米中経済戦争は中国の勝利

「主要企業の経営者20人に2025年の株式市場の見通しを聞いたところ、9割が日経平均株価の終値ベースの史上最高値である4万2224円を超えると回答した。」と言う日経の記事があった。驚いて、株価は必ず近いうちに暴落すると言う予測を私は正月に書いた。
あれから4ヶ月たって、予想通りの暴落した。乱高下しながら、最終的には3万円付近まで値下がりする。主要企業の経営者よりも私の経済予測の方が、まともだと言うことにならないか。希望的観測が入らないので、まだ客観的に世界の展望が出来る。海外の投資家が円安の日本を買うだろう。円は今よりは高くなる。と言うかドルが下がる。長期的には株価は下がる。
トランプ氏が世界経済を破壊すると言うこと以上に、アメリカ経済がが中国に敗れることを、トランプが受け入れられずにもがき続けると言うことになる。アメリカは限界に達したのだ。その限界は資本主義の限界である。資本主義が能力主義になり、一部の富裕層に富が偏在した。
中国経済を悪くなるという人が日本には未だに多い。これも希望的な観測なのだろう。米国のお先棒担ぎである。中国には有能な若者が沢山いる。東大の留学生の60%が中国人だ。しかもよく我慢して働く教育のある労働者が沢山いる。国土も米国よりも広い。国民の数は5倍もいる。最終的には中国経済が勝るのは目に見えている。
アメリカの大半の労働者はこの50年間、収入が変わらないという。それを外国の卑怯な経済の為だ、中国のためだとしているのが、トランプのすり替え論理だ。米国は今が最高到達点なのだ。これから停滞が始まる。階級化した社会では活力が失われる。
アメリカの経済成長は、富裕層に富が集まってしまった構造なのだ。確かに能力のある特定のものが、新しい産業を生み、世界経済を自由主義経済で牽引した。その結果世界の富も集積された。しかし、大半の国民は下層に選別された。それが競争社会と能力主義の衰え行く先だったのだ。
一方中国も国家資本主義で富裕層は誕生したが、農村部の人たちは未だに貧しいとは言え、着実に収入を増やしている。これがある間は中国は成長する。地方政府の土地売買は限界に達した。不動産投資での利益は出なくなったが、この10年中国の技術力は世界水準を超え始めている。
トランプ関税の本質は貿易不均衡が変わらないのであれば、関税を取りそれを所得税を下げる原資にしようという発想である。要するにトランプのような一部の富裕層の税率を下げたいという、自己利益だけがトランプやテスラの社長の本音なのだ。テスラは関税戦争の被害者になり、トランプから離れた。
トランプ石破電話交渉の後、トランプ氏は「日本は貿易においてアメリカを大変ひどく扱ってきた。彼らはアメリカの車を1台も買わないのに、私たちは数百万台の日本の車を買う。農業についても、多くのほかの『もの』についてもそうだ。 」このようにSNSに書いた。
あまりに米国の大統領とその周囲の人が頭が悪い。到底中国の優秀な首脳部に勝てないだろう。日本も早く米国から距離をとらなければならない。何しろ、日本が米国との関税交渉の先頭に並ばされているそうだ。甘く見られているのだ。日本に譲らせて、世界の見本にしようというのだ。
日本の弱みは米国の核支配に組み入れられていることだ。軍事支配によって、日本が米国から離れられないとトランプは見ている。関税戦争を世界に仕掛けるという大失態に乗じて、日本は米国から離れることを世界に示すべきだ。世界中が日本の態度を評価してくれるはずだ。
トランプの欲得の発想では、どうせ売れないなら関税で儲ければ良いと言うことになる。アメリカの貿易赤字を利用してやろうと思い込んでいる。貿易赤字分に関税をかければ、貿易赤字で大儲けできると発想を逆転させたのだ。だからトランプ関税は始末が悪い。
もし関税をかけても日本車が売れれば、アメリカの富裕層が所得減税で儲かるという構図である。貿易赤字というものは、国力を高める側面がある。赤字と言うことは輸出よりも、輸入するものやサービスが大きいと言うことになる。しかし、この関税のために米国は衰退を始めることになる。
中国も過剰生産で当分苦しいことになる。しかし、中国は米国が関税戦争を仕掛けることを十分予測していた。米国と貿易しないでも成り立つ経済体制を作ろうとしている。米国が世界に関税戦争を仕掛けたことは、中国に幸いした。中国はさあ-来たぞと、関税戦争に参戦した。
中国に近づく国が増えるだろう。中国との貿易額が増えるはずだ。反米国の経済圏が出来る可能性が出てきた。当然グローバルサウスと呼ばれる国々は中国に接近するだろう。中国の覇権主義の方が、国際法を無視する米国の一国主義よりましに見えてきたはずだ。
中国製品が米国に売れない分世界に出回ることになるだろう。不動産でもそうであったが、中国人は限界無く競争をする。米国貿易がダメになれば、生産を辞めるのではなく、他の国に併せて作り替えて、売ろうと考えるに違いない。安い製品が世界に出回り、日本の消費者も恩恵を受けるだろう。
中国人には高度成長期の人間の勢いがあるから、次の打開策に向かい耐えて形を変えて行くはずだ。貧困にも耐えられる無限とも言える人財がいる。中華思想だけではダメだと、気づいている人が沢山いるのだろう。自由主義経済の方が商売人の中国人らしいだろう。
中国は反米国経済圏を模索することになる。先日聞いて驚いたのは、東大の大学院生の30%が中国人だという話だ。それは素晴らしいことだと思う。優秀な中国人が日本の力になってくれる時代が来る。御雇外国人ではないが、コンピュータ-革命で日本の遅れている分野で力になってくれそうだ。
製造業が得意な国は、それに特化してモノづくりで増やした生産物を輸出すればよい。特化することで高まった生産力が、生産しない農産物などを購入する原資になる。結局の所、トランプ大統領が問題視する貿易赤字は、ドル高の結果として起こっている。しかし、米国債が売られドル安が進んでいる。
今までのドル高は国内の生産性の高さによって、投資資金などが流入してくるためだと解釈される。米国は貿易赤字だから経済が悪いと考えるのはおかしい。アメリカが有望だから、資金が集まりドル高になるから、ドルで買えば海外の製品が安く買える。その結果の貿易赤字である。
株価は最終的にはその国の企業の力を現わしている。最近の日本の株高は、円安のために起きていた。海外から見たら、日本株は安く見えるのだ。トヨタの企業価値を円で換算すると安く見える。そこで海外の投資家が日本株を買っていた。円高になればそうも言えない。
円安と考えれば、日本株は上がりすぎなのだ。もう一つの株価の上昇要因は、日本政府が日本株を購入している。政府が買い支えるだろうと言うことで、日本株は比較的安全に見えたのだろう。そこへ海外の投資家が買うので、ついつい日本人の賭博心が、株式投資に向かったのだ。
日本は米国から独立するときがついに来た。勇気を出して中国に接近すべきだ。中国にも確かに変わって貰わなければならないところはあるが、世界中が中国頼になれば、中国も穏やかになる可能性が高い。反スパイ方は大国には似合わないだろう。