中川財務大臣の異変

   

中川財務大臣の様子がおかしかった。いかにも泥酔した状態で、記者会見をした。これがG7後の世界の注目する場であったから、問題化した。同日、日本の国内総生産が年率換算で12,7%の下落が、発表になる。麻生首相は今回の金融危機は諸外国に較べて、日本は問題が少ない。など、意見を述べたばかりだった。麻生政権は今の日本の状況を把握していない。自民党内ではついに真打登場で、小泉元首相が、麻生氏の態度に苦言を呈する。四面楚歌。どことなくへらへらしていた麻生氏の表情も、引きつり始めている。一方、春闘における連合の主張は、賃金の値上げである。全てがバランバラン。この状況では、肝心の農業改革も、食糧自給も、どこかへ押しやられそうで、心配になる。やはり、落ちる所まで落ちなければ、転げ始めた石は止められないと言う事か。

輸出によって、日本人は分不相応な暮らしを、させてもらった。これではいけなかったのだ。輸出中心の経済は、屋上屋を重ねるような、危うさの上に成立している。それは、経済先進国の中でも極端なゆがみである。こうした危うい均衡の上に成立している経済は、何時バランスを崩すか、時間の問題だったのだ。アジアの経済は、全体に輸出依存である。特にアメリカへの輸出である。アメリカの消費が落ち込めば全てが連鎖的に、崩れ始める。アメリカの大量消費の暮らしは、必ず崩壊する。つまり、戦争の継続まで含めての大量消費である。暮らしの必要不可欠なものでの消費の姿ではない。その消費を支える形で、日本を含めたアジアの経済は成長してきた。これが健全な姿のわけがない。近い内に総崩れすることは目に見えていた。アジア諸国は外資の導入で、生産物は輸出。こうした経済モデルは日本型である。

経済成長、日本モデルの崩壊。日本独自の修正資本主義とも呼ばれた。平等分配がいつの間にか、資本の利潤追求を是とする、国民総投資家になってしまった。家を作るにも、それが投資として有利であるかが、大きな要素になった。金融社会がいつの間にか、暮らしを覆っていた。借金をしてマンションを買って、人に貸す。こうした事を有利に展開する為の、住宅ローン減税。労働者としての立場は、連合が主張するような、この状況においても、賃金の値上げである。つまり、労働を賃金として売り渡している。私の所のような小さな養鶏場でも、出来れば働いてもらいたい仕事がある。働いてもらえるなら、養鶏場も継続できる。障害のある友人に働いてもらってきた。さらに働いてもらおうにも、最低賃金が壁になり、継続ができない。その話を県の労働組合の人に話したことがあった。障害者雇用の補助金云々と、建前論だけで、現実は少しも見えていなかった。

人間が幸せに生きてゆく。どんな経済状況であろうとも、このことが最も大切である。生きる目標を持てることだ。それは大企業に勤めたとしても、その企業の目的と、自らの生きる方向が重なるなら、幸せである。それを賃金の関係にしてしまうのは、つまらないことではないか。もし賃金の事で仕事を判断するなら、農業など、全く無駄である。政治の状況が最悪に陥っているのも、金銭と言う価値しか、信じていないことによる。中川氏の第一の落ち度は、財務大臣の能力がないのに引き受けたことである。風邪を引いているなら、イタリアまでの長旅など、無理である。まして、機内で飲酒したなど、責任感の欠如である。中川氏は顔さえ出せばいいくらいにしか認識していない。この記者会見を途中で止める者が周囲に居ないと言うことが一番怖い。白川日銀総裁は隣に座っていながら、平然としているのは何故か。秘書のものは、同行していないのか。危機管理が全くなっていない。

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