非関税障壁には、日本教の信仰を捨てて貰う、まで入っているのだろう。

日本にはレアーアースという切り札がない。しかし、弱い国はどれだけいじめても良いと言うことだろうか。世界は弱肉強食で良いと言うことなのか。アメリカに反撃が出来ない、イランは軍事攻撃を恨みを抱えて我慢しなければならないのか。確かにトランプの世界観はそういうものなのだろう。

もう10回ぐらいは書いたことになるが、日本はアメリカとの同盟を終わりにさせるときだ。経済は苦しいことになるだろうが、日本人が日本人でなくなるよりは増しだ。日本人が死に耐えるのは、アメリカの暴虐に隷属したときだ。今アメリカが行っている非道を許してはならない。これは国是である。

ただ、静かにわずかずつアメリカに日本から退いて貰う。アメリカは米軍基地で、日本を支配している。たぶん、核ミサイルも日本に持ち込んでいる。駐留米軍は敗戦国日本を支配する目的の軍隊なのだ。静かに引き上げていただく。アメリカは金を出さないのなら、引き上げると脅すことだろうから、それに乗じて、出すお金がないので引き上げて貰うしかない、と交渉をすれば良い。

トランプ関税がおかしな方向に進んだのは、予想通りアメリカが中国との経済戦争の第一陣に敗れたからだ。中国が勝利した原因は、トランプになればこうなるだろうと予想して、準備をしていたからだ。中国だって厳しいことではあるが、国家一丸となってアメリカに対抗し、交渉を有利に進める政治基板がある。

日本では地方再生とか、農協票だとか、お米の後ろにある様々な要因が足かせになっている。しかし、今は戦後最大の国難である。アメリカとの同盟関係を見直すべき時なのだ。コンピュター革命に乗り遅れ気味の日本が、再度たがを締め直せるかの瀬戸際である。

トランプは中国との関税交渉で起きたマイナスを、何とか他の国で穴埋めしようとしている。そうでなければ、巨額減税の穴埋めが出来ない。トランプのプライドも保てない。だから、間違いなく弱いものいじめが続く。アメリカとの同盟はこの先、日本にとって恩恵はない。

日本は中国との関係をわずかずつ深めて行く。中国を仮想敵国にはしない。尖閣諸島の帰属の判断を、国連に委ねることにする。アメリカの手下でありスパイでもある自民党の軍国派には投票をしない。日本の国益は中国との関係の強化であることを、国全体で見直して行く必要がある。

繰り返し書いていることではあるが、日本は敗戦から80年が経過して、方角を変える曲がり角に来たのだ。トランプ関税は大きな打撃になるだろうが、これを世界の実相だと受け止めて、コンピュター革命を乗り切って行くことだ。しばらくは耐えるほか無いだろうが、戦後80年をもう一度やり直す覚悟で取り組むときだ。

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