移民と外国人研修生

   



 日本の大規模農業は外国人研修生の労働力が前提となっている。安い労賃ときつい肉体労働をいとわないでやって来てくれるからだどうしても依存する。肉体労働を日本人は嫌うほどに衰えた。石垣島にもそうしたろう外国人労働者が立派に働いてくれている。余り都会が合わないという各国の地方から日本に来る人の中には石垣島の環境は向いているらしい。

 石垣島の人は外国人達との交流に、日本の中では慣れている方だと思う。戦前は、台湾に働きに行くと言うことは普通のことだったという。又、沖縄から海外への移民も多かった。そして、日本に戻った人も多数おられる。そういう環境だから、日本の中では外国に慣れている方だろう。

 逆方向として台湾から石垣島に入植もしている。台湾の農地が日本の大規模農場に買収されて、新天地として石垣島が選ばれたのだそうだ。そうした歴史を踏まえて、石垣島は都会より給与は安いかもしれないが、労働環境としては悪くないのかもしれない。

 なんと言っても、外国で働くと言うことは差別が問題なのだ。私が聞く限り、どこで働いている海外からの労働者も、何らかの差別を受けたと話していた。我慢して働いているという様子だった。こう言うことはいつか日本と本国との関係を悪くすることだろうと思う。朝鮮人問題のように。

 畑で働いている外国人の人を見かけると、つい話しかけたくなる。そしてお礼を言ってしまう。暑い陽射しの中一生懸命働いている姿には打たれるものがある。そうした海外からの労働力無くして日本の農業は成り立たなくなっている。労働人口の減少が日本生産力を下げている一番の原因だと言われているとおりだ。

 日本は移民受け入れに関してどうあるべきか。正面から議論すべき時に来ているのでは無いだろうか。技能研修制度や、日本語学校等へ入学資格を得て、実際には日本で働くというようなまやかしの労働力の導入は間違っている。そうした不安定な労働条件が悪質な仲介業者の餌食となる外国人を生み出している。日本に来て、嫌な思いをして帰国する人が多いに違いない。

 日本軍従軍慰安婦問題も、根深く恨みを残した。様々な言い訳が言われるが、植民地差別が根底にあることは間違いが無い。又中国では日本の歴史認識問題が、反日感情の底にある。私が中国の鎮江市に自然養鶏指導に言ったときも、このことを私が率直に話し、謝罪したときから、中国の人達の気持ちが全く変わった。

 日本が本当に労働力を受け入れなければならないとしたら、日本に移民を入れた場合、どういうことが起こるかを具体的に検討すべきだ。今のような曖昧で、覚悟の無い受け入れ方をしていれば、必ず大きな禍根を将来の日本のもたらすことになるだろう。

 今、コロナパンディミックで外国人労働者が途絶えている。受け入れを再開する前に、この間の外国人労働者の状況を洗い直を行う必要がある。外国人労働者が特に不法に入国して働いていた人達が、大変な事態になっていると言う話もある。もちろん合法的に来た人達も、最初に解雇されたと言われている。

 日本人の賃金がどうなるのか。日本人の就職先は確保できるのか。賃金の低下は起きないのか。社会福祉制度は移民の人達とどのように整合性をとれるのか。家族の問題。教育の問題。そして差別問題はどういう状況になっているのか。日本社会に起こるだろう山ほどある問題を先ずは検討すべきだ。

 それこそ日本の移民受け入れの是非と問題点を学術会議に諮問したらどうだろうか。日本人移民が海外でどういう結果をもたらしているか。また、日本に来た外国人労働者がその後帰国してどういう生活をしているか。日本に残った人達はどういうことになったか。

 正直なところ、日本人には無理だと思える。今起きている朝鮮との関係を見れば、未熟な日本人がどんな差別問題を起こすか想像が付く。また、中国残留孤児の子供達が、日本で半グレ集団になったという話もある。日本が抱えている問題が、悪い形で表面化することになる側面が大きいのでは無いのか。

 女性差別でも一向に改善できない上に、日本の右翼層は杉田議員のような人達なのだ。移民問題にどんな対応をするかおおよそ想像が付く。そうした日本の未熟な保守主義者達は、一体移民をどう考えているのかも把握しなければならないだろう。日本にも移民をきっかけに極右集団が表われるかもしれない。

 日本人社会には過去に外国人を受け入れて失敗した、朝鮮人差別問題がある。百年経ってもその恨みと憎しみは消えることが無い。日本人は外国人との関わりに不慣れであったこともあり、現代では想像できないほど朝鮮人差別が深刻なものになった。

 江戸時代には朝鮮人は外国の使節団で丁重に扱われた。一定の距離を持って付き合っていれば、良い関係を持てたのだ。ところが労働者がたくさん入ってきた結果、極めて悪い関係になった。関東大震災の時の虐殺事件を考えて見ればよく分かることだ。

 移民も遠からずアジアからは来てくれないことになるだろう。そうなれば、アフリカからとか、中近東の人とかが対象になってくる。文化的にも距離がある。日本人がすんなりと受け入れられるとは思えない。もう少し時間をかけなければ無理では無いだろうか。

 アメリカでも人種差別は一向に解決されない。解決されないうちに、21世紀半ばにはアメリカでは白人が少数派になって行くらしい。南アフリカのような国になると言うことなのだろうか。民族というものや人種というものがどういうものであるのかは様々な観点はあるのだろうが、これからの日本人も外国人に差別的であるだろうと思う。まだ解決されていない問題がそこにある。

 それでも移民を受け入れなければ日本の経済がさらに衰退すると言うことなのだろう。経済のために移民を受け入れると言うことよりも、日本の経済を縮小安定化する方が良いのかもしれない。少々コロナが蔓延しても、経済を重視せざる得ないという、せめぎ合いが日本で今起きている。

 本当に経済というものは絶対のものなのだろうか。もしかしたら違う生き方もあるのかもしれない。日本がどこに向かうのかをみんなで話し合える国になって貰いたいものだが、もう国がどうするというよりも、経済が国を超えて動き始めている。

 政治も、国家も、企業に従わざる得ない時代に変わろうとしているのだろう。中国の国家資本主義も、企業に従う一党独裁の共産党に成るのかもしれない。そのことはとても気がかりなことなので、又書いてみたい。

 - Peace Cafe