原発被害補償の現状報告
原発事故6年目である。小田原でも原発事故の放射能汚染が起きた。お茶が出荷停止になった。あしがら農の会のお茶畑もお茶を廃棄処分した。1反5畝のお茶畑である。放射能雲の被害者の一人となった。その被害は補償されないまま今日に至っている。あいまいにされたままであり、気持ちの整理がつかないものがある。6年目を迎えた昨日、3つの電話をかけた。本当は今日電話してみようと考えていたのだが、今日は土曜なので、昨日電話をかけた。福島で事故にあい、いまだ避難を続けている人がいる中で、些細なことで申し訳ない気持ちもあるのだが。東電に対して被害に誠実に対応するように要求することも連帯だと考える。もし補償があれば、福島の支援に寄付したい。政府や東電の原発事故被害に対しての対応があまりにひどいとおもうから、吹っ切れないでいる。社会に対する説明では被害者に寄り添い対応すると説明している。全く、寄り添っていない現状がある。門前払いである。確かに原発被害では風評被害と位置づけられるものがある。その範囲は確かに認定の範囲が難しいだろう。
しかし、私たちのお茶の被害は、出荷停止を受けてすべて廃棄せざる得なかったものだ。そして除染に苦慮し、その後の活動は困難を極めた。周辺のお茶畑の方は、補償を受けているのである。大多数の方はJAでまとめて補償を請求した。私達はNPO法人であるために、それとは別にしてほしいというJAの意向もあった。確かに製茶されたものをJAに出荷している農家さんとは全く立場が違う。そこで自分たちで補償を請求することにして、東電に対して被害を申し出て対応をお願いした。その書類もすでに提出した。ところが、東電は自分たちの作った書類を示しここに書き込めと主張した。その書類が素人の手に余るような分厚い複雑なものであった。そのために、東電の人に書くことを一緒にやってもらいたいとお願いしたが、そんなことは出来ない。あくまで東電仕様の被害申告証明書のような書類に書き込み提出してくださいという事だった。その話し合いの中で、何故、被害者が加害者の指示に従わなければ補償を受けられないのか。許しがたい思いに駆られた。そのまま今日に至っている。
電話をかけた第一は、「原子力損害賠償紛争解決センター 」というところだ。文部科学省の中にある組織である。最初は丁寧に状況を聞いてくれていたのだが、突然、他に電話してくださいというのだ。いわゆる縦割り行政というか、部署違いである。ホームページにある説明は、——原発事故による損害賠償の請求については、東京電力との直接交渉や裁判以外に国の「原子力損害賠償紛争解決センター(ADRセンター)」を利用することもできます。ーーとある。 ところが実際にはここでは和解案件以外扱わないというのだ。それならなぜこんな説明を正面にしているのだろう。30分も説明した後突然そう言って話が終わった。多分政府の寄り添い方を示したかったのだろう。その次に電話したのは、原子力損害賠償廃炉等賠償機構というところだ。ここでも説明は親切に聞いてくれた。私としては、すでに私の書いた被害請求が東京電力にあるのだから、東電に対して、そちらから東電も誠意をもって対応するように要請してくれないかとお願いした。それは出来ないというのだ。その前にともかく、弁護士さんが見える日があるから、相談に来てください。というばかりで、糠に釘という感じで、ここも終わった。
最後に東電の損害賠償窓口に電話をした。こちらではしばらく待たされ調べてくれた。現在のあしがら農の会の状況は、東電から請求用紙を送付したが、その期限までに返送がないので終了案件になっている、という回答だった。それが果たして加害者としての現状認識でいいのだろうか。一体被害者に寄り添う姿勢とやらはどこに行ったのだ。その書類を私が書くので協力してほしいとお願いしたにもかかわらず、拒否したものではないか。そうした過程は一切どこかへ消えている。本来、被害者は被害があったと申告すればいいだけのことだ。あと調査し補償の範囲を決めるは加害者である東電である。もし私が誰かに被害を与えたとすれば、私の作る厄介な書類に書き込んでくれたら、補償を考えてもいいですが。などと言えば、訴えられ逮捕されるだろう。犯罪行為にあたる。このような対応が原発被害に対する、国と東電の実際の姿である。それでもそろそろ吹っ切らなければならなのだろう。もやもやの不愉快に耐えがたい。アベ政権はこんな非人道的態度を抱えたまま、原発再稼働である。