老後2000万円の当たり前
写真の花は夜来香(イエライシャン)
麻生氏は担当大臣として、金融庁の老後2000万円必要報告書を受け取らないとした。政府と金融庁ではスタンスが違うのだそうだ。報告書の冒頭以外は読んでいないとした麻生氏が、税金でこさえた報告書を何故拒絶できるのか。アベ政権は老後年金だけで暮らせるというスタンスらしい。なんだか、狐につままれたようなお話だ。政府は以前から、年金だけでは老後お金が足りなくなるから、死ぬまで働けとしていた気がしていたが、違ったようだ。定年もドンドン延長されて、70歳と言われている。55歳定年時代からはじまり、私の年齢と同じ速度で定年が老齢化した。私が75歳になれば、75歳でも働けるものは働いた方がいいなどと言い出すのだろう。現実はお金がないから働かざる得ない。確かに年金加入者がドンドン減ってしまうので、年金だけで老後は安心だという振り込め詐欺のような宣伝もしていた。今は黙っていれば、受給年齢が先延ばしになる、年金詐欺をやっているらしい。年金は多い方がいいですか。そう言われれば、多い方を選択する。そういう筋書きで選択を進めてゆくと、最後に返信をしないで黙っていればそうなりますというので返信しない。これで受給年齢が70歳になるらしい。年金詐欺を政府がやっている。
消えた年金問題などもう忘れられたのか。国民年金はあまりに不信用で加入者が激減した。そこで行われた加入促進の宣伝が詐欺商法まがいである。「年金だけで老後は暮らせるから、年金には必ず入りなさい。」このスタンスが政府のスタンスなのだろう。この宣伝文句が嘘なら、年金詐欺である。政府の方を信頼する人はまさか居ないだろう。この問題は一人親の子供の貧困が二人に一人という世界最悪の状況と共通の問題がある。一人親の子供の貧困と、根底には同じ弱者切り捨ての思想がある。日本社会の制裁なのだ。「女のくせに離婚して、一人で生きてゆくとは生意気だ。」こんなあり得ないような社会通念害まだくすぶっている。「働けない老人は姥捨て山にゆけ。」こんな社会認識も、まだどこかにあるのだ。こういう側面では日本は世界でも最悪の人権無視の国である。表向きは確かに福祉国家で、女性活躍社会である。現実がほど遠いいから、詐欺標語が踊る。社会の通年は明治時代と何ら変わらない差別社会。変わらないどころか、競争が激化している分、弱者切り捨ては厳しくなっている。
麻生氏は老人を平均値で考えてはならないと、角度の違う大臣としてはあるまじき正直発言である。確かに麻生氏は老人であるが、年金は当てにしていないだろう。2000万円以上の資金を持っているのも確かだ。問題にしなければならないのは、麻生さんのような特別なお年寄りの話ではなく、年金額が少額で、到底国民年金だけでは暮らしてゆけない大多数の老人のことだ。麻生さんには実感のない話だろう。普通に働いて、普通に年金を納めても、老後暮らせないのが日本の社会の現実である。それは金融庁だけでなく、様々な機関から発信されている情報である。2000万円はその平均値くらいの数値である。麻生さんの心配は消費が又抑えられることだろう。国民皆貯金推進月間。麻生さんの本音は景気を良くするためには、老後のことより今の消費だ。と言いたいだけ。
金融庁の報告書が2000万円と言うことは、2000万円では足りないんじゃないかと、そう思った人の方が多いのではないか。政府には信用がない。だから、日本人の貯蓄率は高くなる。ますます、消費をせずに貯金である。私は貯金ではなく投資に回せと言いたい。投資というのは自分自身に投資しろと言うことだ。老後2000万円いらない暮らしを作り出すと言うことだ。自分に生き抜く技量があれば、老後お金など関係ない暮らしができる。お金は必要だろうが、十分条件ではない。私なら絵を描く自分に投資したい。絵が売れるようになるから投資に見返りがあるというのではない。絵を描いていれば満足できる自分になれば、2000万円のない暮らしでも大丈夫だ。安心というのはそういうことだと思っている。良い食べ物を食べる技量を磨く。粗末な食事でも身の回りの食材で満足できるような食生活になる。どうせグルメの食事など健康に悪いのだ。安価な素材であれ、料理の技量があれば美味しく食べることができる。運動して、体を鍛える。病気にならないような体を維持する。健康投資である。病院に行かないで済めば、ずいぶんの節約になる。そうした暮らしの基盤を磨くために投資すべきだ。