イオンの農業参入
イオンは農地リース方式を活用し。牛久市で2・6ヘクタールの農地を確保し、キャベツなどの露地栽培のほか、ハウスで小松菜や水菜を生産する。初年度は約300トンを生産する計画で、千葉、茨城県を中心とした関東地方のジャスコ約15店で販売する。3年後には、農地を15ヘクタールまで広げる予定。コスト構造を見直すことで独自ブランド(PB)で2~3割程度安く販売できるという。
キャベツの露地栽培をやるらしい。2、6ヘクタールからのスタートである。2~3割安く販売できると言う、社長の発言がさもありなんと言う所だ。差別化して、国際競争力のある野菜を作るなどとは、けして発言しない。どちらかと言えば、農家から野菜を買い叩く、そのための野菜生産じゃないの、と言う風に農家としては、穿って聞こえる。イオンがやろうが、農家がやろうが、この程度の面積の野菜生産で価格差が出るというのは、市場の仕組みを無視した行為だ。我々の直売もそのとおりだが、イオンがやるというのは、意味が違う。大半を市場を通して購入しているのだろう。市場を育てると言う役割を捨てていることが、見えてくる。自分さえ良ければいいという事になりやしないか。競争なのだから、当たり前だろう。多分、ほとんどの人がそう思うところ。安くていいなら文句ない。しかし、そうやって、イオン以外の農家が無くなって困るのは、買って食べる人だ。
しかし、イオンの試みが、計画通り広がって成功するとは、到底思えない。「3年後には、農地を15ヘクタールまで広げる予定。」という。成功してもイオンの規模からしたら、あまりに小さい。ちょっとした野菜農家1軒分。農の会より小さい。本気とは到底思えない。イオンの野菜の1%にもはるかに届かないだろう。それでも、消費者にはアピールできる。ニュースでも取り上げられる。政府には褒められる。この辺の効果を見ている。イオンの野菜は自社生産。こんな風に思わされる人もいる。正確に見る人でも、社会意識の高い会社だと思うかもしれない。もしかしたら、株価も上がったか。いずれ企業の農業参入は流行りだ。セブン&アイ・ホールディングスも既に始めている。和民は早くから始めたが、たいした広がりになっている訳ではない。むしろ、何故販売先がありながら、広がらないかの方を考えてみるべきだ。
それは単純に、輸入農産物と価格で対抗するなど誰にも出来ないからだ。イオンだって、和民だって、お米を作るとは言わない。輸送コストとか、新鮮とか、他の要素が比較して大きい野菜だ。それもあくまでイメージ戦略の範囲の事。本物に似た嘘が、消費者好み。虫も死なない、安全な殺虫剤を使ってます。と言うような類。私がイオンで、農業に参入するなら、この10倍の規模で始める。30ヘクタールで始めて、3年後300ヘクタールを目指す。せめてアメリカの農家並み。その計画が見えないなら、本気では取り組めない。コストパフォーマンスがその程度の規模でないと、考えようがない。政府の政策では、その規模が推奨されている。もしかしたら、実はそういうところを、狙っているのだが、今からそう言う事を出してしまうと、周辺農家から不安視されて、成るものもならないと考えているのかもしれない。いずれどっちに転んでも損の無い所を考えているに違いない。
自分で作るのが一番。イオンから買わないですむ幸せを思う。結局いつもの考えに戻ってしまう。食べ物を自分で作る安心。確かにそれは、条件によって難しい人もいる。今の暮らしはそういう所に、陥れられている。利潤だけを追う資本主義に、暮らしなどどこかへ追いやられてきた。人間らしく生きると言う事を犠牲にして、子供や家族の生活費を考えてきた。この不況は、暮らしを見直す、大きなチャンスだ。仕事がなくなり、路上生活に入る前に、自分の手で生きて見る。もちろん大半の人にその能力が失われている。自分の食べべる物を作る、体力も、気力も、感性も失われている。そういう教育を受けてしまった。今年60の私が、一日、1時間の労働で、自分の食べる物を作れる。先日見えた体験の人は、こんな毎日ですか。こんな作業が毎日ですか。そう繰り返し言われていた。よほど大変だったようだ。