小田原ヒルトン問題2
昨日、6名で企画政策課に、ヒルトンに小田原市の土地建物を売り渡す前に「市民説明会」を行うようお願いに行った。結論から言えば、行わないそうだ。問題は、小田原市の作った長期計画の矛盾である。いま読み返してはいないが、この中では、根府川地域を観光開発するなどとは成っていない。一応と言う形で、農業地域としての整備の方向が示されている。しかし、具体的には小田原農業に関する長期的展望を市民に示していない。ヒルトンホテルが根府川の農業地域のど真ん中に存在すること自体が、いかにも不自然な状況であった。このことをどうするか、こんな問題に立ちいたる前に、市民全体のテーマにすべきだった。根府川地域を小田原市として、どのような地域と位置付けて行くか。それを地域住民の認識と合意をどう形成して行くのか、それこそ市民参加の行政の役割である。ヒルトンの家賃免除から始まるのでは遅きに失した。
すでに売り渡すことは結論が出ているようだ。企画政策課の説明から受けた感触では9億円と言うことで決まりのようだ。あとは、議会の承認を待つ状態。議員に対しては、すでにヒルトンの責任者を加えた説明会が行われ、おおむね了承という認識のようだ。行政にはホテル経営に関する管理能力がないから、売り渡せれば御の字のようだ。あの施設は7万坪あり、2万5千坪が宅地だそうだ。後は雑種地。もし、ヒルトンに関係する投資ファンドが、5年後に転売するならば、9億円という安い価格のはずがない。坪1万円そこそこで、あの土地が売られるということは、あまりに不自然でないか。今、あそこの場所に向かって、大きな道路がつくられている。あの道路が完成したらさらに価値が上がる。9億円ならすぐにでも買いたいという中国の富裕層など、いくらでもいる。不況の日本にだって、広く公募すれば9億は安すぎる。
私だってすぐにでも買いたい。農業法人を作り買い取りとり、あの地域の農業開発の拠点にする。建物はすぐ取り壊す。1億円はかかるだろう。自給農業を行う、住宅を100軒計画する。一軒当たり、1000万円である。700坪の宅地つき、自給農家である。相当に厳しい条件を付けても売れる。家は100万円の最小限の家である。それぞれが自分で作る。日本のこれからの方角を示す事例にする。それが小田原の無尽蔵の財産ではないか。本来であれば、早川から湯河原まで、あの海岸線は大きな方向さえ定り、国の政策を変えられるならば、理想郷ともいえる素晴らしい場所である。国の政策を変えさせるためには、市民が一致できる、国民がこぞって賛成できる、希望あるプランを立てることだ。それをやるのが行政の役割だ。農業には2つの方向がある。自給的に生産する小さな農業と、大規模化し機械化する大型販売農家。TPPに加盟し進んでゆくことになれば、両極化する事は目に見えている。この両極の農業の形だけが経済の合理性を持つ。
今ヒルトンに売り渡すということは、5年後にヒルトンがどこに転売しても止むえないということである。あの小田原の可能性の土地を見捨てることにもなりかねない。最悪よく言われるが、宗教法人である。ホリエモンが保養施設に買い取ることもないとは言えない。観光化する以外ないという考えが一般的なようだ。観光開発が可能になったとして、その施設が障害になる場合も多いにありうる。これからの日本の社会状況で、ただの観光開発や別荘開発は、成立しない。小田原市の意思が働く内に、大きな展望のもとに判断すべきだ。大切な農地転用をして行うようなことではない。地域の人の気持ちを考えれば、農業で展望がないのだから、ヒルトンを核にしてリゾート開発以外の道は無い。これを止めるやつは、ハタ迷惑な奴だ。こういう気持ちの方も多くおられると思う。しかし、今起きている危険についても十分考えなければならない。いずれにしても、説明会も持たない市民参加の市制には失望する。