稲の葉色診断

   

1番田んぼから、7番まで。

稲の様子を見る一番の材料が葉の色である。自然農法で栽培をしていると、葉色が濃くなる。窒素肥料が多いいと葉色が濃くなり、倒れるということも言われる。田んぼは100枚100様なので一通りに判断することは出来ない。自分の田んぼの葉の色の変化をよくよく観察しておくことが、田んぼ管理には重要なことである。大きな変化としてはまず、葉色は田植えの時点では色は黄緑色で柔らかい明るい感じの緑である。早苗色という名前がある。それは今の機械植の箱苗の色ではない。苗床で育てた、5葉期の苗の色である。それは機械苗の黄色ぽさとはだいぶ違う。しっかりした黄緑色である。葉色を見るうえで重要なことは、5葉期の苗ならば5番目の葉の色が全体の色を作り出しているという事だ。4番目に比べ上にぐんと伸びるし、葉の大きさもぐんと大きくなる。おおよそ1週ごとに葉が出て、出立ては葉色が浅く葉が展開すると色が濃くなる。

10番を中心に左に11番、上が9番、半分切れて8番。

田植え直後の田んぼの色は水面が広く、ポツンぽつんと稲がばらまかれるので、頼りない黄緑色に感じる。それが一気に緑を増してくる。色を濃くしながら6葉が広がり始める。最初の葉は弓なりになりがちである。出来れば葉の厚みがあり、まっすぐに立ち上がればより望ましい。開帳型である。その後はほぼ1週ごとに7枚目、8枚目と葉を増やすがどの葉にも言えることだ。今は田植え9週目であるから、14枚目の葉が出ていることになる。8月に入るとそろそろ止葉が出てくることになる。田んぼの色は黄色みを増したり、緑を濃くしたり、呼吸をするように日々変化してゆく。水口は緑が濃い。ソバカスが多かった田んぼの淵も緑が濃い。苗床をやった田んぼは緑が濃い。緑肥が充分育った田んぼは緑が濃い。しかし、それも一応ではない。田んぼの中央のある分から黄色みが広がったと思えば、再度葉色は濃くなってゆく。新しい葉が黄色っぽく伸びて、陽に当たりながら葉色を濃くする。

生育が遅れているところも緑が濃い。また成育が良いところも緑が濃い。田んぼの淵が日照が良いために葉色が濃いという場合もある。遅れて、捕植した苗は色が浅い。葉色は田んぼの何らかの情報であることは間違いがない。主に、根の様子だと考えている。コロガシを入れると、そこは緑が増す。根が活性化するからだろう。草が多いいと、そのあたりは黄色が増す。田んぼを干すとやはり葉色は、黄色ポクなる場合が多いい。その後また濃くなる。こうした変化は土壌と根の関係なのだろう。目標としては、葉色は薄くならない方が良いと考えている。窒素が多過ぎるための緑色の濃さとは違う。堆肥だけで追肥をしない農法での、緑色は一定の濃さを保たないないようではよい穂は出来ないと考えている。自然農法で葉色が浅くなるようでは、根の活力が失われてきている兆候である。色が浅いから追肥をいまさらやるようなことは無駄である。

田んぼの色をよく観察したら、稲を握ってみる。硬さと量を手の感触で覚えておく。良い状態であれば、強い弾力で跳ね返すし、握り切れない量がある。大げさに言えばすすきのような硬さである。田んぼ11枚でそれぞれの硬さと葉色がある。硬さと色との組み合わせを積み重ねて置くことが重要。それが収量的にどう違う事になるのか。それによって、そこの田んぼの土づくり、水管理がだんだんわかってくる。田んぼの色は今出てきた一番最後の葉の色を強く反映している。田んぼの色は毎日変わるのだ。朝と夕方でも色が違う。葉は光合成をしている。根に活力があれば、すぐに色を濃くしてゆく。この時に吸収しやすいチッソがどの程度土壌にあるのかという事で葉の色は影響されることはあるが、自然農法では、追肥は行わない。追肥しないという事はむしろ秋落ちになる可能性がある。にもかかわらず葉色が濃いという事は、土壌が良い発酵を続けている証拠になる。葉色が落ちるようなら、要注意という事である。

 

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