株価と土地価格の上昇
以前は株価の変動にかなり興味があった。世の中の動きを反映していると思えたからだ。もちろん株の購入などしたことは無い。株価から、これからの社会の変化を読もうとしていた。最近の日本の株価の高騰について、全く理解できない。株価の動きが理解できなくなった。本来株価というものは、企業業績に従って動いているはずだ。
ところが思惑という理解できない要因で株価が動いているようだ。それが海外からの思惑外と言うことになると、私には皆目分からない。しかし、多くの人がお金の奴隷になり、拝金主義が一般化してきたように見える。不労所得を不道徳な倫理に劣るものと考える見識は、資本主義末期社会には失われた。
企業の業績が良いために株価は上がるのが普通だ。ところがそういうことではなく日本の株価が最高値を更新した。トランプに15%の関税がかけられた。日本の企業は苦しくなるのでは無いか。そのように考えるのが普通では無いか。何故株価が上昇するのか理解しがたい。15%円安になればちゃらと言うことなのか。
円安についてもよく分からない。対ユーロでは過去最安値を更新したと言うことだ。まあそれは当然かもしれない。日本の30年の停滞は悲しい現実である。完全に取り残された感がある。40年以上ヨーロッパに行ったことがないので、生活の感じは分からないが、ロシア経済制裁やイスラエルのガザ攻撃など悪い材料は沢山あるのに。
この先の日本の経済の様子では暮らしはさらに厳しくなるとしなければならない。自民党の総裁選挙挙では、各候補者が減税やら経済対策、所得の向上を説明している。説明は得意なようだが、実行力はなさそうだ。しかし、実態経済が良くならない限り、有効な手立てがあるわけが無い。経済をどうやって停滞から抜け出るのか、新産業の構築を論戦して貰いたい。
日本の食料をどうするのかを、農協をどうするのか。農家をどうするのかを、議論して貰いたい。議員には結局何も考える頭も無いらしい。実際の政策は官僚が考えたものを、読み上げる役なのだろう。地方票も欲しいから、何も言えないという人が総理大臣になる。
投資というものが、行き場の無いお金の吹きだまりになっている。政府がそれを奨励しているからなのだろうか。政府としては企業にお金を集める位いしか、経済政策が無いというように見える。タンス貯金より、有効と言うことか。ところが内閣府の経済対策というものには、経済は好循環に入ったと嘘が書いてある。
この嘘が要するに自民党の経済対策ということなのだろう。誰も30年の停滞などなかったと見ているのだろう。アベノミクスは成功していると言い続けていた。政府では経済を分析し反省することがない。日本にはもう一度番張る活力が無いのかもしれない。
企業業績とは別に株価が変動する。何であっても合図に合わせて、株を購入しようと待ち構えているような人が沢山居るのだろうか。理由無き株価の暴騰。もうよく分からないから、株価に関してはあまり考えないようにしている。それでも、ついつい、何故株価が最高値を記録したのかなどかんがえている。情けなくなる。
やはり土地価格の方も、不思議な値上がりをしている。土地の有効利用は無いはずなのに、値上がりする。海外から、主に中国かららしいが、土地購入が大きいらしい。中国の土地投資の悪い流れが、日本にまで押し寄せているようで気味が悪い。それでも中国の方がまだ不動産価格は割高らしい。この中国人の投資熱が不気味だ。
外国人の不動産投資を禁ずるべきだという議論も日本では出てきた。なんとも国民全体の気持ちが弱まっている。このあたりに、停滞の原因がある。悪いのは外国人だと思いたいのだろう。外国人が不動産投資してくれていることは、日本の経済には有り難いことなのだ。
WTOの加盟国では「内外無差別の原則」が求められている。外国人であっても不動産所有や不動産取引は認められるべきだとされている。一方で安全保障と住宅政策による例外規定も認められていて、国防上問題な場所例えば、尖閣諸島の所有は外国人には出来ないのだろう。
日本で不動産を購入する外国人にとっては、自国の不動産よりは値上がりが期待できるのだろう。中国のように値下がりをしている国もある。また、一応日本は自由主義経済で、外国人にも同等の権限が保障されている。理由無く権利を剥奪されるようなリスクは少ない。
日本は土地購入に関しては、購入の条件も、税制上も、外国人も日本人も変わらない扱いである。香港、上海や台北よりも日本の不動産はまだ安い。そして、円安状況が進んでいる。外国人にしてみると、日本の不動産の買い時と言うことになる。まあ日本の実態を知らないと言うこともある。
中国の不動産価格は、30年前でも日本と変わらない高価格だった。他のものの物価は日本の10分の一くらいなのに不思議だった。上海工藝社のかなり良い筆が、100円ぐらいだったのだ。篆刻など素晴らしい石に、1000円ぐらいで、希望した文字を彫って貰うことが出来た。不動産売買は土地制度が違うために、理解が難しいところがある。
中国の不動産価格は低迷が続いていると言うが、日本よりも未だに高いような不動産価格は実需とは言えない。日本でも都市部では不動産価格が上昇し、所得が下がる中で、生活の実態とはかけ離れたものになっている。株価と同じで、投資的価値で価格が動いている。
実際に暮らしが可能な価格まで、中国の不動産価格は下がるだろう。そもそも、中国では賃貸という考えが無い。賃貸価格は日本より安い。沢山のマンションを保有して、値がりを待っていてそれを貸そうという人が少ないのだ。この点では日本の不動産投資が、賃貸で利益を出す計画なのとはかなり異なる。
中国人が日本で不動産を購入した場合、有効利用しながら、投資としても成功させようと考えて居るようだ。これは日本人と変わらない。ところが中国では空き家になってしまう。あるいは建設途中でマンションが放置されてしまう。これは民間のマンションだけでは無い。
公共事業でも途中で中断されてしまう計画はかなりある。日本だと、リニア新幹線のように途中で止めた方が、まだマシな計画でも、止めることは絶対に無い。止めれば、責任を採らなければならない人がでる。日本の公共事業は引くに引けないものになりがちである。
中国人は進めばさらにそんがかさむと考えれば、ストップをかけられる仕組みがあるようだ。このあたりが、独裁的資本主義の違うところかもしれない。中国人に日本の不動産を買わすべきで無いという空気が生まれている。ここまで日本人が弱まった証拠である。
大いに買って貰った方が良い。中国人が購入しリノベーションして、賃貸する物件が多くあるらしい。問題点だけを主張する政治組織があるが、中国人が購入してくれているおかげで、ある程度の景気浮揚効果が起きている。中国のお金が日本の投資されることは、実に有り難いことなのだ。
これは日本人と中国人が仲良くなれる一つの平和外交の手段になるのかもしれない。もし私が中国に不動産を所有していれば、中国と仲違いする政府は困る。互いの垣根を取り払うためにも、株の所有も、不動産の所有も、自由で無ければならないのは当然のことだ。
ただ日本が格差社会になり、普通の生活者からみれば、一億円のマンションなど夢のまた夢になっている。ところが世界標準では一億円マンションは当たり前のものになっている。これが30年の停滞の結果起きていることなのだ。それが株価の暴騰や不動産価格の上昇になっていると言うことなのだろう。