民主主義と沖縄
民主主義風前の灯火となった。岩屋毅防衛相は26日の記者会見で、「沖縄には沖縄の民主主義があり、しかし国には国の民主主義がある」と発言した。民主主義に2つあるはずがない。アベ政権の問題ということもあるが、それだけでなくまだ日本人は民主主義を理解できないのだろう。だからこんな人が防衛大臣でいられる。安倍氏自身が沖縄の米軍基地の負担軽減に誠意をもって対応すると発言しながら、何もしないでいる。石垣市では市長が自衛隊基地は配備は国の専権事項だから、何も言えないと発言している。これらの姿は民主主義を理解できないとしか見えない。このような政治状況に進んでしまった原因は、トランプを代表するような、利益誘導型の世界政治の登場ということがある。経済戦争の戦時下では民主主義は眠らされるということであろうか。資本主義が民主主義を飲み込んでしまったかのようである。72%の沖縄県民が反対していることを、国の専権事項であるから、無視してもいいということが、もし民主主義が生きているのであれば、通るとは思えない。民主主義で最も大切になることは、一人一人の人権である。無視された72%の地域の人間は自分たちの生活的な痛みを、政治的主張としてどうしたらいいのかということになる。民主的な手法では手段は尽くされている。
当然選挙でそれは表現されるであろう。しかし、大多数の本土の人間は沖縄の痛みについては、直接的には感じることはない。その結果それぞれの経済的利害を中心として投票が行われる。沖縄の問題は相当に薄まった形で、国政選挙に現れる。その結果沖縄の72%の反対の主張は少数意見になる。この繰り返される現実に対して、民主主義はどう答えればいいのだろうか。
沖縄の問題は答えがないというより、愚門という形で日本全土から切り捨てられている。これが沖縄の歴史とも絡み合い、沖縄の人にとっては、問題の是非以上に身体的な違和感のような痛みを伴う。その痛みは繰り返し、繰り返し、永遠に続く解決のない重さになっている気がする。だから、沖縄では、石垣島では若い人たちが政治に関心を持ち始めている。問題に向かい合わないアベ政権の政治。トランプへの忠誠の誓いで送られた人身御供沖縄。思いやり予算で作られる莫大な費用の掛かる辺野古基地建設。強行着工された石垣の自衛隊基地。どうしてもかみ合わない議論。そもそも議論の余地もない国の専権事項。そして、都合よく弁明にだけ使われる普天間基地の危険除去。石垣島の安全のためのミサイル基地の空論。そもそもヘリコプター墜落まで無視され続けた普天間の危険。そして今も続いている普天間の危険。沖縄だけの問題では当然ない。国の安全保障と軍隊とその周辺部に暮らさなければならない人間の危険。
そもそも軍隊というものと民主主義は折り合いがつくものなのだろうか。民主主義的軍隊というものはありうるのだろうか。暴力と民主主義は相反するものではないか。攻撃的武力を持つということ自体が、民主主義に反しているのではないか。専守防衛ということを考えている。国の専権事項であるから、国の安全保障というものを地域住民としての国民は考えてはいけないのであろうか。例えば国境地域の住民が不安だから、自衛隊に来てほしいなど請願できないことなのだろうか。そこで暮らすものとしては石垣島の安全ということを考えている。石垣島は外国と接している地域である。しかも尖閣諸島という、領土問題のある島がある。ミサイル基地がある方が安全であるのか。ミサイル基地は本土の為の防人で、石垣島の危険を増しているものなのだろうか。迎撃ミサイルというものは、日本程度の所有数で、場所が特定されていて、効果があげられるものなのだろうか。素人目には無力に思える。攻撃すると想定されているものは原爆を保有した勲位である。大陸間弾道弾を膨大に保有している。
国力のない国には安全保障というものはないのだろうか。弱い国は強い国に従わなければならないものなのだろうか。もし世界が民主主義で出来ているのであれば、暴力的に弱い国を圧倒するなどということはない。沖縄の72%の意思が踏みにじられるということは民主主義ではない。辺野古埋め立てが、石垣自衛隊基地の強行着工は民主的ではない。一連の行為を民主主義的な手順を踏んでいるとするアベ政権はまともな政府であるとは思えない。もしまともでないとすれば、こんな政権をいつまでも選択している、日本人がまともではないということになる。そもそも単独の国家による安全保障など存在するのだろうか。国の安全保障を一国だけで考えるということに無理がある。専守防衛の背景には弱いもの連合がなければ無理だろう。日本はアメリカの属国としての安全保障を確保している。その代償として、沖縄を中心とした基地を提供している。それは、韓国を考えてみると鮮明になる。韓国は中国をにらんだミサイル基地を提供した。その結果中国との緊張が逆転現象のように高まっている。石垣にミサイル基地を作るということは中国との緊張を高めるということだけは、はっきりとしている。これもアメリカの属国としての役割なのであり、住民は犠牲を強いられるということなのだろうか。