中国の視察団
中国からの視察団は無事小田原を出発された。小田原有機の里づくり協議会に対応していただけたので、とても有意義な農業視察が出来たと、市長を始めとても喜ばれていた。今回、とても新鮮な視察が出来たというのが、視察団の意見であった。計画した私の意図の一部は伝わったかと思う。「提携・宅配」「農事法人・生協出荷」「農協・地場産市場」この3つの、農家が主役となるの新しい販売方式を見てもらいたかった。実は、古くて新しい、この方式は日本でも成功しているばかりではない。問題点も多々ある。しかし、私が見るところ、古い流通形態を充分に残している中国で、こうした3方式が、日本の新しい農産物流通として現れていることは注目するだろうと考えていた。中国が日本向けに農産物を出荷する形態は、遠からずなくなる。その新しい中国の農産物の流通形態を考える上で、大いに参考になるだろうと考えていた。
今回の視察は、農業技術者も居られたが、主農政関係の行政の方達だそうだ。生々しく動いている、巨大な中国の農産物流通機構に形成に、大いに影響がある方々だと聞いた。是非とも、「一つ一つの農家が暮らしている。」という視点で、新しい流通形態の形成をしていく参考に、小田原で生れている農産物流通の新方式が、なるはずだと考えた。中国政府は日本とは比較にならない位、巨大で、合理化した、いわば農業工場のようなものを想定しがちである。その中で、小さな農民は忘れられ、埋もれて行きかねない。農業工場の労働者と言う立場に固定される。しかし、農家の暮らしの一つ一つはとても、人間味あふれた、豊かな空気を持っている。そうした、小さな農民の暮らしが大切にされるような方向を、失わず近代化を進めてもらいたいと思う。日本への輸出とか、上海の富裕層向け、高給農産物の生産。そういうものがいけないという訳ではないが、その時に、忘れてはならない農家主人公の流通。
中国の視察団の人は、どの視察の後も、バスに戻ると大激論をしていた。たぶん、あんなものは成り立たない。中国では無理だ。見えていない矛盾部分を指摘しあっているようだった。中国語は分からないから、即断は出来ないが、とても刺激が起きた事だけは確かだ。帰りの電車の中で本音は出るものだ。宅配の仕組みについては、ほとんど理解できないようだった。生協出荷については、生産物の品質管理にとても興味を持ったようだった。地場産市場については、興味シンシンでぜひ中国にも作ろう。こう言う雰囲気だった。農産物を購入して、その場で食べ始めた。味がいいので驚いたと言っていた。お世辞とは思えないように、一気に食べてしまった。日本で見る中国の人は、とても緊張していた。外国だから当然のようだけど、真剣度がだいぶ違う。日本人が失った本気度。行動がとても早い。団体だから時間がかかると想定した。昼食でも1時間と考えて計画したが、20分で食べ終わり、もうバスに戻った。
あしがら農の会の活動は、中国にもあるから、改めて日本で見るほどの事もない。そんな感じなのか。中国では農家の人が、朝野菜や牛乳を配達している姿を見た。しかし、この古くさい形態こそ、最も新しい可能性なのだと言う事を、誰か一人でも見ていてくれていればとおもう。ジョイファームでは、渡辺さんがとてもいい説明をしてくださった。中国の人にもその仕組みが充分理解できた。しかし、出荷先である生協という消費者のグループの姿が、システムが、良く分からないようだった。後からの反応は行政から独立した、農家の自主的な動きと言う事で、戸惑いと言うか、混乱と言うか。行政サイドとしてどう受け止めてゆけばいいのかに戸惑っているようだった。地場産市場はこれこそ、自分たちが準備するべきものだ。直ちにやるべきだ。そういう反応であるように見えた。既に中国には存在しているとも言える地場産市場。