石垣島の国際農林研究所、市民公開講座

   

 

石垣島の魅力は最先端の学問に触れることができるという事だ。国際農林水産研究センター・島嶼研究拠点(熱研)第47回熱研市民公開講座「有機物による温暖化の緩和と作物の生産性の維持」*有機物長期連用の意義*ベトナム・メコンデルタの水田における稲わらたい肥施用による効果*タイの畑圃場における有機物施用による効果*持続的な作物生産に向けて 講師・渡辺武(熱タイ・島嶼研究拠点プロジェクトリーダー)昨年石垣島に赴任されたそうだ。

こんな講座が時々開かれている。以前、イネの長粒米の話はとても興味深かった。平日の夜7時から開かれている。私としてはもう眠くなる時間なので困るのだが、この時間ならだれでも参加することができる。これこそ市民講座というものだろう。この日は40名くらいの人が参加していた。こんな講義が開かれているということも、石垣島に越した一つの理由である。以前はこの講座の開催に合わせて、石垣に来ていた。これがなんと、とぅらばーまの勉強会と同じ場所での開催なのだ。こちらは第2水曜日のやはり夜である。石垣の文化、学問に対する姿勢があらわれている。昼間は絵を描いて夜は勉学である。なんという贅沢か。ここでの研究の成果は泡盛に反映しているようだ。泡盛はタイ米で作っている。それを沖縄産のお米で作ろうという動きが始まっている。本物以外はなかなか生き残りは難しい時代が来ている。

昨夜の講演はタイ、ベトナムで温暖化対策に対する、農業分野での貢献する数値の蓄積の研究の話であった。農業は温暖化によって、被害も受けていると同時に、加害的な側面もある。しかし、炭素を土中に取り込むことでかなり温暖化に貢献できる可能性がある。国連では温暖化対策の89%を農林業分野での貢献を期待しているということである。タイ、ベトナムで稲わらを漉き込むことで、土中の炭素量を上がることを20年実証実験を続けているそうだ。炭素が土中にどの程度つかまれることになる顔言うと、入れた炭素量の10%ぐらい。それは20年間ぐらい上昇して頭打ちになる。しかし、もし農業全体でそのことを取り組むことができれば、温暖化対策の89%が達成可能ということである。

温暖化はCO2が大気中に放出されることが一番の原因である。それは昔地球に繁茂した、植物が石油や石炭という形で地中に炭素を蓄積した。それを一気に燃やしているからだろう。稲わらも土に戻すことができれば、炭素を地中に戻すことになる。問題は農業分野でワラを田んぼに戻す労力に対して、対価が払われていないということにある。その為に藁が燃やされてしまうことがほとんどなのだそうだ。日本では稲わらが燃やされているようなことはない。何らかの形で使われているのではないだろうか。もし可能であるのなら、稲わら以上にケイ酸分のあるもみ殻を田んぼに戻すことができれば、イネは倒れなくなるということであった。ぜひ今年の300㎡の手作業の田んぼには燻炭を戻し実験の一つにしたい。

今回の話はイネのたい肥施用についてである。稲わらは水をかけて半年置くとたい肥化するそうだ。さすが熱帯である。私が石垣に越して来たので、歓迎の為に開いてくれたのかと思うような講座であった。石垣にもたい肥化センターがある。問題はそのたい肥を農家が使い切れていないのだそうだ。その価格と労力に問題があり使いきれていないということだった。それなら温暖化対策として、国はたい肥化工場には対価を払う必要があるのではないだろうか。そうしなければたい肥が回らないのであれば、せっかくの温暖化対策が進まなくなる。話を聞きながら考えたことは炭素循環農法の温暖化に対する寄与である。500㎡の畑に10トンもの木材チップを入れた。ワラを入れることに比べて炭素量は20倍はある。もし炭素循環農法で世界中の農業が回れば、ここ20年の温暖化対策はかなり効果が上がるということになるのではなかろうか。20年というのはそのあたりで普通の土が炭素をつかめる限度がそのくらいで来るということである。その間に次の対策を考えなければならない。

 

 

 

 

 

 

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