蓮池を作る

   



 蓮(学名: Nelumbo nucifera )はそもそも熱帯インドのもので、亜熱帯の石垣島ならば、小田原よりも元気に育つはずだ。熱帯睡蓮を溜め池で育てていて、とても状態が良い。溜め池の回りにはヒカゲヘゴを植えたので、いよいよ素晴らしい場所になりそうで、楽しみが増した。

 蓮の花も素晴らしいものなので、花蓮も作ってみたいとは思っていた。レンコンは昔作ったことがあるが、掘るのが大変なので、それよりも実をとる蓮ではないかと思えた。台湾の友人で阿聰自然田の黄さんという方がいる。この方は台湾の有機農業農家で2番目に大きい農場をやられている。

 黄さんは蓮の実の栽培をされている。深田で条件が悪い田んぼをレンコン畑にされたと言われていた。台湾では蓮の実を食べる習慣があり、コンビニでも売られているぐらいだ。蓮の実栽培は手がかからないでレンコンより良いと言われていた。いつかのぼたん農園でも作ってみたいとは思っていた。

 今回4番溜め池の整備をした。ここを蓮池にしたらと考えてみた。睡蓮や田んぼよりも蓮に向いているのだ。4番溜め池は溜め池としては最後のもので、水を一滴でも無駄にしないために作ったものだ。溜め池を深く掘り1m近く耕土を入れて代掻きをして、畦塗りをした。漏らないでそのまま5番田んぼに水が流れている。

 考えたらすぐに苗がほしくなり、注文してしまった。大分の「宮川花園」である。以前熱帯睡蓮のことを詳しく教えていただいた。とても親切な方なので、蓮のことも頼めるかと思い、すぐに電話させて貰った。4月が最後の出荷シーズンと言うことで、今ならまだ大型種でも残っているものがあるので、間に合うと言われて注文をした。

 2600円の株を3種類注文した。7500円以上だと送料が無料になるというので、こういうことになった。「 酔妃蓮」「 アルバ・グランディフローラ」「 蜀紅蓮」どれが良いのかわからないまま、赤、白、ピンクとお願いした。考えただけでもうれしくなってしまう。

 睡蓮もそうなのだが、蓮の花も、花として販売できるのではないかと思っている。自分が見て楽しみたいというのももちろんあるのだが、のぼたん農園は自給農農園である。農地を使わせて貰っている。趣味の遊びのようなことはしない。私がいなくなって、将来それが農園の収益になればと考えている。

 蓮池の花や実が生産につながるものでなければならない。4番溜め池は計画としては、最初は田んぼの溜め池にしようと考えて作った。4番溜め池は水が溜まらない溜め池だった。溜め池の底が抜けているのだ。3番溜め池もそういう傾向があり、本当は3番溜め池の底を代掻きをしたいと考えていたのだが、それはダメだというので、4番で水を食い止める作戦に変えた。

 3番田んぼの底が抜けていても4番に入ってくると考えられるので、4番をしっかりした底の抜けない溜め池にすれば、水源からの湧水を下に流してしまうことなく、田んぼに入れられると考えた。少ない水を有効に使うためだ。これは構想で、そううまく行くかどうかはこれからのことだ。

 そして、本当の不耕起田んぼをやってみようかと考えた。5番田んぼでは不耕起田んぼをやっているのだが、底が抜けている砂利層のままの田んぼだ。水が溜まりにくい。一度代掻きを深く行い、その後不耕起にすべきだと考えているのだが、やられている人がどうしても耕すのは嫌だというので、水を多く入れるほかなくなっている。

 そこで、4番溜め池で底の抜けない田んぼでの不耕起をやってみようかと考えた。そこで試しに4番溜め池の新しい田んぼの両方の田んぼで、不耕起田んぼを試みてくれないかとお願いした。所が何と4番溜め池をビオトープにしたいと言うことだった。

 ビオトープはダメだ。ビオトープをやれば、特定外来生物の溜まり場になる。その上にここは農地である。農地は生産の場である。生産性のないビオトープは農地法に違反すると考えている。そもそも石垣市は農地法違反のビオトープを行政としてやっている。これをおかしいと主張してきた。

 行政の田んぼでやるビオトープを批判してきたものが、自分でもビオトープをやるなどとんでもないことだ。有機農法の田んぼを行い、それが生物多様性を作り出す。ここが重要なことだと思う。行政自らが農業を諦めてしまう姿勢を見せるのであれば、悪い前例を作ることになる。

 のぼたん農園では農地を生産の場として利用する。例えば、水源の森作りは生産のための森だと考えている。上部の農地を工場に行政が周辺を無視して、転用をしてしまった。工場の排水計画すらない。排水路すらない。垂れ流しである。井戸も掘ったらしい。

 そのために水の湧く量が減少したのだ。それを補うために森作りをすることにした。行政に工場用地に農地を転用するのであれば、本来工場の水にカンする計画、排水の種類など把握しなければ、周囲の農地に特に下にあるのの内に問題があるだろうと主張したが、「そんなこと法律にない」という見解だった。

 法律にはある。今の法律にないということは行政の発言として記録して良いか。裁判で争うことにすると言うと、慌てて撤回した。私の部署ではそういう指導はしないのだと、たらい回しに環境課の方に回した。回された環境課の方では、農地課の問題だと責任を回避して、元に戻しただけで終わった。

 のぼたん農園の敷地内で水も循環させるほかないと考えた。それで水源の作りを始めたわけだ。森になれば、草地の5倍の保水力が出来ると書かれていた。2反ぐらいの面積である。ここが森になりどれだけ湧水量が増えるかはわからないが、やるだけのことはやりたい。

 溜め池を最大限に広げることも行っている。4つの溜め池は70㎡、60㎡、60㎡、30㎡になった。深さが平均1mであれば220㎡であるから、220立方㍍になる。最後にうまくいって、3番と4番の溜め池を合流させられれば、後10㎡増える。これで、7グループの1反4畝の田んぼの水をまかなうことになる。今年は雨が多いのでうまくいっている。
 
 水を購入することを考えれば、440回通う量である。この水が溜め池でまかなえるはずだと考えている。下に井戸はあるのだから、ポンプアップすればいいわけだが、それは電気を使う最終手段である。自給農場なのだから、できる限り自然な形で循環させたい。

 4番溜め池を作ることは、ユンボが北からで来たことである。福仲先生にお願いしようと考えていたのだが、福仲先生がサトウキビの刈り取りで忙しくて、来てもらえなかった。自分で挑戦してみようと、始めた。水がどうすれば漏れないか、できる限りの対策をした。

 水が漏れ出て驚いて、一晩悩んだこともあったが、何とか水漏れを防ぐことが出来た。結局は畦塗りであった。これは舟原溜め池でも可能なことだ。渇水期にため池にユンボで入り畦塗りをすることが出来れば水漏れは収まる。挑戦する価値はある。

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