石垣市庁舎高台移転の住民投票結果
「現地」が2655票(18%)、高台にある「旧石垣空港跡地」が11895票(81%)となり、高台移転に賛成する票が圧倒的多数を占めた。ただ、投票率は39・05%と低調だった。
石垣島では新市庁舎の位置を決めるために住民投票が行われた。そして、投票率は39%で、81%の市民が高台である、飛行場跡地への移転を望んだ。その前に、元市庁舎の場所で再建築すべきという答申が策定委員会から出ていた。それを踏まえて住民投票に進んだ。つまり策定委員会の答申に81%の住民が反対した結果。これを踏まえ市長が最終判断をすることになる。石垣島では江戸時代に大きな津波があり、今の市庁舎のある石垣の中心市街は全滅に近い被害を受けた。一度町全体が高台に移転した。ところが徐々にまた現市街地に住民が戻り暮らすようになった。港のそばの方が利便性が高いという事なのだろう。津波の危険はあるのかもしれないが、日常生活に不便なところでは暮らせないという現実を感じる。それが江戸時代に起きた市街地の変化である。そして車社会である現代において、利便性と安全と経済性を住民がどう判断するかである。
市庁舎の場所を決めるために、住民投票を行ったことが素晴らしいと思う。小田原では住民投票というものがない。現在市民会館の建て替えが紛糾しているが、住民の意見を聞くというようなことがない。行政は説明はするが、市民の意見を聞くというようなことは、前市長も、現市長も全くない。そして、訳の分からない結論を出して、お上の意見として下される。この時代に駐車場のない市民会館などどうにもならないと思っている。何千人も集まる集会をやる場所に駐車場がないという事が信じられない発想である。歩いて行ける市民と、車でしか行けない市民とでは、利用に大きな差ができる。そう考えているが、しかし、勝手にやってくれとしか思わない。どうせ、住民の意思など無視してすべてが行われているのだ。かかわるだけばかばかしい。時間の浪費である。ああ、石垣市民がうらやましい。
石垣市の次の課題は自衛隊基地の建設の是非であろう。現在候補地とされた3つの自治会では、ほぼ全員一致にちかい反対の決議がなされた。そして自衛隊反対の看板を設置している。一方自衛隊誘致派の活動も盛んである。市長は自衛隊誘致派と目される。市会議員の3名が加わった誘致推進団体では、自衛隊基地が出来るとどれだけ良いことがあるかというパンフレットを作り各戸配布をしたという。島の安全を守るためには自衛隊基地が必要。島の経済の活性化のためには自衛隊基地が必要。など書かれたものである。今回の北朝鮮のロケット打ち上げに合わせて、自衛隊は迎撃ミサイルPAC3を石垣港に設置をした。前回は自衛官が450名も待機したという。何ともばかばかしいデモンストレーションである。ロケットの打ち上げが終わった後も、引き続き打ち上げを予告した期間は迎撃ミサイルを設置しておくという。こんなことは全くの茶番に過ぎない。
住民投票を市町村の身近な行政の方針に取り入れてゆくことは、地域社会の形成に不可欠である。現代社会の暮らしは、経済的基盤がそれぞれにばらばらである。同じ価値観で全体を見ることは出来ない。海外主張中心の大企業の社員から、その土地から出ることのない自給的農家まで、全く生活パターンの異なる人たちが、同じ場所に暮らしている。多様な地域の行政ニーズにこたえるためには、住民の意思のくみ取り方の工夫が必要である。住民投票も一つの手法である。ネットを使った、意思確認のツールが確立される必要がある。フェースブックで自治会運営をしている地域もある。口先だけの、住民協働の社会など単なる選挙向けの発言と考えなければならない。具体的にどういうシステムで住民参加を図るかを探ることが地域社会の課題だ。