文大統領の南北統一は本気らしい。

   


 文大統領の南北統一はどうも本気だったらしい。遅くとも2045年までに朝鮮半島の南北統一を成し遂げる構想を打ち出していた。残念なことだが、今ひとつ表現が微妙なところがあるので理解していなかった。

 今水面下で何かが進んでいるのかもしれない。それを期待したい。分断された国が統一されるというのは当然の願いである。そして統一した国家は日本やアメリカとは距離を置く国なのだろう。日本やアメリカと距離を置かなければ北朝鮮が了解しない。

 文大統領はかなり不思議な人だ。すごく有能というのか、全く無能というのか、評価が両極端だ。日本では良い評価は少ないが、南北統一の意思を持ち続けているという一点で評価したい。北朝鮮という異質な国との統一である。あらゆる事が起こるだろうが、頑張ってもらいたい。

 宇宙人と呼ばれた、鳩山由起夫氏とにているかもしれない。鳩山氏は米軍基地を海外移転、最低でも沖縄県外と明言した。しかし、実現はできなかった。まさか何の裏付けも無くあんなことを話したのかという点ではがっかりした。

 しかし、外交上公表しにくい何かできない壁にぶち当たり、跳ね返されたのでは無いだろうか。その言い訳はしないところはしっかりしていると、今では思っている。アベ氏のようにやろうともせず、沖縄の基地負担の軽減などとでたらめを口にするよりは、ましでは無いか。

 基地負担の軽減どころか、沖縄自衛隊基地の増強を進めている。自衛隊基地は米軍への負担肩代わりである。トランプの言う片務敵安保条約のつなぎ止めの方策に過ぎない。腹の中では沖縄を犠牲にすればいいと、舌を出しているのではないだろうか。多くの国民が知らない間に、琉球列島全体に自衛隊基地が作られている。NHKはこのことをどの程度報道したのだろうか。


 文大統領は気持に従って動く。南北統一をしたい。しなければならないというところに、政治家の目的がある。その目的のためにはあらゆる事を妥協しても、無理をしても、進めたいと言うことだろう。それはアベ氏の憲法改定の態度と似ている。

 文大統領の南北統一計画は、現在行き詰まりを見せている。客観的状況を考えれば、不可能かのように見える。不可能に見えたとしてもやり抜きたい気持が強くあるのだろう。分断された国としては当然の決意であろう。日本もこのあたりで、対話に入るときが来ている。しかし、アベ政権はだんまりを続けるだけだろう。

 文大統領は日本政府の経済制裁を待っていたのかもしれない。日本政府の呼びかけに対して、かたくなに返事もしない態度が不思議だった。反日感情が南北統一の動きを助けると考えている。日本に負けない、強い国になるためには南北統一が必要だという世論形成が目的なのだろう。

 問題は経済であろう。韓国は日本以上の拝金主義の国になっている。国家資本主義に近い国である。いくつかの企業に経済を集中させ、ある意味で国の運営を依存している。サムスンのような企業が南北統一をどう考えるかが鍵となってゆくのだろう。

 南北統一すれば、日本に勝てる経済大国になると発言したあたりに、統一の計画の背景が見える。韓国の大企業が、日本に勝てるならば、やってみるべきだと考えるかどうかである。国民が付いてくるかどうかは、何故日本に経済で勝てるのかの理由の説明が重要になる。

 確かに人口や面積としては、日本と似たような国になる。経済がよくなるという考え方は具体的に聞いてみたい。確かに、北朝鮮は資源の豊かな国らしい。日本が植民地化していた時代、北の工業南の農業と言われていたらしい。

 西ドイツの経済は統一されてどうなったか。長い眼で見れば、統一は経済にとって良かった。しかし、今もって東西の経済格差は大きい。統一は経済に置いては失敗だったという意見もある。東ドイツは東欧の中では経済の良い国だった。朝鮮も同じ事では無いかと思う。日本に勝てるとか言う発想は良くないと思うが、経済は分断国家よりも勝るに違いない。

 それでも、韓国国内には反発の方が強いはずだ。普通の人の暮らしは当面苦しくなることはやむ得ないだろう。それは西ドイツもそういう経過であった。経済が良くなるとしても、それは国家の方向の意思統一ができて、長い年月の努力の末のことである。

 韓国企業は案外統一を利用できると考えるのかもしれない。安い労働力の確保である。昨年から文大統領は国境地帯での経済特区的な呼びかけがなされていた。韓国には北朝鮮への制裁逃れに協力するような動きもある。これがアメリカの不信用につながっているらしい。

 しかし、韓国はこの状況下に米韓軍事演習を行った。しかも、トランプ大統領はやりたくは無い。無駄金だと口にしていながら、それでも強行した。韓国もアメリカも軍事強行派がいて、軍事演習はどうしても必要との圧力が強いのだろう。
 また文大統領の後継候補が、スキャンダルで問題化している。アメリカから離脱する政権には、アメリカは何でもする。どうもアメリカが気に入らない人を自滅させるために、情報が撒かれた可能性がある。日本でも中国に接近した田中角栄はそうして失脚させられた。

 北朝鮮は短距離ミサイルを繰り返し発射している。日本政府も、韓国政府も、トランプも反応が弱い。果たして、国連決議違反では無いのだろうか。自分の都合で態度を変えるのであれば、北朝鮮の軍事的意図の思うつぼでは無いだろうか。

 拉致問題は拉致問題で別にするほかない。アベ氏が拉致問題の件で無条件で金代表と会いたいというのは、まるで向こうのペースに乗せられるだけになる。結局調査のやり直しは行うなどという程度しか期待できないだろう。
 
 文大統領はアメリかとの同盟を離れて、中国の側の国になるつもりかもしれない。韓国は中国との経済的結びつきは強い。アメリカの一国主義を不安視しているのでは無いか。アメリカがアジアから手を引けば、日本も韓国も取り残されることになる。

 トランプに従おうというばかりのアベ政権よりも、この先の世界情勢を見通しているのかもしれない。いずれにしても、中国との関係である。アメリカがこれ以上中国と対立した場合、日本もアメリカに従うばかりとは行かなくなるだろう。


 

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