農地をビオトープにするのは違法行為か。

   



 石垣市では行政自身が名蔵の田んぼ地域の中で、ビオトープを始めた。それを環境政策のために行っていると、先日講演会を行い紹介した。環境省の出張事務所も主催者の一人であった。県の農業センターも参加していた。3行政がそろって石垣市の良い活動であるという紹介であった。

 農地の転用を行ったというこのなのであろう。あるいは行政が無許可でこういう違法行為を行っているのであろうか。確かに耕作放棄地にしておくよりはよいということは理解できる。しかし、盛んに営農がされている田んぼ地域で行っている事業である。

 以前借りたいと農政課に申し入れた地域の田んぼの場所である。何故私には貸してくれなかったのだろうか。国、県、市の3つの行政が農地法を軽視する悪い前例にならないだろうか。農業をやる人がいる農地で、ビオトープをやるのは良いことではない。

 今度はカンムリワシの里と森を守る会という環境保護組織が、「淡水湿地ビオトープで進めるネイチャーポジティブ」という活動を行うらしい。WWFジャパンの小田切さんという方が講演されるようだ。この活動が、農業地域の水田をビオトープ化する活動でなければ良いと思うのだが。

 農地はどこまでも生産の場でなければならない。少なくとも法律にはそのように決められている。石垣島の田んぼはそこまで耕作する人がいないという状況なのだろうか。そうでないとすれば、ビオトープを作ることが目的であるならば、転用の申請を拒否しなければならない。

 この農地法の目的を、環境活動が逸脱することは、良いこととは言えない。耕作放棄地であるとしても、まず農業理容が優先である。農地法を守る前庭でなければ、間違った方角の環境保護活動になりかねない。環境活動の意味と農地の関係を整理する必要があるだろう。

 石垣島で自給のための田んぼを作り、広げて行く活動をしている。「のぼたんん農園の活動である。耕作放棄地だった放牧地跡地を水田に戻した。ここには湧水があり、多分先史時代から人が暮らしていた場所なのだ。赤崎貝塚につながる湧水の場所なのだ。

 石垣島では3万年も前の人骨が発掘されている。その頃から崎枝赤崎「のぼたん農園」の湧水は利用されていた可能性がある。湧き水は人間が暮らすためにとても重要な場所だったはずだ。少なくとも何千年と人が暮らしてきた場所である。江戸時代にも集落はあって、崎枝半島に流れ着いた中国船を保護したとある。

 その後人がいなくなった時期もあり、戦後開拓の時代に宮古島から開拓移住が入植された。そのときにはこの湧き水の回りに人家が集まり暮らしていたという。この湧水を利用して田んぼが作られたのだ。だから、地籍図には水田と記載されている。

 田んぼを止めて、パイナップル畑やサトウキビ畑になり、そして、牧場になった。自然放牧がされていたのだが、その後放棄されることになった。そこを借りて始めたのが、のぼたん農園である。3,6ヘクタールあり、すべてが農地である。農業目的に使われなければならない。

 ビオトープをやりたいという希望はでたのだが、それはダメだと考えている。4つの溜め池はそれぞれに生産の目的が必要だ。1番、2番、3番では熱帯睡蓮と水オオバコとタイモである。熱帯睡蓮はどんどん増えてくれるので、苗販売が出来ればと考えている。

 水オオバコはなかなかおいしいので、調理して食べることが出来ればと考えている。タイモは水田でも作ってはいるが、1番溜め池で大きく育っているのでこれも食べることが出来る。7家族が暮らすために必要なものが、ここで生産されることでなければならない。

 最終的には10家族が暮らすことが可能な、自給農園を完成させたい。1200キロのお米が生産できる場所にしたい。1反4畝の田んぼでもひこばえ田んぼをやれば、可能だと考えている。それが最終的な目標である。湧水の量が増えれば、まだまだ多くの人が暮らせるはずだ。

 話をビオトープに戻すが、そもそもビオトープには問題点が多い。ビオトープは管理を農水省が紹介している。場所を設定して、自然にどう言う生き物が戻ってくるかである。そして最終的に手入れも何もせずに、自然が飽和状態になり完成するという考えないかと思う。

 最近はどうもそういう原理主義的ビオトープだけではないらしいが、環境保護活動には原理主義者がかなりの割合でいるから、手を入れては行けないという意見が必ず出てくる。小田原の舟原でそれで大問題になったのだ。環境原理主義者は作業をしないのだから、ビオトープが一番楽な活動だと思っている。

 草刈りすらしてはだめだというのだから、ただ荒れた場所になって行き始末が出来なくなる。そこで、管理してカキツバタを植えて美しい溜め池にしたいという主張をしたら、地球博物館の人を連れてきて、それは環境破壊だから止めるべきだと言うことになった。

 石垣島でもそういうおかしなことが起きなければ良いかと思っている。ビオトープをやれば、侵略的外来生物
の溜まり場
になる。すでになっている。むしろビオトープがおかしな生き物を増やす場所になりかねない。石垣ではオオヒキガエルが増加して行く。のぼたん農園の田んぼもオオヒキガエルが沢山いる。

 しかし、オオヒキガエルはカンムリワシには良い餌である。カンムリワシを守るためにはどちらをとるのかである。カンムリワシの餌を増殖する水面は必要である。生物多様性も必要である。生物多様性が維持された田んぼを作ることが一番ではないだろうか。

 農地であれば、行政がそうした、生物多様性を推進する有機農法の田んぼをやれば良いのだ。行政がやれないというのであれば、私に任せてくれればボランティアでやらして貰う。お米は学校給食で使って貰えば良いではないか。何故、中途半端なビオトープなどやろうとしているのかが問題だ。

 それにしても田んぼ地帯のど真ん中で行うのは違うだろう。環境の多様性を維持するために、田んぼに戻すべき場所は石垣島には沢山ある。その一番が多良間田んぼの跡地だろう。やらしてくれるならば、すぐにでも復田し管理をする。継続して行く仲間もすでにいる。

 ビオトープが悪いわけではない。田んぼが出来るところであれば有機農法の田んぼをやるべきなのだ。行政が法の抜け道を推奨していると言うことになりかねないではないか。水田は水田として守れば良いのだ。そうでなければならないと農地法が決めている。法律を行政が破るのはまずいだろう。

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