東電第3者委員会の欺瞞

   

東電が作った第3者委員会から、福島原発事故調査報告が出た。最近はやりの厳しい眼で検討しているはずの、第3者委員会であるが、単純に東電の弁解が出てきた。こうした卑劣な態度がまた事故を起こすのだ。第3者員会の目的は企業責任の追及の裁判の弁護の為である。全くのでたらめのひどい報告である。こんなものを第3者と自ら呼ぶ姿勢がそもそもおかしい。当時の政府の対応のおかしさに原因を転嫁するための、自称第3者委員会である。確かに政府はひどかった。と同時に東電だってとてつもなくひどかった。東電には事故を起こした当事者としての責任を忘れたいだけだろう。予測を超えた大津波で、想定外の事態に至り、原発が炉心溶融して、放射能をまき散らした。それをまるで仕方がなかったこととして、誰も責任を取らないで終わろうとしている。農の会のお茶に対する補償は請求しているにもかかわらず、反応すらない。被害者が被害を証明しろで終わりである。

今ではほとぼりが冷めたと、アベ政権も各電力会社も、原発の推進をすることに躍起となっている。40年過ぎの原発も廃棄しないで、また20年使い続ける方針。廃棄したところで核のごみは行き場がない。これほど迷惑な原発を推進する理由は、企業利益意外に考えられない。政府は電力会社を後押しして、原子力を次のエネルギーの中心に据えようとしてきた。国民を安全神話に巻き込んできた。だから、原発事故が想定外で、対応が後手後手に回った。中国から大きなクレーンを貰わなければ、海水さえかけられなかった。近隣諸国も他人事ではなかったのだ。近隣諸国が今でも日本の食糧に不安を持つのは、そうした日本の政府や東電への不信である。メルトダウンしているだろうと、いくら追及しても口を割らなかった東電である。その責任だけでも極めて重いものがある。口を割らなかった理由を政府に口止めされていたと責任の転嫁をするなど情けなくないか。しかも、参議院選挙にその報告をぶつけてきた。この不誠実な態度では、又原発事故が起きそうだ。

東電の第3者委員会では、巻き添えケチの第3者委員会で有名になった、元東京地検特捜部副部長の佐々木善三弁護士である。「重要な事柄をマスコミ発表する際には 事前に官邸や保安院の了解を得る必要があり、対外的に炉心溶融を肯定する発言を差し控えるべきとの認識が、東電社内で広く共有されていた。」そして、最近実は東電は炉心溶融の事実を事故3日後に把握していたことが、分かってきた。そこで、分かっていたがそれを公表できなかったのは、政府の圧力だったと言い逃れの道を作ったのだ。佐々木氏は依頼者の弁護をするのに、確かにマムシのようである。小渕裕子氏もそうだった。今度は、甘利氏の第3者員会をやりそうである。真実を検証すべき第3者員会の名前を語り、完全に東電の側に立って弁護をしている。東電の清水社長の発言は正しいという前提なのだ。その指示をしたという政府への聞き取りは、やる余裕も権限もなかったが、指示をしたように推察できるというのだ。

佐々木氏の報告書は官邸の指示については、すべて推量である。推量で、炉心溶融を隠した責任は官邸にあったと結論しているのだ。こんな推量であれば、私にもできる。全く偏った杜撰な報告である。しかし、こうしてお茶を濁しておけば世間などいい加減なものだから、後は時間を稼げばいいと厚かましいマムシだ。。佐々木氏が過去かかわった第3者員会全てがこのやり方である。これほどの欺瞞を繰り返している人間を第3者委員会に入れて良いものだろうか。というより、この依頼者側に立つ姿勢が、又依頼が集中させるのだろう。この構造が日本社会のだらしなさである。すぐ国民が忘れる。忘れるまでの時間稼ぎが第3者委員会になっていないか。小渕裕子氏はその後選挙で再選された。甘利氏も、そういう事になるのだろう。このいい加減さが日本の一番ダメなところだ。

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