サプリメントの問題

   

巷ではサプリメント全盛である。何故、こういうものが流行しているかと言えば、健康不安が増幅されているからであろう。サプリメントを売るということは、健康に対して不安を煽らなければ販売が出来ない。病の時代、不安社会が広がる。テレビコマーシャルを始め、健康食品本や雑誌が書店には並ぶ。インターネットでも、多くのコマーシャルが流されている。もちろん経済不安というものが、連動している。格差社会の深刻化もサプリメント文化を生んでいる。本来であれば、生活の中で食べ物を改善して行くことが、正しい選択である。それを安易な解決で済まそうということだ。常日頃の食べ物で解決できないことはない。サプリメントで不完全な食事を補うという発想が、ファーストフードの上を行く、安易さである。食事では無理というなら、病気ということで、医療にかかる他ない。医療と、食事との隙間に入り込もうというのが、サプリメントである。

毒にも薬にもならないならば、まだ良いが、過剰なミネラルや、ビタミンは単体で取れば有害である。何故有害と考えるかは、単純なことで、人間の身体は普通に食べ物を食べて、生きるよう出来ているからだ。人間は特定の抽出した、ミネラルやビタミンを特別にとる様なことはなかった。生きものすべてがそのように生きてきたのだ。特殊なことをしても、良い結果が出るわけがない。病気になってしまい、改善を目指す場合でも出来る限り薬など使わない方がいい。薬は効果があればある程、半面の障害も伴っている。問題点を持っているから、病気に効果があると考えた方がいい。私のばあい、この25年間一度だけ漢方薬を飲んだだけである。出来る限り薬はのまないという気持ちできたのだが、それで何とかなった。もちろん幸運だったということだ。しかし、風邪を引いて、薬を飲まないと決めたら、風邪をひかなくなった。風にかかりたくないから、そういう生活をするようになったということである。

もう一つはアンチエイジングとか言う、老化防止の流れがある。私も元気百歳であと36年生きることにしている。元気で長生きするには、サプリメントなどもってのほかと考えている。薬に頼るようでは、長寿など出来るわけがない。上手く年をとることこそ、長生きのはずである。老化は当たり前のことで、受け入れることが基本姿勢だ。これに逆らう為に、サプリメントを飲むなど、命を縮じめることだ。痩せるサプリメントというのもある。これなど典型的な、有害物質以外の何物でもない。よくまあ―こんな恐ろしいことをと思う。その人成りの健康体重というものがある。それを目指すことはとても大切である。必要以上に体重があるとすれば、それは生活のどこかに問題があるということだ。もちろん食事が悪い。体重増加がシグナルである。それをサプリメントでもし減らすとすれば、大切な情報を見落とすことになる。

この時代を反映しているのが、サプリメント文化である。錠剤一つで済まそうという発想である。食事もサプリメント化するという発想がある。そうしなければ、やってゆけないほど忙しい生活。そんな暮らしはおかしい。一流のスポーツ選手がサプリメントの広告に使われる。お金の為なのだろうか。例えば、三浦雄一郎氏はゴマのサプリメントの広告をやっている。80歳でエベレストに登頂するという、元気な長寿国、日本の誇りともいえる快挙である。この人は国会議員に落選してよかったと思う。当選したらエベレストには登れなかっただろう。悪影響を考えるとゴマのサプリメントはよしてもらいたい。ゴマが悪いのではない。ゴマがいいと考えるなら、食事に取り入れる方向に進んでほしいのだ。

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