ミツバチの失踪

   

ミツバチ失踪が起きていると、報道されていた。アメリカではこの件で、下院で公聴会が開かれたそうだ。ミツバチの失踪と言うか、いなくなること自体は、そう珍しい事ではないようだ。それは状況状況で、多様な原因があり、突然群れが小さくなる。そう言う事は、起こりうることらしい。宮川さんもそうした、ミツバチを飼う難しさを、常々言われている。昆虫の世界の深遠は、そう簡単には解明できない。この件では、主に問題にされているのが、農作物への問題の波及だ。ミツバチが全農産物の3分の1の受粉を担っている。こうしたデーターは出所が良くわからないが、自然界の受粉の半分以上がミツバチによると、一説には70%と言う事も言われている。農業と言うより、自然界に何らかの影響があるかもしれない。

原因の究明で、出てくるのが必ず、病原菌。ウイルス。それもあるだろうが。病原菌の登場の奥が問題だ。この原因を推測する際に、居なくなる原因は1つでないこと。例えば、椎葉村でもミツバチがいなくなった。だから、農薬は関係がない。というような説がすぐ出てくるが、問題は多様で、もう少し絞って考えなければならない。イギリスでもスイスでも、ミツバチの失踪が、いつもより目立っているらしい。アメリカのように25%のミツバチがいなくなるというような、集中的なことでは当然ない。養蜂は古代より行われてきた、それは古い自然に順応した技術だ。ところが、アメリカではそれを競争原理を導入し、いわば近代化してきた。大きく言えばその限界が見えたと考えたほうがいい。いわば、人間の将来も表わしている。

ミツバチの失踪の背景にある経済的要因。養蜂業は中国での生産で、採算性が悪くなっている。その為に、常識では考えられないような、例えば、2万箱の飼育。こう言う事が出てきている。55箱の宮川さんから類推すると、全く違う飼育法になっているだろう。ここにミツバチは生き物として、新しい状況に遭遇した事になる。さらに、蜜を集める能力が高い、ミツバチの群の選抜も極端に進んでいる。優秀な群れは改良種として、高値で売られている。純粋化したものの奥に潜む危険。経営が出来なくなれば、後継者不足が起こり養蜂家の激減。急速な半減が言われている。日本と同様だ。極めて高度な技術と、細心の心遣いが必要な、養蜂だ。その熟練者が激減すると言う事は、飼育の環境変化も見落とす事になる。違う角度だが、誰も触れていないが。キラービーがアメリカに広がっているというが、この影響はないのだろうか。

自然環境の変化の方向。大規模化が、自然の単一化を生み出している。例えば遺伝子組み換え作物の蔓延。昆虫が食べれない作物の登場。この辺の自然界の混乱も、要因として考え得る。大規模畜産が、様々な新しい病気を生み出す異変。こうした、予兆のようなものが、ミツバチの失踪には見えないだろうか。ドイツで原因を携帯電話等の電波ではないか。と主張して笑われた学者が居るそうだ。しかし、そうした推測すら笑っていられない、深刻な環境変化の前触れかもしれない。昆虫は繊細な物だ。未解明の要素のほうが大きい。ミツバチを、炭鉱のカナリアと考えたほうがいい。鈍感な人間には感じられない、環境変化をミツバチは感じているのかもしれない。今後、大きな環境変化が来る前触れなのかもしれない。なまずと地震ではないが、何も無ければいいが。どうも不安になることだ。

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