陰謀論とエセ科学

   


 田んぼに植えられたサジオモダカ。

 コロナワクチンを打った人は5年後に死ぬというようなデマを流す人達がいる。情けないことに、こんな悪質なデマに乗せられる人がいる。これが今のご時世と言うことなのかもしれないが、ネットで情報が流れるように成って、どんな馬鹿な話でも、ある意味病的に歪んだ人達の間で蔓延する。

 蔓延し始めると、それほど異常ではない人までうっかりはまる。はまってその筋の情報を繰返し読んでいる間に、本の狭い範囲の歪んだ情報を、世間での当たり前の話だと思い込んで行く。生の人間との交流が不足したまま、ネット社会の中に漂う危険である。

 そもそも人間は一人でいれば歪んで行く動物である。多くの人間と接触し、交流することで、常軌を保てるのだと思う。怖いのはネットでの疑似交流を繰り返している内に、その歪んだか乗用の渦に巻き込まれてしまい、自分が多くの人間の間で生きているような錯覚に陥る。

 そして歪んだ人間同士の情報交換の結果おかしな情報を、みんなが知っている既定の事実のように思い込んで行く。統一教会の中にいれば、おかしいのは外部の人間で、統一教会が被害者のように思い込むのだろう。良い人間と交わることがいかに大事かと言うことになる。

 金正恩独裁者でも良いが、プーチンでも良いが、習近平でも良いが、まともな正しい人間との交わりがないのだろう。独裁者は祭り上げられて行く内に常軌を逸する。プーチンが徐々に追い込まれてゆき、どういう終わり方をするのかは着目に値する。

 それぞれに歪んだ能力は傑出しているから独裁者になるのだろう。ところがまともに批判する人を失えば、人間のゆがみが生じる。一度歪むとそのゆがみに適合する人が集まる。歪んだ人間達の集団が出来る。こうなると取り返しの付かないような独裁が生まれるのだろう。

 批判をしなければならない。あらゆる事を疑ってかかる必要がある。確かにコロナワクチンが安全なものであるかは、科学的な思考をしなければならない。政府の発表を鵜呑みにしてはならない。世界で行われた結果を冷静に見なければならない。

 コロナワクチン陰謀論の根拠は、人口増加を抑えなければ人類の永続性が無いと考える人いて、人口増加を抑制するために、コロナワクチンの接種をしているというような繋がりらしい。そもそも、人口増加を願っている日本社会ではあり得ない話だ。

 陰謀論を信ずる人は、世の中に対する不満が大きい人なのだろう。何か社会の裏では陰謀が渦巻いているために、この社会全般に許しがたい不満な状況が作られていると思い込んでしまう。そう信じんたい心理があるから、陰謀論が生まれる。

 水ビジネスという物がある。水に何か一見科学的と見えるような操作をして、その性質を変えることで、環境で起きている問題が一気に解決できるという、機器の販売をする事業である。人間が環境や健康に不安を抱えている時代である。何かにすがりつきたいという気持ちにつけ込む商売である。

 統一教会の霊感商法と同じである。水ビジネスをやる人は様々旨いことを主張するが、その根底には金儲けが必ずある。創生水という物があった。長野の上田の人で、確か深井さんと言われる方が小田原に営業のために見えたことがあった。

 創生水を使えば、田んぼが無農薬で出来る。養鶏では最高の卵が出来るという売り込みであった。小田原にその営業所のような物をやられた人がいて、その人が農の会でも使うように、深井さんを呼んで農の会で話をして売り込みをしたわけだ。

 私が自然養鶏をやっているので、上手く巻き込めば商売になると考えて、熱心に誘われたのだろう。上田の方に用事があったので、それを使っているという実際の畜産を見せてもらうことにした。エセ科学に違いないと思ったけれど、創生水を使って匂いがまったくない畜産農家があると言うので、実態はどうか見に行った。

 ひどい匂いがしていて、これでは創生水がエセ科学だと言うことの事例のような物だと思った。それでもつべこべ、機械が最近壊れていたらしいとか言い訳をして、余りに熱心なので、そこまで言うならどうぞ田んぼを紹介しますので、そこで創生水を使ってやってみてください。きちっと収穫まで出来たならば、考えましょうと約束した。

 それでその営業所の人が田んぼをやってみた。ひどい田んぼになってしまい、収穫もろくに出来ないで終わりになった。そこでもさまざま言い訳をするので、それならもう一年やってみてくださいと話したが、さすがにやることはなく話は終わった。

 養鶏所の水も創生水にしろと散々言っていた。そう考えるなら、2ヶ月以上経過した卵が孵化できる生命力を持ったときに相談しましょうと話したら、どこかでやるようなことを言っていたが、これも成功せずに終わった。エセ科学は話だけで、実戦すれば嘘は明らかなのだ。

 陰謀論もエセ科学も、理屈だけで現実がない。ネット上の話は実践が伴わなくても、話や映像はいくらでも偽造できる。注目されたいと言うことで、静岡で洪水が起きてい
るという映像を流した人が最近もいた。この注目を集めると言うことが、お金と結びついている事があるから、要注意である。

 ユーチューブでは1000人ぐらいの人が登録をすると、お金になるらしい。そういうことをユーチューブの料理を紹介しているひとが言っていた。自分は料理を紹介したいと考えていただけなのだが、ユーチューブからお金が振り込まれたと言っていた。

 まだ仕組みがよく分からない。何時どこで自分の口座を登録したのだろうか。映像を公開するには登録費用がいるので口座を伝えたのだろうか。お金になると考えて、何かに登録するのではないのだろうか。まあどうでも良いが、ネットが陰謀論の発生源になりやすいと言うことだ。

 プーチンの侵略戦争もネットで影響を受けるようになっている。いかにも事実のような嘘が蔓延している。これを判別するのはほとんど不可能だろう。しかし、様々な物を冷静に判断しながら見ていると、新聞やテレビ報道よりは事実が見えてくることがある。

 新聞という紙媒体が、テレビが出来て機能を変えた。テレビも新聞もネットが出来て機能を変え始めている。まだどこに落ち着くのかは分からないが、ネットは個人を尊重したが、個人がよほど自立していないと、社会全体が陰謀論やエセ科学にだめにさせられる危険があると言うことになる。

 - 自然養鶏