障害者施設の放火
神奈川県綾瀬市の知的障害者施設「ハイムひまわり」が全焼し3人が死亡した火災があった。当初から放火が疑われていたが、その建物所有者の女性が放火した事が分かり、逮捕された。この事件の背景には、知的障害者施設の置かれている状況の困難さが、見えてくることになった。私自身設立を努力してきた事もあった。今もそうしたNPO法人にかかわりを持っている。他人事には思えない重い問題がこの事件にはある。当初報道は、管理人の不在の事や、施設の消火設備の不備などを取り上げていた。運営する社会福祉法人「聖音会」(同県鎌倉市)の管理の問題点が大きく取り上げられた。人件費だけで5億6000万円規模という組織だ。その中に綾瀬ホームという、入所者90名の施設がある。その周辺にグループホームが3つある。そのひとつが今回火災があった施設である。大きな組織があり、その関連と言う事で、グループホームまでが、全体的に運営されるというのが、施設の民営化政策の結果生れている形だ。小田原にも幾つかこうした組織がある。
その建物の所有者の、志村容疑者は入所者の世話人を長く務めたほか、カンボジアの子どものために文具を寄付したり、学校を建てたりするボランティア活動を十五年以上も続け、地元で「篤志家」として知られていた。カンボジアに数カ月単位で滞在することも多く、「五月には活動報告の展示を自分で作るなど熱心に活動していた。純真でまっすぐな人」。別の団体のカンボジア人女性(53)も「優しくて現地の人に慕われていたのに」と驚きを隠さない。放火容疑を認め「施設の賃料や給料を減らされたことに不満があった。施設に火をつけてなくしてしまいたかった」想像するに、福祉に熱心なあまり、思い込みが強く、他人との協調性に欠けていたのかもしれない。実はボランティアに熱心な人によくいるタイプの気がするのだ。ハイムひまわりの始まりは、自分の家を提供して、自分も管理人になり、頑張りすぎたのではないだろうか。トラブルがあり、その施設を離れアパート暮らしになる。「賃料や給料が下げられ、入所者からも陰口を言われた。周りと折り合いが悪くなって居づらくなった。」という結果だ。
減額の理由は〇三年に施行された支援費制度。同制度施行により、それまで国や県などから施設の定員に応じて出されていた措置費が、利用障害者の区分などに応じた支援費収入に変わった。障害者ら利用者が事業者を選んで契約できるようになった。同会は「新制度で、収入減となる可能性もあり、支出を抑えることになった。経営予測をしなければならなくなった。家賃減額が、そうした流れの一つであったことは確かだ」と説明した。同制度は三年後の〇六年十月に障害者自立支援法に移行。同法施行後、事業所は県からの運営費補助金を毎年25%ずつ削減されることになり、同会では昨年度決算で前年度比で約千五百万円の減額になっているという。
熱心な善意の人が、放火までして全てを消し去ろう。という思いに捉われるなり、変貌する。人間誰しも紙一重だ。折角の善意が空回りするのは、ボランティアにかかわれば常に覚悟しなければならない。これが事業であれば、利益のためがあるから、気持ちのやりどころはハッキリしている。ボランティアの場合はこれが、はけ切れない鬱屈になる。本来ボランティアの精神は、見返りを求めない。奉仕の精神、こうしたものがまだまだ成熟していない。名誉慾が強かったり。実は金儲けの宣伝行為であったり。宗教の勧誘であったり。善意と言いながらも、中々一筋縄で行かない場合のほうが多い。それなら、事業と割り切ればいいのかというと、事業で出来る範囲というのは案外に狭い。しかし、現実の各施設では、影になったまま、静かに支えている多くの人に出会うことだ。