石垣ではお米の出荷が新聞に出ています。

   

石垣に戻り最初の朝の新聞には、お米の出荷が出ている。小田原で田植えが終わって戻ると、新米の出荷のニュース。石垣のお米は日本一早い新米として、全国で売られることだろう。と思っていたのだが、実際には沖縄本島で売られているようだ。以前荒川の新城さんという有機米の生産者のお話では、東京墨田区のスーパーで買ってくれると話されていた。新米の早出し競争なら、石垣は間違いなく日本一である。この特徴は以前冷害で種籾まで不足したときに、種籾生産で東北を応援したことがある。沖縄県の奨励品種が、ひとめぼれでは秋田のイメージである。北国栽培のお米が、石垣の気候でうまくできるとも思えないが。ひとめぼれを満作で作ることは石垣の気候では、難しいのではないか。銘柄米だから売りやすいという考えもあるのだろうが、消費者の見方は変化している。石垣のお米食べてみたら、美味しいのでびっくりということになれば、かなり付加価値が付く。以前は北海道のお米というと美味しくはないということになっていた。ところが今は「ななつぼし」と言う名前で銘柄米になっている。寒さを克服した新品種だ。
小田原の農家さんからよく聞かれたのは、石垣のお米はおいしいかと言うことだった。つまり、美味しくはないだろうと言いたいようだった。その点では食べていないので分からないが、印象を払拭できる暑さ対策の新品種の登場が待たれる。幸い世界一のイネ品種を集めている熱帯作物研究所が石垣にはある。熱帯のお米にも美味しいものはあると言う話だ。暑さ対策という意味では、石垣より関東平野内陸部の方が遙かに実は暑い。熱帯米には様々な栽培の特色があるらしい。作りやすくて美味しい石垣米が欲しいものだ。サンゴ米とか世界遺産米ぐらい言ってもいいのではないか。亜熱帯だから美味しいというお米を作出する。インディカ種をつくるというのもありだ。これからは、特徴を出してゆくことに意味がある。日本酒は相変わらず、古い品種の山田錦がもてはやされている。山田錦使用などと明記されたお酒も多々ある。石垣島という名前には付加価値がある。さらにいえば地場産米の泡盛は間違いなくいける。観光客向けに石垣特有の品種のお米の朝食ご飯というのもいい。星のリゾートあたりとタイアップして、選べる地元米。こんなことをつい考えてしまうのは、石垣島の田んぼをなくしてしまってはならないと思うからだ。
経済性だけで考えれば、石垣島とはいえ田んぼはなくなる。昨日見えた「やえま」と言う雑誌の方は、田んぼは減っているようだと言われていたので、ドキッとした。ただし、お米は豊年祭のお祭りに欠かせないから、なくなると言うことはない、と言うお話だった。少しほっとした。心がお米でつながっているから、ああいう素晴らしい田んぼができる。同じ事を小浜島で田んぼを作られている方も言われていた。でも、お祭りはあっても沖縄本島の田んぼはほとんどなくなってしまった。このときに、景色は一変したはずだ。本当の昔の写真を見ると一面田んぼがある。田んぼはサトウキビに変わったとのこと。サトウキビの方が手間がかからないからだと言われていた。もし田んぼがなくなれば、田んぼをやることで培われた、暮らしの心のようなものまでも変わる。日本人にとって田んぼは産業を越えた物であった。風習や信仰にまで深く根ざしている。八重山民謡でも田んぼの喜びが唄われている。お祭りを残すと言うこと、田んぼを残すと言うことは同じくらい大事だ。
田植えと稲刈りが同時期ということで、石垣と小田原の離れた距離が何か身体が実感した。石垣の空気は湿度を吹くんで重かった。家の湿度計は88%を示している。持ってきた、小田原から抱えてきた、三線も湿度でほっとしたことだろう。石垣に着いてから、2日間は肺が重たくなった。呼吸すること自体が大変という感じになっていた。徐々になじんできている。離れて心配だった蘭は一層元気である。44日間でずいぶんと成長している。山北で作っていたときとは大違いである。東京で作っていたときとはさらに違う。やはり、石垣はラン栽培が向いている。倍の速度で生育する。雨がいいのだと思う。慈雨というが、植物には雨はただの水とは違う。井戸水や湧き水なら、それなりに良さはあるが、蘭は雨が一番好きなようだ。雨が含んでいる酸素が好きなのではないだろうか。雨に煙る石垣の景色を書きたい気持ちが、湧いてきた。
冒頭の写真は渡部さんからいただいた、欠ノ上田んぼの様子。

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