日米安保破棄後の世界。

   

 アメリカの大統領トランプが安全保障条約は不平等なものだとして、破棄について言及した。日本も正面から安全保障問題を考えるときが来た。日米安保条約がなくなれば、中国がすぐにも攻めてくるというような悪質なデマが流されている。
 
 冷静に、世界情勢を判断しなければならない。理由無く即戦争をしようなどと言う国は、世界に無い。戦争が起こるには理由がある。宗教、民族、経済、資源、国境、さまざまな対立が極限になり戦争になる。今の中国との間には、戦争になるような深刻な対立は無い。
 
 隣国との間にはいくらかの軋轢はある。平和主義による国際紛争の解決に意を尽くさなければならない。その一方で専守防衛の徹底研究である。もちろん憲法の研究もアメリカとの軍事同盟がなくなる前提で議論しなければならない。
 
 米国には集団的自衛権を行使して日本を防衛する義務があり、日本には米軍に基地を提供する義務がある。これが日米安全保障条約の骨格である。片務的どころか、日本のどこでも自由に使える権利を与えているのだ。アベ政権は憲法を逸脱して、アメリカの戦争に出かけてゆけるようにした。当面日本が戦争に巻き込まれる可能性はここにある。
 
 その日本の基地提供の義務の73%をになっているのが沖縄県である。一方で防衛の恩恵だけを受けているそれこそ片務的な地域が日本にあるのは事実だ。まず、日米安保の片務的状況の前に、国内の沖縄に依存する安保体制を、解消しなければならない。
 
 米軍基地を平等に引き受けろということでは無い。日本の防衛を、日本国全体で考えるのはあたりまえのことだ。日本全体での専守防衛である。どうやって攻撃的兵器なしに、日本の安全保障が可能か、研究しなければならない。
 
 トランプは返還の約束をした、普天間基地を一兆7000万円だと言っているそうだ。トランプは米軍基地をアメリカの所有地と考えているのだ。脅しにしても頭が悪すぎる。アメリカは沖縄を占領はした。民間の所有者から、強制的に取り上げたに過ぎない。徴用工問題以上のひどさだ。
 
 トランプのことだから、次に武器を大量に買えと言うことだろう。あるいは、自衛隊基地もアメリカに自由に使わせろと言うことだろう。石垣島にも早く基地を作れと言うことだろう。それがアメリカの本音である。脅かせば、日本で何でもできると思っているのだ。
 
 以前にトランプは経済交渉で譲らないなら、米軍を引き上げると必ず言うと書いたが、ついにそのときが来たのだ。良い機会が来たのだ。日米安保条約破棄の時が来たのだ。占領軍アメリカからやっと日本が、沖縄が独立する可能性が出てきたのだ。
 
 アメリカが日本に居るのはあくまでアメリカのためである。アメリカは世界戦略の中での日本の占領軍なのだ。沖縄で繰り返される米兵の暴行事件を見れば、米兵が日本人をどう見ているかが分かる。
 
 日本は当たり前の中位の国である。しかし、高い文化と高い知性を持つ国である。東洋4000年の循環農業の知恵を生んだ国だ。江戸時代には自然環境に手入れしながら、大きな破壊などしないでも人間が生きていけるみごとな文化を創造した国だ。
 
 戦争に負けたことは確かだが、アメリカの属国になったわけでは無い。長い間アメリカの傘の下に居た間に、アベのような帝国主義者の方が臆病者になっている。無一物のものから奪うことはできない。
 
 軍事力が強いから何でもわがままが通るというような野蛮な思想を克服しなければならない。中位の国であろうとも、国家の尊厳は同じである。日本よりも小国であろうとも国家の価値は同じである。大きく経済力があるから、グレートなどと叫んでいることは愚かで野蛮な、品位の無いことなのだ。文化と節度の無い国との同盟はもう沢山である。
 
 日本が目指す方角は、世界が永続できる方角である。人を蹴落として、最後には自らも滅ぶというような、弱肉強食の世界は乗り越えなければならない。日本国憲法にはそういう理想主義があると思う。
 
 日本国憲法では「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
 
 「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
 
 日本人が江戸時代に作り上げた、循環する社会。人を出し抜かないでも生きてゆける社会。消費的な暮らしでは無く、創造的な暮らしである。こうした日本的文化を世界に発信してゆくことこそ、日本の安全保障でもある。
 
 現代社会の武力的均衡は、考え方が変化をしている。武力が強大化しすぎて、誰も手出しができない膠着状態である。そこで、経済戦争が起こる。情報戦争が起こる。
 
 武力的衝突は内戦とそれに介入する代理戦争である。日本がそれに巻き込まれないように平和外交を進めれば、日本を占領してしまおうなどと言う国は現れない。もちろん安心安全に絶対は無いのだが。
 
 日本と韓国、朝鮮、日本と中国、台湾、日本とロシアとの間には、領土問題を含め軋轢がある。この諸問題の解決の場は憲法に定めたように国際平和を希求し、平和的手段で解決するとしている。まずは国連の場である。あるいは国際裁判所である。あくまで平和外交で行わなければならない。憲法は内閣にそう命じている。
 
 
 
 
 

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