田芋の栽培

田芋を植え付けたところ、苗がしおれてきていたのだが、大丈夫だろうか。田芋については、まったく初めての経験なので、様子が分からない。売られている田芋は見たところ里芋と同じなのだが、葉の姿はかなり違う。
そもそも、水の中で栽培するものだから、かなり性質は違うのかも知れない。石垣の人はターンム というように発音されていた。水芋とも言うらしい。似たような芋にタロイモというアジア全般で作られてきた古い作物がある。
その分類は曖昧だが、タロイモの語源は、ポリネシア語で「イモ」を意味する「Taro」 。里芋や田芋もタロイモの一種と考えた方が良いようだ。難しいのは日本ではタロイモと読んでいる種類の芋もある。日本人の感覚ではサトイモ科の植物の中に、タロイモも田芋も含まれるというところかも知れない。
日本の主食の最初とされる芋が里芋の類と聞いた。山芋に対して、里芋と呼ぶようになったものだ。水芋、田芋、里芋、山芋、名前の付け方が単純で良い。栽培技術がほとんど無くても栽培できるため、古い時代に作物として、栽培が始まった物なのだろう。山栗などと似たような古い食用の歴史かも知れない。
里芋の仲間は味が、人それぞれで好みが違うようだ。私はタケノコ芋の小芋が一番好きだ。子供の頃庭で茹でて貰い、むしろに座ってよく食べた。あの記憶と味が結びついている。八つ頭が好きだと言う人も多い。地域地域で固有種がある。小田原付近でも弥一芋と呼ばれる里芋があり、これが一番美味しいと言われている。
沖縄では当然のごとく、田芋が一番美味しいとされている。お祝いの席の琉球料理には田芋が使われる。それは日本全体おせちには里芋はつきものだろう。小芋、孫芋と増えるので、子孫繁栄といい慣わすが、それよりもお米と同じで、古い主食であるので、祝い料理には欠かせないのだと考えられる。
のぼたん農園では9番10番はまだ作付けをしていなかった。10番は石拾いまで終わったのだが、畦が崩れてまだ代掻きまで進んでいない。9番は代掻きはしていないのだが、8番の排水が流れ出ている内に水が浅く溜まった状態である。
田芋は9番田んぼと6番田んぼと溜め池の上の周囲に植えた。まず今年は種芋を残すことを優先する。栽培に関してはその先のことにしておけば良いだろう。田んぼを優先しなければならないとしたら、田芋は溜め池のどこかが良いかもしれない。
9番は石拾いが十分でないので、とても田んぼには出来ない。そこで色々考えていたのだが、一度田芋をつくるのはどうかと考えた。現在の田芋は割合新しい時代に東南アジアから来た作物らしいのだが、いつ頃から沖縄本島で作られてきたものかはよく分かっていない。
たぶんお米より古い時代に作られていたはずだ。それがお米に変わり作られなくなった。大切な田んぼに、田芋を作るどころでは無かったはずだ。それで途絶えてしまい、たぶん戦後に成って再度作るようになったものではないかと思われる。
石垣島ではほとんど作られては居ないと思う。栽培されている畑は見たことがない。目立つものなのに見ないのだから、栽培している方はかなり珍しいと思う。それでも、ゆらてーく市場で出荷されているのは見たことはあるので、どなたか作っているのは確かである。
食べたて見なかったので、里芋とどのように味が違うかも分からない。本島では栽培農家がゆであげて販売しているらしい。堅くて大きいので、調理が大変と言うことらしい。またゆであげてみると中が腐っている芋が分かるらしい。
ともかく臨時に作ってみるということなので、余り期待しないで栽培してみたい。サトイモ科の作物であるのは確かなのだが、水の中で育てるというところが、里芋とは大分違う。価格は里芋より高めだった。お祝い事で食べる、伝統的沖縄野菜の一つになっているので高いのかも知れない。里芋より美味しいと良く書かれているが、どうだろうか。
田芋の苗はどこかで売られているわけでもない。作ってみたいとは思っていたところ、福仲先生が野生化した田芋があるところを知っていると話してくれた。それじゃその場所を教えて下さいと話したところ、早速その日のうちにカゴ一杯とってきてくれた。
福仲先生は常に、様々なものを観察している。たぶん水牛をあちこちの湿原に繋ぐので、田芋があるのを発見していたのだ。そして記憶していたのではないか。その昔田芋の畑があり、それが放棄されて生き残ったものらしい。ということはかなり丈夫な作物と言うことになる。石垣の気候に合っているのだろう。
雑草にも簡単に負けないと言うことのようだ。4月中に苗を植えれば、たぶん来年の3月には収穫できるだろう。一年間の栽培して収穫すると記載がある。3月に収穫を終われば、9番田んぼの田植えにも間に合うことになる。
水のある植物は栽培が楽でいい。石垣の困難な土壌でも何とかなる。水があるので、雑草を抑えることも比較的簡単だ。いずれにしても、これで田んぼは10番を残すのみとなった。10番は石拾いが充分行われた。畦も直した。水が溜まり代掻きが出来れば、田んぼとして使える状態には成る。
さてどうしようかという所だったのだが、田芋の9判田んぼは水が行かなくなってきた。田芋はある程度乾いても大丈夫と言うことのようだが、6番田んぼに少し移した。溜め池の所にも保存用に1本植えた。どちらかには水が残る可能性が高い。代掻きをしてないのだから、水がやはり抜けてゆく。
下の方の田んぼは、砂混じりで水持ちが悪い傾向がある。少し油断して、8番の代掻き足りなかった。その上に直播きでまだコロガシをしていないので、水持ちがさらに悪い。今日辺りコロガシをやってみようかと思う。居ない間に乾いてしまえば大変だ。
雨がこのところ少なく、湧水量が減少してきた。何とか次の雨まで水を繋がなくては成らない。水は湧いてはいるのだから、何とかなるだろう。それでも溜め池の上を直して、雨が降れば水がため池に集まるようにした。いくつか縦穴を空けて、溜め池上部の土地が保水力を増すようにした。
溜め池をもう少し大きくする必要もある。大きくして充分貯めておければ、水が減少したときの対応幅が大きくなる。0番田んぼを予定通り、溜め池にして貯水量を増やす必要があるだろう。今年のイネが終わってからと言うことになるのだろう。
なんと言ってもみず管理が重要である。上の方に降った雨が上の畑に溜まるように、土壌の保水力を増やす方法を考えたい。チップをまた運んで貰う必要があるかも知れない。