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笹村 出-自給農業の記録-

台湾有事は起こらない。

   

 

台湾有事を自分の政治に利用する人たちがいる。起こらないことを明日にでも起こると主張する。世界の政治家の多く、また報道関係者は台湾有事は当分起きないと分析している。私もそれを信じている。アメリカのトランプでさえ、台湾軍事侵攻がすぐにもあるとは言わない。

日本の総理大臣が、繰り返し台湾有事を口にしている。台湾有事を日本人の軍事力強化に対する批判を抑える、根拠ににしようとしているのだ。この経済の低迷の中での軍事費の急増は可能なのだろうか。中国は台湾を軍事力で併合するような危険な国と決めつけている。

日本のの安全保障には、軍事力の強化しかないと、こじつけている。これはトランプの要請に従っているだけのことだ。報道も恐怖を煽ることに加担をしている。多くの日本人が台湾軍事侵攻を信じてしまっている。「石垣島は最初に攻撃されるのでしょ、よく平気で暮らしていますね。」などと言われる。

確かに本当に台湾を中国が併合しようと考えるのであれば、日本の危険は差し迫っていると考えざる得ない。南海トラフ地震とどちらが先なのだろうか。お米が足りなくなるのとどちらが先なのだろうか。石垣島や宮古島は与那国島の軍事基地は一斉攻撃が行われるだろう。

しかし、台湾有事は本当にあるのだろうか。まずそのことを考えなければならない。叫び続ける政府による洗脳が進んでいる。中国は尖閣諸島に上陸する。日本は中国に軍事侵攻を受ける。日本の安全保障の重要な案件は、仮想敵国中国だと決めつけている。

中国による台湾軍事侵攻はないと断言できる。その理由はいくつもあるが、中国には台湾と戦争をしている余裕はない。国の経済を少しでもよくするために必死である。中国は実際の攻撃など行わないで、台湾が自ら中国への編入を臨む国になるように、工作をしている。

台湾の人々は極めて有能な人たちだ。中国が強攻策に出ないように間合いを計っている。戦争が偶発的に起きないように、十分に準備をしている。中国が台湾侵攻をしない理由を書いておきたい。その前提にあるのは、中国人はいかにも商人であって、軍人ではないと言うことがある。

アメリカのバイデン政権が誕生したときに、中国を「国際秩序に挑戦する唯一の競争相手」と位置づけ、日米首脳会談の共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明示し、日本を巻き込んで、台湾問題を米中対立の前面に据える姿勢を鮮明にした。日本が中国を仮想敵国と言い出した原因である。

あのときに6年以内に中国の台湾軍事侵攻が起こると予測をした。日本ではそれに便乗して、一年以内にあると言うような、オオカミ議員が続出した。しかし、実際には6年経過しても、軍事侵攻は起ころうともしていない。むしろトランプは軍事侵攻をけしかけるごとき、経済戦争を仕掛けている。

習近平氏の3期目が終わる時2027年に、軍事侵攻があるとしたのは、日本経済新聞である。軍事侵攻をして、台湾を併合して、4期目の独裁政権になるという予測をしている。全く習近平氏を読めていない。4期目を行うためには、中国の経済成長と、共同富裕と、汚職撲滅である。これが出来ればさらに習近平独裁は続く。

今の所中国はこのまま行けば、アメリカとの経済戦争に勝利しそうである。むしろアメリカの覇権が終わる時は遠くない気がする。そうなれば中国経済は何もしないでも、世界一に近づく。その一番の理由は、まだまだ安い労働力が余るほど存在すること。そして、膨大な消費者が存在すること。国家資本主義が競争に有利なこと。

習近平は経済が安泰なら4期目に入るだろう。中国経済は崩壊間際であるという言説も日本では盛んだ。全くそんなことはない。日本よりもはるかに高い経済成長を続けている。日本の30年間の失敗から十分学んでいる。

なんと言っても国家資本主義である。世界市場での競争力では有利なのだ。国家戦略として輸出産業を支えている。中国の労働人口は日本の10倍以上だ。国土面積は25倍ある。アメリカと比べてもはるかに巨大な国なのだ。結局大き句豊かな国土があれば、競争に有利である。

では軍事的な圧力が高まっていないかと言えば、確かに台湾に対する圧力は高くなっている。軍人の中に、好戦派がいるのは、日本も中国も同じである。もし台湾侵攻が起こるとすれば、軍人の暴発である。習近平は相次いで軍人を失脚させた。軍を完全に自分の手に収めようとしていると見られる。

中国は受動的に動いている。アメリカに対しても、ロシアに対しても、インドに対しても、対応策は準備しているが、中国自ら他国に対して攻撃的な行為は行っていない。フィリピンとの国境の島を一方的に占拠して、軍事基地の拡大と言うことはしている。これが開かれたインド太平洋を守るという、日本の主張とぶつかるところだ。

これを国際秩序を乱すという意味ではその通りであるが、あくまで中国の国防意識と考えた方が良い。外国を攻めて行く足がかりとか、覇権主義と見ることは出来ない。アベ氏がこれを強く主張したのは、アメリカの中国戦略の捨て駒にされたために言わされたのである。対ロシアのウクライナに日本や韓国は位置づけられる。

習近平は2019年台湾政策「習5点」を発表した。平和統一を実現する宣言書であり、統一を「中華民族の偉大な復興」とし、2049年(建国100年)以前に統一を実現する必要があるとした。台湾独立による分裂と外部の干渉勢力に向け「武力使用の放棄はしない」とした。放棄しないとしたのは台湾への圧力である。

アメリカとの関係で考えれば、中国はこれ以上アメリカと対立したくない。アメリカの方が未だに、軍事力では圧倒的だからである。アメリカが台湾を擁護している間は、アメリカにその力がある間は、中国が台湾侵攻をすることは考えられない。中国はロシアほど愚かではない。

たとえ台湾の武力的に併合が出来たとしても、台湾の民主主義が成熟していて、到底香港のようには収まるとは思えない。台湾の反政府勢力との内戦状態が続くことになると考えられる。そうであれば、経済成長を取り込めるどころか、経済成長を止める要因になる。

台湾が平和的な関係の中で、中国の経済成長に期する方を今の中国は望むはずだ。それは日本や韓国がアメリカとの軍事同盟国でありながらも、中国が産業政策としては、中国への誘致を促していることでも分かる。習近平政権が現状目指していることは、中国の経済的安定と、共同富裕である。

むしろ、尖閣諸島における、偶発的な軍事接触が起こる可能性はある。中国軍内部の不満分子が、例えば汚職撲滅で処分されそうになった分子が、暴発的行為に出る可能性である。習近平政権を揺さぶるためである。これは常に想定しなければならない。

この危険を避けるためには日本政府がやるべきことは、尖閣諸島を平和交渉の机に載せることである。国際裁判所で話し合いで解決することを、平和国家として提案することである。それは日本国憲法に示された、国際問題に対する解決方法である。

日本政府の高市氏や石垣島の中山市長のような、右翼的勢力が軍事対立を強める材料にすることを防がなければならない。台湾有事を強調する高市政権の狙いは、まず自衛隊の装備強化である。巨額の費用がかかる。国民の説得のために利用したいのだ。

同時に不評な有事の国内態勢の準備を具体化したいからだ。全く無意味な九州への脱出訓練など納得できる住民はいない。この避難訓練は石垣島の軍事の防人の島化の前提である。それが、自衛隊の南西シフトなのだが、住民としてはとんでもない話である。米軍が南西諸島に建設中の基地や港や、飛行場を米軍の自由な利用したいと主張しているからだ。

当然のことだが、国の安全保障は両国の平和外交が基本である。もし中国が仮想敵国であるとするならば、どうやって話し合いをするかが日本外交の基本姿勢であるはずだ。ところがあえて、平和外交を拒絶し、北京まで届くミサイル基地を石垣島に設置するなど、戦争を誘発しようとしている、アメリカの軍事的野望の反映としか思えない。

当事者である台湾の人々の世論では、台湾侵攻はないと考えている人の方が多い。むしろ日本の方が、台湾侵攻があると見ている人が多い。これは明らかに、日本政府の誘導が効果を上げていると言うことだ。現実を見て政府に欺されないようにしなければならない。

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